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2015年9月 2日 (水)

メディア頼み

 なにかとお騒がせ中の大阪市の橋下市長。かつて「立候補することは2万パーセントない!」って断言しながら大阪府知事に立候補するなど,僕はこの人の言動をあんまり信用していないんですが,時々ハッキリと良いことを言うなと感じることがあります。たとえば最近では,安全保障関連法案の反対集会に関して「国民の政治活動として尊重されるのは当然」とした上で,8月30日の国会周辺での大規模デモに触れて「たったあれだけの人数で国家の意思が決定されるなんて民主主義の否定だ」と発言したとか。

 安保法制に関しては,法案反対のデモだけでなく,僕はキモイと感じる法案賛成のデモも行われています。また,明らかにネットウヨクの呼びかけで集まったと思えるヘイトスピーチのデモなんかも行われています。デモをやること自体は意思表示として自由ですが,「デモによって国家の意思決定が左右されるべきでない」という橋下氏の発言にはまったく同感で,各有権者の意思は,まずは選挙の際の投票行動でもって示すべきです。

 しかも,国会周辺で大規模デモが行われた8月30日は日曜日であり国会はお休み。議事堂内には大半の国会議員はいなかったので議員にはその声は届きません。もっとも,国会議員が議事堂の中にいたとしても,デモの叫び声が直接議員に聞こえるわけではありません。

 結局は,これだけの大規模なデモが起こったという事実が,報道を通して関係者の目や耳に入り,それによって何かが動くことを期待しているということなんです。個々のデモ参加者がメディアをどこまで意識して行動いていたかはともかく,結果的にはそういうことになります。メディアが報道してくれなかったら,結局はデモがあったこと自体,一般国民も国会議員も知ることはできません。

 似たような話として,国会議員の委員会質問があり,国会議員がどこまで本気で質問をしたいのか疑問に思うことがあります。テレビの国会中継を意識してか,テレビカメラに向けて説明パネルを立てて質問をせずに延々と自説を述べる議員は,メディアを経由して自分をPRしたいのかと疑いたくなります。以前安倍総理が質問者に対して「質問しろよ!」みたいな野次を飛ばしたことが問題になりましたが,この時の安倍総理の気持ちはよくわかります。

 あと,テレビでも報道されましたが,安保法案が衆議院の委員会で採決された時のシーン↓

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(日経新聞Webより転載)

 反対する委員が「強行採決反対!」の紙を,委員長に向けてではなく明らかにテレビカメラや記者に向けて示しています。これには笑ってしまいました。これも,明らかにメディアを意識した行動ということでしょう。しかも,反対議員は賛成議員と同様に起立しているので,賛成しているみたいになっているのにも笑えます。

 このように,政治的な何かを主張する時は,結局は「メディア頼み」にならざるを得ないというのが悲しい現実なんです。戦時中のメディアが政府・軍隊の意思伝達期間であったことからもわかるように,歴史を動かすのも動かさないのもメディアの力が大きいというわけです。古代や中世の歴史はそれなりに緩やかに変化してきたわけですが,メディアが発達した現代では,ちょっとしたことから歴史はスピーディーに動くと言えるでしょう。

 このため,権力者は自分たちの意思を的確に民衆に伝えて欲しいとメディアに望むわけで,結果として,意思に沿わないメディアに対して「懲らしめたい」発言が飛び出すのも,その気持ちは痛いほどわかります。かつての総理大臣 佐藤栄作氏が引退する際,メディアを通して自分の意思が伝わらない歯がゆさに業を煮やし,記者会見で「新聞は信用できない」と発言して新聞記者を閉め出し,テレビによる実況中継だけで独演による辞任会見をしたシーンは,子供のころのリアルタイムの記憶として残っています。

 世の中のあらゆる事実はメディアを通してしか知ることができないのが悲しい現実。しかも,ネットにせよテレビにせよ新聞や週刊誌にせよ,どんな媒体でもそれなりのフィルターがかかった上で国民に知らされるのも現実。ということで,とにかく,メディアに対しては,つまらない世論調査や社説なんかは要らないので,極力純粋に事実だけを正確に伝えて欲しいと,切に願ってやみません。

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