« 突然の引退 | トップページ | 不思議な習性 »

2011年8月29日 (月)

モノを持つリスク

 僕はこれまで賃貸住宅に長期で住んだ経験はありませんが,古い人間なので,やはり賃貸住宅というのは「あくまで仮住まい」であり「いずれは持ち家を」といった感覚がありました。そして,住んでいる地域が地方都市で一戸建てが手に入りやすかったこともあり,ローンを組んでマイホームを建て,そして幸いにもローン返済もあとわずかというところまで来ています。

 住宅に関して,賃貸と自己所有のどちらがいいかというのは永遠の課題でしょう。ライフスタイルや価値観は人それぞれだし,単純に費用的に「どっちがトクか」だけでは判断できない難しい問題ですが,賃貸の第一の欠点は,やはり「自由度の制約」でしょうか。部屋の模様替えは簡単にできないし,壁に穴を開けたりするのはもちろん,原則として釘一本打てないわけですから。それに,ペットを飼ったりすることもできません。もっとも,僕はペットを飼わない主義なので,この点は気になりませんが。

 賃貸に限らず集合住宅の場合には,近隣への騒音に気を使わなければならないのもけっこう大変です。部屋で楽器を演奏したりできないし,階下に部屋がある場合には夜遅くに洗濯ができなかったりとか。そして賃貸住宅で何よりも理不尽なのが保証人制度。最近は保証人不要の賃貸も増えているみたいですが,大のオトナが住まいを借りるのになんで第三者の保証人が必要なのか,僕には理解できません。この点でも賃貸住宅は敬遠したくなります。

 逆に,家を所有するリスクというのは「買い直し」が極めて困難ということでしょうか。転勤の問題とか,住んでみたら隣人がとんでもない変人だったとか,いろんなケースが考えられます。そして,それ以外に,これまではあまり考えたことがなかった「失うリスク」というのを痛切に感じるようになりました。

 3月の大震災で,自分が勤めている職場のビルは,倒壊こそしなかったものの,ヒビが入って耐震上の問題から使用不可となり,職場は何度も引っ越しを余儀なくされました。また,僕の住む地域の小学校も校舎が使用不能となり,他の小学校や中学校に児童を分散して授業を続けていると聞きます。

 僕の自宅は,震災によって壁にヒビが入ったりしたものの,とりあえず住み続けるのには支障ない程度ですみましたが,福島や宮城などでは,家屋だけでなく家財もクルマもすべての財産を一瞬のうちに津波で流されてしまった人も大勢いるわけで,天災によって一瞬で全財産を失うケースを目の当たりにすると,モノを所有するリスクというのを痛切に感じます。土地や家屋などの個人資産だけでなく,工場や生産設備を持つ経営者,田畑を持つ農家,漁船を持つ漁業従事者 などもリスクが大きい職業と言えます。

 一戸建てなら家屋を失っても土地だけは残るということはありますが(大津波に遭ったり土地が液状化現象になったりすると,それも怪しい),マンションなどの集合住宅の場合には,建物が倒壊したり全焼したりしたら住宅としての財産はほとんど何も残らないわけで,集合住宅を財産として所有するリスクは極めて高いと感じます。

 というわけで,天災によって失うリスクという一点に絞れば,不動産やクルマなどの高価なモノは極力所有せず借りるのがベストということでしょうか。もっとも,借りていたモノが天災によって返却できなくなった場合に借用者はどこまで免責になるのか,僕は詳しいことはよくわかっていませんが。

|

« 突然の引退 | トップページ | 不思議な習性 »

コメント

コンスタントな更新が再開されて嬉しいです。以前同様、愛読させていただきます。また機会があれば京都でお会いしましょう(●●●さんともども)。

ちなみに、僕は昔から「所有するリスク」をほうを重くカウントしてしまうほうです。3月の大震災でその感をますます強くしました。

投稿: ★★★”★ | 2011年9月 3日 (土) 03時14分

 ★★★”★さん,こんにちは。コメントありがとうございます。まだまだコンスタントとは言えませんが,マイペースで更新していきたいと思います。
 今回の震災では,企業の「拠点を集中するリスク」というのも強く感じました。私の勤める企業グループは多くが茨城に集中していたため,長期間業務が停滞して大変だったです。拠点が愛知県にあるのに東北地方の部品メーカが被災して1ヶ月も操業停止に追い込まれたトヨタの例もあり,なかなか難しい問題ですね。

投稿: かば | 2011年9月 3日 (土) 19時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/149573/52598931

この記事へのトラックバック一覧です: モノを持つリスク:

« 突然の引退 | トップページ | 不思議な習性 »