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2012年1月28日 (土)

今年もよろしく!

 超多忙で,しばらくブログ更新をさぼっていました。ということで,大変遅ればせながら,本年もよろしくお願いいたします。

 書きたいことがいっぱい溜まっていて,何から書こうか迷うところですが,長期にわたって何かとお騒がせ中の原発問題は,一度は触れておきたい話題だったので,僕の考えをまとめておきます。

 今後原発をどうすべきか(廃止か存続か)という議論があり,原発を存続すべきという理由には「原発を存続しないと電力が足りなくなる」と「原発を存続しないと電気料金が跳ね上がってしまう」の二つが柱になっているようです。でも,現在既に国内の9割ぐらいの原発が停止しているらしく(数字は正確ではありませんが),このまま再稼働せずに行くと近い将来国内のすべての原発が停止するらしい。

 この状況で,震災後の一時期には計画停電があったものの,節電努力のおかげか,夏場のピークは何とか乗り切れたし,これまで電力不足による停電は一度も発生していません。つまり,「原発を存続しないと電力が足りなくなる」という主張は必ずしも正しいとは思えません。「原発がなくてもなんとか頑張れば電力は足りる」と言えるのではないでしょうか。もし国内の原発が全停止してしまうと「原発がなくても何とかなる」というのがわかってしまうため,それを恐れて原発関係者は何とか再稼働させようとしているみたいですが。

 存続派が主張するもう一つの理由「原発を存続しないと電気料金が跳ね上がってしまう」・・・これはまったくのデタラメだと断言できます。東電は4月から大口需要家向けに電力料金の大幅値上げをすると発表しましたが,値上げの理由は原発の事故処理費用でもなんでもない,「原発停止による火力発電追加に伴うコストアップ」だそうです。

 でも,電気料金値上げを火力発電増加のせいにするのは,原発稼働に反対する人に対するイジメとしか思えないし,原発が大事故を起こして巨額の事故処理費用や補償費が必要となるのに,それを電力料金値上げの理由にきちんと入れようとしない電力会社の姿勢は許せません。

 去年の10月に,国の原子力委員会が原発事故の賠償費用を含むコストを再計算したというニュースが報じられていましたが,この前提が,なんと500年に1回事故が起こるという条件とか。現実に国内で原発が稼働し始めてから50年程度で大事故が起こっているのに,この前提条件には笑えます。原発推進者は,とにかく原発コストを低く低く見せたいというのが見え見えで,超見苦しいです。

 火力発電の燃料費だけと比較して「原発は安い」と電力会社は主張しているようですが,原発建設に巨額の建設費がかかる一方,他の発電方式に比べて原発の稼働率が極めて低いのは周知のとおり。そして,原発の設備は24時間体制で厳重に警備されるなど,多額の維持管理費がかかります。片や,たとえば水力発電所は,発電量が原発に匹敵するような大規模揚水発電所も含めて,東電の場合はすべての水力発電所を無人で遠隔から集中制御しています。おまけに水力の場合,燃料費はタダ同然(水利権の問題等があり,厳密にはタダではないようですが)。直感的には「原発の発電コストが安い」は信じられません。

 国内の電力会社のうち,沖縄電力だけは原発を持っていません。しかも,沖縄電力の発電方式はコストが高いと言われている火力発電主体です。その沖縄電力と,東電・関電の電力料金を比較してみましょう。(60A以下の標準的小規模世帯の比較)

1.沖縄電力(従量電灯料金)
 最初の10kWhまで:383.69円
 従量料金
  10kWhをこえ120kWhまで:1kWhあたり 21.86円
  120kWhをこえ300kWhまで:1kWhあたり 27.15円
  300kWhをこえる部分:1kWhあたり 29.04円

2.東京電力(従量電灯B料金)
 基本料金
  10A:273.00円
  15A:409.50円
  20A:546.00円
  30A:819.00円
  40A:1,092.00円
  50A:1,365.00円
  60A:1,638.00円
 従量料金
  最初の120kWhまで:1kWhあたり 17.87円
  120kWhをこえ300kWhまで:1kWhあたり 22.86円
  上記超過:1kWhあたり 24.13円
 最低月額料金:216.30円

3.関西電力(従量電灯A料金)
 最低料金(最初の15kWhまで):320.25円
 従量料金
  15kWh超過120kWhまで:1kWhあたり 19.05円
  120kWh超過300kWhまで:kWhあたり 24.21円
  300kWh超過分:1kWhあたり 25.55円

 料金体系が微妙に違うので単純比較は難しいですが,原発を持たない沖縄電力の電力料金と,原発を有する東電・関電の電力料金は大差ないと言えます。この事実を見ただけで,電力会社や政府の言う「原発は安い」が嘘っぱちだということがわかるでしょう。

 ただ,これまで巨額のカネをかけて建設・維持してきた原発を廃炉にするのはもったいないと感じるし,原発がなくなると困る組織や困る人が多数出てくるのも事実です。電力会社の原発関係者が職を失い,原発メーカも仕事がなくなり,原発関連の学者の存在意義がなくなり,原発を有する自治体も収入が減り,地元の雇用もなくなる。政府の関連組織も維持できなくなります。

 ということで,原発を存続すべき最大の理由は「組織を維持するため」「雇用を守るため」「地方財政を守るため」などであり,そのために原発が絶対に必要なんです。それを正直に言わずに話をすり替えて,無理やり発電コストのせいにするから話がややこしくなっていると言えます。

 ところで,原子力の安全を検査すべき立場の原子力安全・保安院が原発を推進する立場の経済産業省の組織になっているのはけしからんということで,2012年3月末で解体廃止して環境省原子力安全庁として再出発することが決まったそうですが,いくら新組織になっても,しょせん原発があってこそ維持できる組織であり,原発を養護して推進するというのは同じで,所轄官庁を変えても意味ありません。組織の改変を決めた人は,その本質的なことが何もわかってないと感じます。

 福島第一原発の事故の原因は津波が想定外の高さだったということで,あの大震災での津波がもし想定内だったら今でも何事もなかったように原発は稼働していたでしょう。何事もなかった僕の自宅から10キロ圏内の東海村原発は,津波があと数十センチ高かったら福島第一と同じ状況になっていたと言われており,そうなると僕は自宅も会社も追われて,今は避難生活になっていた筈です。そう考えると,原発の存続には賛成しがたいというのが正直な気持ちです。

 いくら津波の高さの想定値を見直したとしても,想定外のことは必ず起こるものです。津波に耐える設計をしたところで,原発の直下で地震が発生したり,テロに遭ったり,核兵器搭載ミサイルが落ちたりしたら,事故は防げません。これは原発に限らず他の発電所でもまったく同じで,火力発電所が大爆発したり水力発電所にミサイルが落ちてダムが決壊したりしたら大災害になります。

 ただ,火力や水力発電所が破壊されても被害のエリアと時間は限定的で,放射能汚染のように何十年も立ち入れないということにはなりません。福島第一原発付近を走るJR常磐線や常磐自動車道は未だに不通で何十年後に復旧するのか見通しが立っていないし,原発付近では未だに震災被害者の遺体捜索すら完了していないそうです。また,今しきりに除染・除染と言われていますが,除染したら新たに別の放射性物質が出るわけで,除染というのは単に放射性物質を別の場所に移動するだけであり,放射性物質が消えてなくなるわけではありません。これらのことを考えると,やはり原発や放射性物質というのは人間が制御できる限界を超えたものだということを痛感します。

 ということで,原発に対する僕なりの結論は・・・
1.電力供給の観点では,原発がなくなっても頑張れば何とかなる。
2.原発の発電コストが低いというのは,まったくのデタラメ。
3.組織や雇用を維持するためにこそ,原発は絶対必要。
4.でもやはり,原発は人間がコントロールできる限界を超えている。できればなくしたい。

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