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2012年6月20日 (水)

不思議な放送法

 去年から今年にかけての約1年間,長期出張で富山県に住んでいました(今は茨城に戻っています)。この間,会社が契約した家具付きマンスリー住宅に住んでいたんですが,NHKの受信料支払いに関して一悶着あったので,ちょっと書いておきます。

 現在の放送法64条(旧32条)には「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は,協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とあるため,家具付き賃貸住宅でテレビ付きの場合には,住宅供給会社に受信契約義務があるということになります。

 ところが,僕が住んでいたアパートの場合は,賃貸契約書の中に「NHK受信料は居住者が支払うこと」と書かれており,これは明らかに放送法を逸脱。住宅供給会社はNHKとの受信契約を回避して居住者に押し付けているのが実情です。家具付き住宅の供給会社がすべてそうなのかは知りませんが。

 ある日,僕の住んでいたアパートにNHKの集金人が訪れ,この賃貸契約書(ホームページに掲載されていたサンプル)を見せて受信契約を迫ってきました。そこで,「これって本物の契約書ではなく,僕(の会社)と住宅会社との契約書ではないし,本物の賃貸契約書にどう書かれているかをNHKに開示しているわけではないので無意味!」と反論しましたが,この集金人さんは相当アタマが悪いらしく,僕の説明が理解できなかったようです。

 そもそも,法律で規定された契約義務者が,別の第三者にその義務を負わせる契約を結んだ場合に,その当事者間の契約の効力がNHKにまで及ぶという考え方はおかしいんではないでしょうか。これが通じるなら,たとえば僕が自宅にテレビを設置し,その受信契約義務を外国に住むAさんが負うような契約を僕とAさんの間で結べば,NHKは「はい,わかりました」と言って外国に住むAさんの所へ受信契約依頼に行ってくれるということになり,それはおかしすぎます。家具付き賃貸住宅で居住者に受信契約を迫るというのは,これと同じぐらいヘンなことだと思いますよ。

 それにしても,受信設備を設置した者に契約義務を定めた放送法というのは欠陥と感じます。とにかく「設置した者」っていう表現が曖昧すぎます。テレビを買った時に,家に運んで設置してくれたのが電気店の人だったら,その店員さんが「設置した者」なんでしょうか。また,家を引っ越した時に引っ越し業者がテレビを設置してくれたら,その引っ越し業者の人が「設置した者」なんでしょうか。

 それは言い過ぎとして,「テレビを購入した人」と解釈するのが自然でしょう。そうなると,たとえばアパートに下宿中の学生に親がテレビを買って下宿先に設置したような場合は,親が「設置した者」であり,受信契約義務は当然親が負うということですよね。下宿中の学生さんで,もしNHKに受信契約を迫られて困っている人がいたら,「私自身が設置したわけではないので放送法64条に基づく受信契約義務はない」と言って断ってみたらどうでしょうか。「じゃあ,誰が設置したの?」と聞かれても答える義務はないでしょう。それを自力で調べるのはNHKの仕事です。

 このケースと同様に,他人からテレビをプレゼントされたような場合には,プレゼントしてくれた人が受信契約義務を負うと解釈するのが自然でしょう。過去のブログに何度か書いているので詳細は省略しますが,受信料制度というのは非常に理不尽な制度です。そこで,この「プレゼント」という手段を上手く利用すれば,理不尽な受信契約を合法的に回避することが可能かも知れません(お金持ちの親に買ってもらうとか)。なお,贈与税の基礎控除は年間110万円なので,通常の大きさのテレビ1台ぐらいは贈与税の課税対象にはなりません。

 ということで,放送法64条の「設置した者が受信契約」というのは,NHKにとっては致命的な欠陥表現だと思います。この法律が制定された1950年に考えが及ばなかったのは止む無しとして,この文言がこれまで改正されなかったのは不思議です。もっとも,仮に「視聴する人が受信契約」としても,それはそれで無理なケースが多々あり,やはり放送法自体に無理があると言わざるを得ません。視聴したい人の自由意思で料金を支払うというのが自然だと思います。ディジタル化に伴って容易に個別にスクランブルをかけることが可能になっているのに,なんで「健全で明朗な有料化」を導入しないのか,不思議でなりません。

 なお,僕は法律の専門家ではないので,僕の法解釈はすべて素人判断によるものです。ご指摘やご助言があれば,ぜひお願いします。

過去の受信料関連ブログ:
  NHK受信料(2005年12月23日)
  受信料は必要?(2006年6月16日)
  受信料未払い訴訟(2010年3月21日)
  アナログ放送終了(2011年7月25日)

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