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2010年7月 3日 (土)

裁判員裁判で無罪判決

 覚せい剤取締法違反と関税法違反の罪に問われた裁判員裁判で,千葉地裁は6月22日に無罪の判決。裁判員裁判で全面無罪が言い渡されたのはこれが初めて。この裁判で,裁判員は「出てきた証拠だけで判断する」「完全に有罪と言い切れない場合は無罪とする」という基本原則に従って無罪の判断をしたとか。

 ところが,間接的な証拠が多くあるため,裁判官だけで審理する控訴審では有罪が得られる可能性があるとの判断で,検察当局は控訴する方針らしいです。裁判員裁判で検察が控訴すれば,これまた初めてのケースとなるそうです。

 この裁判の審理内容の詳細はわかりませんが,たとえ真実がどうであれ,「検察側が客観的に有罪を立証できなければ無罪」というのが刑事裁判の大原則です。その意味で,出された証拠だけで判断して有罪と言い切れないために無罪と判断したのは,極めてまっとうな判決ではないでしょうか。従来の裁判官だけの裁判では有罪判決の確率が99%以上と言われており,えん罪の温床となっています。一般人の感覚を裁判に取り入れてえん罪を防ぐというのが裁判員制度の大きな目的の一つであり,まさにこの裁判でそれが機能したと思います。

 ところが検察側は,控訴して裁判官だけの裁判に持って行くことにより逆転有罪を勝ち取ろうとしているわけで,実際に,たぶん控訴審では有罪になる確率が高いでしょう。結局は検察側が控訴したら裁判員制度は実質的に機能しなくなるという,まさに裁判員制度導入時に心配した,予想どおりの展開になっていると言えます。

 刑事裁判の場合,検察側は大きな権力と費用を駆使して組織的に捜査できるという点で,弁護側に比べて圧倒的に有利に裁判を進めることができます。裁判員制度を意味あるものにするためには,検察が一審で有罪にできなかったら即「負け」として,検察側の控訴は認めないような制度にすることが必要ではないでしょうか。

 過去の関連記事:
  裁判員制度スタート(2009年5月23日
  初の裁判員裁判(2009年8月11日)

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