2011年11月 9日 (水)

TPP

 TPP(Trans-Pacific Partnership),日本語では「環太平洋戦略的経済連携協定」って言うらしいけど(長すぎ!),参加すべきか参加すべきでないのか,僕にはよくわかりません。政府の試算でも,内閣府や経産省は参加すればGDPが増加して雇用も拡大すると言っているけど,農水省はまったく逆の評価。そもそも参加したところでルールが何も決まっていないのに,試算の根拠がまったく不透明で無意味。結局はそれぞれの立場で自分たちに有利な試算をしているだけでしょう。

 ただ,基本的な考えとして,今の日本のような鎖国的な産業政策がいつまでも続けられると考えるのは相当無理があり,貿易の自由化や規制緩和はいずれ避けて通れない問題でしょう。このため「蚊帳の外にならないうちにルール作りに参加すべき」という主張には一理あると思います。

 ただ,経団連などの産業界が参加に賛成しているといっても,どこまで深く考えて賛成なのか怪しいものです。たとえば公共事業のように,外国企業がまったく参加できずに国内企業が必要以上に保護されている実態には目をつむり,目先の利益のことしか考えていないように思えます。

 日本政府は参加する方向の結論を出すみたいですが,世界的視野に立って将来を見据えた上での結論とはとても思えない。悲しいことに,結局はアメリカから要請されたから参加すると言っているだけにしか見えません。アメリカに言われて参加するんだったら,タダで参加するのではなく,たとえば沖縄の米軍基地を県外に移転してもらうような話をするとか(単なる僕の思いつきですが),上手く交渉に利用すればいいのにって思います。まあ,そんな気の利いたことが日本政府にできるわけありませんが。

 それにしても,政府が参加に前向きなのに対して,民主党や自民党は党を二分する争い。そして,保守的(?)な共産党や社民党は一致団結して反対を表明・・・この構図って,なんだか既視感を覚えます。そう,あの郵政民営化問題です。自由化・規制緩和と通じるところもあるしね。ということは,かの小泉元首相みたいに「TPP参加の信を問う!」として解散総選挙に突入?・・・なわけないですよね。

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2011年8月13日 (土)

やっと退陣?

 特例公債法案と再生可能エネルギー特別措置法案が今国会で成立する見通しが立ったことにより,菅総理自身が月内にも退陣する意向を明らかにし,与党も野党もマスコミも大喜びみたいですね。あの大震災後,菅総理に対しては毎日のように「やめろやめろ」の大合唱。菅さんはよく5ヶ月も我慢したものです。

 それにしても,なんで菅総理にやめて欲しいという声がこれほど大きいのか,僕にはよくわかりません。元々菅内閣にはあまり期待していなかったし,震災後の対応にまずい点が多々あったのも承知していますが,こんなの今の政治家なら誰がやっても同じようなもんでしょう。麻生内閣だったらもっと適格な対応ができたと考えている人が多いんでしょうか。よくわかりません。

 まあ,ここ何年か,日本の総理大臣の任期は約1年と決まっているし,そろそろやめて他の人にポストを回して欲しいというのは理解できますが,内閣ポストとはまったく関係のない野党までが菅内閣退陣を迫るなど,新内閣誕生後に野党は何をどのようにしたいと考えているのか,よく理解できません。

 あくまで僕の想像ですが,浜岡原発を突然停止させたり,再生可能エネルギー買い取り法案を出したりするなど,菅総理が原発縮小の方向に舵を切ったのが大きな原因ではないでしょうか。自民党をはじめ政治家の多くは原発推進派であり,政府も電力会社もメーカーも自治体も原発のある地域住民も,世の中には原発が縮小されたら困るという人がごまんといるのが事実です。世の中が反原発の方向に流れる前に菅さんにはやめてもらい,原発を拡大・推進する人に政権を取って欲しいと思っているのではないでしょうか。

 原発の問題については僕も書きたいことが山ほどあるので機会を改めて書きますが,一般の有権者が菅総理に対してどの程度退陣して欲しいと思っているのか,また,次期総理には誰になって欲しいと思っているのかは興味あるところです。たとえば5日前に放送されたNHKの世論調査によると(調査対象は1,706人で,1,052人から回答を得たとか),今月末までに総理を退陣すべきという意見が45%,年末までに退陣すべきが28%,来年以降が14%だったとか↓

Nhk

 この数字を見る限り,多くの人は菅さんには早くやめて欲しいと思っているということでしょう。ただ,「次の総理にふさわしい人は?」という調査結果は以下のとおり↓

Nhk1

Nhk2

 前原誠司氏がダントツ(?)の5.6%で,自民党では谷垣総裁をはるかに押さえて石破茂氏がダントツの4.2%。いくら無罪が確実とはいえ刑事被告人の小沢一郎氏が第三位。いかに人材が乏しいかということでしょう。

 数字が小さいとはいえ,小泉元総理の息子の新人議員やあの安部元総理が入るなど,調査対象者もまじめに答えているとは思えませんが,それにしても,民主党の次期代表選に立候補を表明している(=次期総理大臣になる確率の高い)野田氏や馬淵氏が,ジョークで回答されたような人と同レベルの支持率とは悲しくなります。まあ,政治家の実力と人気は別物だから,きちんと仕事してもらえばいいわけですが。

 この調査結果では菅内閣の退陣時期を「来年以降でいい」と言っている人が14%いるので,「次期総理にふさわしい人」の誰よりも支持率が高いことになりますね。結局は,今月の菅内閣退陣後には人気のないぱっとしない人が新総理大臣に選ばれ,内閣支持率も大きくは回復せず,民主党あたりは「こんな筈じゃなかった」みたいになるのが,なんとなく見えてきました。

 そして,1年も経ったら,結局何も変わらなくて「誰がやってもおんなじじゃん!」となるのでしょう。例年のことながら,すごい既視感を覚えます。毎回同じことを繰り返して学習しないのが政治家・マスコミ・そして有権者ってことでしょうか。

 あと,新内閣が誕生すると,とたんにいろんなゴシップが出てきてゴタゴタするものです。政治家のアラ探しの得意なマスコミは,首班指名より前,できれば代表選の結果が出る前に見つけたネタを公開しておいて欲しいものですね。

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2010年11月29日 (月)

砲撃問題

 北朝鮮による韓国砲撃問題で,政府見解の公表が砲撃事件発生から約7時間後になったことを野党が「初動が遅い」と批判。これに対して首相は,一連の政府の対応を「迅速」と評価していると反論。また,28日からの米韓軍事演習を受けて,閣僚は12月1日までの間原則として東京都内にとどまり,緊急事態が発生した場合には1時間以内に登庁する態勢を取っているとか。

 政府がどういう「緊急事態」を想定しているのか僕にはわかりませんが,緊急時に閣僚が集まって何かをすることよりも重要なことは,たとえば北朝鮮から日本に向けてミサイルが発射された時に,そのミサイルが日本の領空に入る前または入った直後にミサイルを打ち落とすことが可能なのかどうか・・・・そのことの方が,閣僚が集まることよりもはるかに重要ではないでしょうか。

 北朝鮮からの砲撃を受けて韓国は即座に反撃したようですが,仮に日本が同じように攻撃されたとしても,相手国に対して攻撃することは,戦争を禁じた憲法や専守防衛という自衛隊の任務を逸脱するものであり,簡単には実施できないはず。外国から日本に向けてミサイルが発射されたような場合には,大臣の許可などを待つことなく,即座にミサイルを打ち落とすことが本来の防衛行動であり,自衛隊の使命と言えます。

 これは技術的に難しいことかも知れないし,今の自衛隊にその能力があるのかどうかも定かではありませんが,国会などでこういった観点での議論がまったくなく,対応が早いだの遅いだの言い争っている政治家は,本当に必要なことが何なのか,全然わかっていないと感じます。

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2010年8月29日 (日)

民主党の「会談」

 菅直人代表と小沢一郎前幹事長との対決となりそうな民主党代表選の対応をめぐり,菅氏と鳩山由紀夫前代表が29日中に再度会談する(した?)と報じられていますが,同じ党内の幹部が会って話すだけなのに「会談」という表現には違和感を覚えます。そんなに改まらなくても,ちょっと会って話せばいいだけじゃん! って思います。「会談」って,党首が他党の党首と会う時とか,国のトップや大臣が他国の首脳や大臣などに会う時に使う言葉じゃなかったでしたっけ?

 党の幹部どうしが会って話すだけなのに,面会でも会合でもなく大々的に「会談」と報じられている時点でこの党は終わってしまっているような気がしますが,それはともかく,鳩山前代表が菅氏と小沢氏の調整役をやっている点にも違和感を覚えます。あの鳩山氏にそんな調整能力があるとは思えません。菅氏と小沢氏は,なんで鳩山氏を介さずに直接会って「会談」しないのか,不思議です。

 一般有権者には民主党代表を選ぶ権利がないわけで,どちらが選ばれるかは民主党員の良識とセンスにお任せするしかないわけですが,今回は実質的に総理大臣を選ぶ代表選となるため,これまでの民主党代表選と比べて断然面白いと感じます。そして代表選の結果は,党員・サポーター票は菅氏が勝利するものの,国会議員票は小沢氏が圧勝し,得票ポイントの重みの違いにより小沢氏が代表に就任することになるものと予測しています。

 カネがらみの問題で爆弾を抱えている小沢氏では政局を乗り切るのは厳しいでしょう。小沢氏は,公職でもなんでもない党の幹事長だった時でさえマスコミなどからあれだけバッシングを受けたわけで,総理大臣という立場になればとても持たないような気がします。もっとも,小沢氏には,自民党と連立して与党が衆参とも過半数を確保して乗り切るといった超裏技があるのかも知れませんね。それにしても,カネがらみの問題で小沢氏を道連れに代表を辞任したのに,今度は「恩返し」とか言って小沢氏を支持するという鳩山氏の言動は,僕にはなかなか理解できません。

 菅氏に比べて小沢氏の方が百戦錬磨で,政治家としての実力がありポリシーが明確なように見えますが,何しろ性格が暗いのが難点。健康面の不安もあると聞きます。あまり表舞台に出て来ず,必要最小限のことしか話さない性格の小沢氏が,総理大臣という国のトップになりたがるというのはすごいギャップで違和感を覚えます。物言わない政治家というのはちょっと不気味ですよね。

 ところで,菅氏が民主党代表に選ばれて総理大臣に就任したのはたった3ヶ月前。なのになんでまた9月に代表選をやり直す必要があるんでしょうか。前代表が任期途中で辞任したため,新代表はその残りの任期を引き継いでいるためということらしいですが,そもそも民主党のこのルール自体がおかしすぎます。そして,この点を突っ込むメディアが全然ないというのも,本当に不思議なものです。

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2010年7月29日 (木)

2人の死刑を執行

 28日に2人の死刑囚に対して死刑執行されたことが大きなニュースになっているようです。死刑執行は昨年9月の政権交代後初めてであり,死刑執行書に押印した千葉法相が,かつての死刑廃止議員連盟のメンバーだったことや,先日の参院選で落選したことや,自ら執行に立ち会ったことなどが話題になっているようですが,そんなに騒ぐほどの問題なんでしょうか。

 自民党の大島幹事長は「参院選で落選した千葉氏が執行を許可したのは違和感を覚える」と語り,公明党代表の山口氏も「千葉氏は法相の職にふさわしいかどうかという点で民意を得られなかった」「菅直人首相の任命責任が改めて問われる」などとコメントしていますが,これらの発言は相当外していると感じます。国会議員と大臣の仕事はまったく別であり,選挙の結果は国会議員に対するものであるという基本を知らないのでしょうか。また,法相が執行書に押印したのは参院議員としての任期が切れる前の7月24日などと言い訳(?)されていますが,それはどうでもいい問題でしょう。

 もし僕が何かの犯罪で裁かれて,仮に「懲役10年」か「死刑」を選べと聞かれたら,迷わずに死刑の方を選びます。それぐらい,死刑という刑罰を重いと感じるかどうかは人それぞれ。そんなわけで,僕自身は死刑制度に対して賛成でも反対でもありませんが,死刑が執行されるたびに死刑賛成とか反対とかが話題になるのも,なんだかヘンな話です。

 死刑制度があり,かつ現実に100人以上の確定死刑囚が存在しているわけで,法がある限りはいずれ刑が執行されるのは避けられません。法務大臣が刑の執行の最終判断を行うという今のシステム自体がヘンだとは思いますが,それはそれとして,法務大臣は法に従って処理しただけであり,何も問題ないと思いますよ。

 死刑問題に関する過去の関連記事:
  死刑執行(2005年12月12日)
  償いと死刑制度(2006年9月11日)
  年末に死刑執行(2006年12月31日)
  自動的に執行(2007年9月28日)
  死刑執行の公表(2007年12月12日)
  終身刑は必要?(2008年5月6日)

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2010年7月18日 (日)

メディアの報じる「民意」

 参院選が終わって既に1週間経ちましたが,メディアの報道内容に関してもう一言。

 多くのメディアは「自民党の勝利,民主党の惨敗」と報じていますが,本当にそう言えるのでしょうか。今回の選挙結果に対して,メディアは自民党に対して「改選第一党」みたいな表現を使って しきりにもて囃していますが,この「改選第一党」って表現,僕は今回の選挙で初めて聞きました。今回の獲得議席数は民主44・自民51ですが,非改選議席数は民主66・自民33で,トータル議席数は民主106・自民84と民主党が文句なしに第一党。この「改選第一党」という聞き慣れない表現はこじつけっぽくて,僕にはなんだか違和感を覚えます。

 そもそも,比例区の獲得議席数では民主16(得票率31.6%)・自民12(得票率24.1%)で民主党が自民党を上回っており,選挙区の獲得議席数は民主28・自民39と自民党が民主党を上回ったものの,全国トータルの選挙区得票率は民主39.0%・自民33.4%と,比例区同様に民主党が自民党を上回っています。これは,得票数が比較的少なくても当選できる地方の一人区で自民党が効率よく当選させ,有権者の多い複数定数の選挙区で民主党は複数候補を擁立して多くの落選者を出したというだけのこと。全国的に自民党へ投票した人が民主党へ投票した人を上回ったということではありません。

 二人区で2名の候補者を擁立した「小沢方式」は失敗だったと報じられていますが,結果的に二人区の独占は実現しなかったものの,共倒れになった選挙区もなくトータルの民主党得票数は延びたため,民主党にとって複数擁立が失敗だったとは言えないと思います。確実に抑えておくべき一人区で大量の落選者を出したのが民主党の敗因でしょう。

 また,沖縄の普天間基地問題について,メディアはしきりに県外移設が沖縄県民の総意であるかのようにこれまで報じてきましたが,沖縄選挙区の結果は自民党候補の当選という結果に。この自民党候補が基地問題に関してどのような主張をしていたのかは知りませんが,自民党政権の時代には普天間の辺野古への移転が決定していたわけなので,沖縄選挙区で自民党候補が当選したということは,普天間基地の県外移設が必ずしも多数意見ではないということか,または,沖縄の有権者は基地問題よりももっと重要な政策があると判断した結果なのでしょう。

 ということで,いろんな面で,メディアがもっともらしく報じる「民意」というのは,実態と大きくずれているような気がしてなりません。

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2010年7月12日 (月)

面白い!

 サッカーの日本代表選手で顔と名前が一致するのは中村俊輔選手だけで,対戦相手の「パラグアイ」と「腹具合」の違いもわからないぐらい僕はサッカー音痴なんですが,そんな僕でも,今回のワールドカップはめっちゃ面白かったです。何が面白かったかって,試合の内容ではなく,ドイツの水族館のタコ「パウル」の予言。ついには決勝戦の結果まで的中させ,結局はドイツチームの試合と決勝戦の計8試合すべてを的中させたとか↓

Photo
(スペイン優勝を予言するパウル:asahi.comから転載)

 タコの予言はもちろん「まぐれ」ですが,8回連続で的中する確率は「2の8乗」分の1,すなわち256分の1で,まぐれとは思えないほどの確率の低さ。ほんと面白い話題です。

 面白いと言えば,昨日の参議院選挙の開票結果は面白かったし,この結果が民意だなんて,ほんと笑えます。選挙の結果は与党が大敗し,非改選議席を合わせても与党は半数割れとなり,またまた「衆参ねじれ」が復活。日本の有権者がこんなに「ねじれ」が好きだったとは,まったく意外でした。

 しかも,かつて自民党が衆院で3分の2以上の議席を保有していた時のように「参院否決後に衆院で再議決して3分の2以上の賛成で成立」ということもないでしょう。つまり,自民党政権時代の「ねじれ」とは異なり,与党の思いどおりに法案が通る可能性がほとんどなくなったわけです。このため,必然的に悪法は成立しにくくなるわけで,これはこれでいい面もあり,僕はある意味で「ねじれ」容認派なんですが,いったいどれだけ多くの有権者がそういう意識を持って積極的に「ねじれ」を選んだのかというのは,大いに疑問ですね。

 ところで,選挙区で落選した得票数上位5人の票は以下のとおり。
  1.千葉景子氏 (民主)696,739票(神奈川)
  2.岡部まり氏 (民主)617,932票(大阪)
  3.藤川雅司氏 (民主)567,167票(北海道)
  4.小池 晃氏 (共産)552,187票(東京)
  5.島田智哉子氏(民主)544,381票(埼玉)

 いずれも50万票を超える大量得票。これだけ得票しても落選するというのは,獲得議席が得票数に比例せず大量の死票が出るという選挙制度上の欠陥と,都市部の定数が少なく抑えられて都市部の候補者が不利になる定数不均衡が原因と言えるでしょう。

 落選候補のうち得票数トップの千葉景子氏は現職の法務大臣。大臣の約半数は国会議員でなくてもいいので,千葉氏には大臣を続投させると報じられていましたが,いっそのこと交代して小沢一郎氏を法務大臣にしちゃえばブラックユーモア的で面白かったと思いますよ。

 今回の民主党は一人区で惨敗でしたが,もし一人区の獲得議席が前回並みだったら民主党は軽く単独過半数を確保できたわけで,結局参議院は一人区がすべてで,衆議院は小選挙区がすべて みたいな側面があり,今の選挙制度はとにかく歪んでいると言えます。

 それにしても最近は,ある一方向に極端な風が吹いたり,無党派層がどっとある政党を支持したり,内閣支持率が短期間に急変したりするなど,有権者がせっかちすぎるというか飽きっぽいというか,いったい有権者はどんな政治を望んでいるのか,僕には理解困難になりつつあります。

 僕はどこかの党員や党友でもないし,特定の政党を熱烈に支持しているわけでもありませんが,それでも何十年も昔から一貫して,ほとんど変わらない投票行動を取っています。ところが最近の選挙は,激しく揺れる世論の動向の中で,結局はどのタイミングで選挙するかで結果がすべて決まってしまうような傾向があり,自分の1票がいかに小さく無力なものであるかを痛感しています。

 過去の関連記事:おかしな選挙制度(2009年9月3日)

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2010年7月 9日 (金)

少なすぎる選択肢

 11日は参議院選挙の投票日。知らないうちに消費税増税が争点になってしまった感がありますが,消費税増税に対しては批判的なメディアが多いようです。先日あるテレビで,消費税の「逆進性」について解説していました。それによると,月収50万円の人が1万円の商品を購入した時にかかる消費税は500円で,月収に対する税率は0.1%。一方,月収10万円の人が同じ商品を購入した時にかかる消費税も同じく500円で,この場合は月収に対する税率は0.5%。収入の少ない人ほど税率が高くなり,この逆進性が問題だ!・・・みたいな解説。でも,これって,収入の全然違う人が全く同じ購買力を持っているという,絶対あり得ない前提での「逆進性」ですよね。増税を批判するのはいいとしても,こういう意味不明の解説をする報道って,聞いていて恥ずかしくなります。

 ところで,民主党が消費税増税を主張するのは党の勝手ですが,菅総理がよく言っている「超党派で増税の議論を」というのは,自分の党の主張にもかかわらず,都合の悪いことに対しては他党を巻き込んで責任逃れをしようとしているみたいに聞こえ,とても不愉快です。それはともかく,民主党も自民党も消費税増税の大合唱なので,「消費税増税は絶対反対」と考える有権者にとっては,選挙の時の選択肢が少なすぎると言えます。

 たとえば社民党や共産党の場合は,消費税増税に反対しているとはいえ,どちらかといえば「大きな政府」による高福祉社会の実現を目指しているように思えます。消費税に限らず国民の税負担をもっと少なくし,無駄な事業は極力減らした「小さな政府」を主張している政党は皆無のようです。「小さな政府」を主張している筈の自民党でさえ,どちらかというと増税指向。このあたりはちょっと理解できません。

 また,普天間基地問題などで明らかになったように,保守政党ほど米国の言いなりになる傾向があるという点も,僕にはなかなか理解できません。西側と東側が対立していた米ソ冷戦時代ならともかく,保守政党がなんでいまだに米軍依存体質なんでしょうか。「日本国内から米軍を排除して日本の軍事力を強化して独立すべき」という主張をする保守政党が一つぐらいあってもいいのにと思いますよ。

 ということで,たとえば「小さな政府」と「米軍依存からの脱却」という,この2つを組み合わせだけで,有権者にとっては選択肢が皆無の状態。最近できた多くの新党の名前すら僕には覚えられないし,各党の主張の違いも独自性もはっきりわかりませんが,日本にこれだけ多くの政党がありながら,政策の違いによる選択肢の少なさはいったい何なのかと思います。

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2010年5月30日 (日)

世論調査結果

 朝日新聞社が5月29,30日の両日に実施した緊急世論調査結果によると,鳩山内閣の支持率は17%まで落ち込んだとか。内閣支持率は僕にとってはどうでもいいんですが,朝日新聞によると,今回の世論調査の質問内容は以下のとおりです。

◆鳩山内閣を支持しますか。支持しませんか。
◆いま,どの政党を支持していますか。
◆今年の夏に,参議院選挙があります。仮にいま投票するとしたら,比例区ではどの政党,またはどの政党の候補者に投票したいと思いますか。
◆今度の参議院選挙の結果,どの政党に議席を伸ばしてほしいですか。
◆沖縄にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設問題についてうかがいます。鳩山内閣は,飛行場を沖縄県・名護市・辺野古に移設する一方で,沖縄の基地負担の軽減に取り組む政府方針を決めました。この政府方針を評価しますか。評価しませんか。
◆鳩山首相は移設問題を5月末までに決着させると表明していました。鳩山首相は約束を守ったと思いますか。守らなかったと思いますか。
◆普天間飛行場の移設をめぐる鳩山首相のこれまでの取り組みを,どの程度評価しますか。(択一)
◆鳩山首相は,普天間飛行場の問題で,首相を辞任するべきだと思いますか。辞任する必要はないと思いますか。
◆社民党の福島・消費者大臣は,辺野古への移設に反対し,鳩山首相に解任されました。福島大臣の対応を評価しますか。評価しませんか。
◆沖縄にある米軍基地などを整理・縮小するために,一部を国内のほかの地域に移すことについて,賛成ですか。反対ですか。

 マスコミの世論調査というのは,相変わらず質問内容が誘導的なので,調査結果にはあまり興味がありませんが,ちょっとだけ興味を引いたのは最後の「沖縄にある米軍基地の一部を国内の他の地域に移すことに賛成か反対か」という質問。この結果は「賛成50%,反対34%」だったそうです。

 今回の世論調査に回答した人のうち,沖縄の人はどれぐらいいるんでしょうか。人口比率では,沖縄の人口は日本全体の約1%で,この世論調査はコンピューターで無作為に選んだ人が対象らしいので,沖縄県の人の回答は約1%と考えるのが自然でしょう。つまり,沖縄の基地の一部を国内の他の地域に移すことに対して,沖縄県外の人の約50%が賛成しているということになります。

 だったら,これに賛成している人に対して,「あなたの住む地域に米軍基地が移転してくることに賛成ですか?」という鋭い質問を,なんでしてくれないんでしょうね。県外移設へ賛成している人でも,自分の地域に移設されるとしたら大半の人が反対するというのが,基地移転が難しいことの本質だと思いますが,この世論調査の安易な質問を見て,マスコミは問題の本質を何もわかっていないと感じました。

 多くの有権者にとって,普天間基地問題に関する鳩山内閣への批判の理由は,あくまで政権公約違反だとかやり方がまずいとかいうことであって,決して「自分の地域で基地を受け入れてもいいので,沖縄県民の負担を軽減してあげたい」というわけではないでしょう。「日本国内に米軍基地は不要」と考えている人でない限りは,残念ながら,これが県外の有権者の本音なんです。

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2010年5月 9日 (日)

わかってない

 どんなに素晴らしい政策でも,賛成する人がいれば反対する人が必ずいるもの。ある政策に対して全国民の利害が一致して全員が賛成なんてことはありえません。米軍普天間飛行場移設問題のゴタゴタを見ていると,政府はこの当たり前のことが全然わかっていないように思えます。

 沖縄県民も,鹿児島県徳之島の島民も,そして米軍も,みんなが納得して賛成する移設案で決着させようというのは,土台無理な話。決着するには誰かを犠牲にするしかありません。そもそも民主党が「県外移設」を公約に掲げた時点で,米軍の意向に反することや,沖縄県以外のどこかの県を犠牲にする可能性があったことは想定内のはず。今ごろ何を迷っているのかと言いたくなります。

 鳩山由首相は移設先として検討中の徳之島の3町長と7日に初めて会談し,徳之島に普天間のヘリ部隊の一部か訓練機能を移転する案を打診したものの,3町長は移設を拒否する考えを首相に伝えたとか。

 ちょっと気になったのは,3町長は「移設反対が島民の総意」であるかのように反対の態度を表明していますが,本当にそう言い切っていいものなんでしょうか。どんなに素晴らしい政策でも反対する人が必ずいるのと同じように,経済効果を期待するなどの理由で,移設に賛成する奇特な島民も必ずいるものです。

 3町長が鳩山総理に手渡した移設反対署名は,島の全人口(約27,000人)に匹敵する25,878人と言われています。3町長が移設反対のよりどころとしているのはこの署名数なのかも知れませんが,この署名は反対派島民が島内外で集めたもので,島民以外の署名も含まれており,島民の署名は約77%の約20,000人分とか。さらに,公職選挙法で定められた正式な署名ではないので,代理署名があったり,選挙権のない年少者の署名があったり,そもそも,「つきあい」で署名したり村八分を恐れて署名したりした人も含まれているかも知れません。きちんとした無記名の住民投票でもしない限り,正確な移設反対者数はわからないと思いますよ。

 とは言っても,静かな島に米軍が移設してくるとなれば,多くの人が反対するのは当然でしょう。これは,米軍に限らず,発電所でも,刑務所でも,火葬場でも,ゴミ焼却場でも,誘致される側がもし住民投票をしたら,反対が多数になってしまうのはある意味当然でしょうね。

 地元住民の声をすべて聞いていたら,日本中のどこにも発電所一つ建設できなくなってしまうわけで,「公共性のある迷惑施設の建設」に対して住民がどのように公平に負担するかというのは本当に難しい問題です。しかも,発電所やゴミ焼却場の場合と違って,米軍基地に公共性があるのかというのは意見が分かれるところ。普天間飛行場の軍事上の位置づけはよくわかりませんが,しょせんは米軍の戦略上の1拠点であり,日本国民にとっての公共性はほとんどないというのが僕の率直な思いです。そもそも,被占領時代はとっくに終わったのに,他国の軍隊がいつまでも常駐していること自体が,極めて異常な状態だと思いますよ。

 過去の関連記事:
  国民投票法案(2006年3月24日)
  住民投票(2006年3月14日)

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