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2010年7月25日 (日)

理不尽な保証制度

 借金の連帯保証人制度というのは,連帯保証人が債務者と全く同じ義務を負い,借りた本人が返済を拒否した場合などには,いきなり連帯保証人に返済を求められることもあるという非常に厳しい制度であり,人権上の問題からも見直しの要求があると言われています。

 親子などの強い血縁関係でもない限り,借金の連帯保証人を誰かに頼むというのは通常は困難だと思いますが,連帯保証人を選任するのが比較的容易なケースもあり,それは学生が奨学金を借りるケースではないでしょうか。奨学金制度を利用して大学などの学費を借用する場合に,親が連帯保証人となるのは極めて自然であり,よくあることだと思います。

 ところが,これが問題なんです。独立行政法人「日本学生支援機構」が貸与する奨学金制度の場合,連帯保証人とは別に「保証人」を立てることを求めています。日本学生支援機構によると,連帯保証人と保証人の選任規定は以下のとおりです。
・連帯保証人=父母。父母がいない場合はそれに代わる者。
・保証人=原則として4親等以内の親族で,連帯保証人と別生計の者。

 連帯保証人を父母が引き受けるのはいいとしても,4親等以内の親族で保証人を選任するというのはかなりハードルが高いと言えます。僕自身の場合,仮に兄弟や従兄弟から借金の保証人を依頼されても,ちょっと引き受ける気にはなれません。逆の立場で言えば,親子以外の人に保証人をお願いすることはできません。

 つまり,親が子供の借金の連帯保証人を引き受けやすい奨学金であるにもかかわらず,さらに保証人を求める奨学金制度というのは,とても理不尽だと思います。

 このように,連帯保証人や保証人を選任するのが困難な場合には,連帯保証人に代わって保証機関が連帯保証してくれるという,いわゆる機関保証制度があります。このため,奨学金を借りる場合に,連帯保証人を選任せず機関保証制度を利用するケースもけっこう多いと想像します。実際に,日本学生支援機構の案内を見ると,機関保証制度の利用を強く薦めているようにも読み取れます。ところが,奨学金における機関保証制度というのも,実はとんでもない理不尽な制度だと思いますよ。

 たとえば,仮に機関保証制度を利用して奨学金を受け取っていた奨学生が,大学を卒業しても就職できなかったような場合(今の時代には大いにあり得るケースです),卒業後の奨学金返済が不可能となります。失業中の場合には返済が猶予されるような制度もありますが,本人が死亡したり自己破産申告したりしない限りは,早かれ遅かれいずれは返済が必要です。また,仮に返済不能となって保証機関が返済を代行した場合でも,決して債務が帳消しになるわけではなく,結局は保証機関が奨学生にその分の一括返済を求めることになります。

 そうなった場合に,子供がホームレスになったり自己破産したりするまで放置しておくことのできる親は少ないのではないでしょうか。結局は,直接的か間接的かはともかく,何らかの形で親が支援(肩代わり)せざるを得ないと思いますよ。そうなると,せっかく機関保証制度を利用して借金したのに,経済的負担面では結局は親が連帯保証人になったのと全く同じことになります。

 ちなみに,機関保証制度を利用した場合には,以下の保証料が差し引かれて奨学金が貸与されることになります。つまり,通常の借金で機関保証制度を利用した場合はともかく,奨学金で機関保証制度を利用した場合の保証料というのは,結局は保証機関の「丸もうけ」になるケースが多いのではないでしょうか。

(1)第一種(無利子)で,国公立大学・自宅外通学・4年貸与のケース
  貸与月額51,000円の場合の保証料月額は 2,143円(奨学金の4.2%)
  (4年間の保証料総額=102,864円)

(2)第二種(有利子)で,大学・4年貸与のケース
  貸与月額50,000円の場合の保証料月額は 2,246円(奨学金の4.5%)
  (4年間の保証料総額=107,808円)

 過去の関連記事:給食費に連帯保証人(2008年12月8日)

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