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2010年7月29日 (木)

2人の死刑を執行

 28日に2人の死刑囚に対して死刑執行されたことが大きなニュースになっているようです。死刑執行は昨年9月の政権交代後初めてであり,死刑執行書に押印した千葉法相が,かつての死刑廃止議員連盟のメンバーだったことや,先日の参院選で落選したことや,自ら執行に立ち会ったことなどが話題になっているようですが,そんなに騒ぐほどの問題なんでしょうか。

 自民党の大島幹事長は「参院選で落選した千葉氏が執行を許可したのは違和感を覚える」と語り,公明党代表の山口氏も「千葉氏は法相の職にふさわしいかどうかという点で民意を得られなかった」「菅直人首相の任命責任が改めて問われる」などとコメントしていますが,これらの発言は相当外していると感じます。国会議員と大臣の仕事はまったく別であり,選挙の結果は国会議員に対するものであるという基本を知らないのでしょうか。また,法相が執行書に押印したのは参院議員としての任期が切れる前の7月24日などと言い訳(?)されていますが,それはどうでもいい問題でしょう。

 もし僕が何かの犯罪で裁かれて,仮に「懲役10年」か「死刑」を選べと聞かれたら,迷わずに死刑の方を選びます。それぐらい,死刑という刑罰を重いと感じるかどうかは人それぞれ。そんなわけで,僕自身は死刑制度に対して賛成でも反対でもありませんが,死刑が執行されるたびに死刑賛成とか反対とかが話題になるのも,なんだかヘンな話です。

 死刑制度があり,かつ現実に100人以上の確定死刑囚が存在しているわけで,法がある限りはいずれ刑が執行されるのは避けられません。法務大臣が刑の執行の最終判断を行うという今のシステム自体がヘンだとは思いますが,それはそれとして,法務大臣は法に従って処理しただけであり,何も問題ないと思いますよ。

 死刑問題に関する過去の関連記事:
  死刑執行(2005年12月12日)
  償いと死刑制度(2006年9月11日)
  年末に死刑執行(2006年12月31日)
  自動的に執行(2007年9月28日)
  死刑執行の公表(2007年12月12日)
  終身刑は必要?(2008年5月6日)

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2010年7月25日 (日)

理不尽な保証制度

 借金の連帯保証人制度というのは,連帯保証人が債務者と全く同じ義務を負い,借りた本人が返済を拒否した場合などには,いきなり連帯保証人に返済を求められることもあるという非常に厳しい制度であり,人権上の問題からも見直しの要求があると言われています。

 親子などの強い血縁関係でもない限り,借金の連帯保証人を誰かに頼むというのは通常は困難だと思いますが,連帯保証人を選任するのが比較的容易なケースもあり,それは学生が奨学金を借りるケースではないでしょうか。奨学金制度を利用して大学などの学費を借用する場合に,親が連帯保証人となるのは極めて自然であり,よくあることだと思います。

 ところが,これが問題なんです。独立行政法人「日本学生支援機構」が貸与する奨学金制度の場合,連帯保証人とは別に「保証人」を立てることを求めています。日本学生支援機構によると,連帯保証人と保証人の選任規定は以下のとおりです。
・連帯保証人=父母。父母がいない場合はそれに代わる者。
・保証人=原則として4親等以内の親族で,連帯保証人と別生計の者。

 連帯保証人を父母が引き受けるのはいいとしても,4親等以内の親族で保証人を選任するというのはかなりハードルが高いと言えます。僕自身の場合,仮に兄弟や従兄弟から借金の保証人を依頼されても,ちょっと引き受ける気にはなれません。逆の立場で言えば,親子以外の人に保証人をお願いすることはできません。

 つまり,親が子供の借金の連帯保証人を引き受けやすい奨学金であるにもかかわらず,さらに保証人を求める奨学金制度というのは,とても理不尽だと思います。

 このように,連帯保証人や保証人を選任するのが困難な場合には,連帯保証人に代わって保証機関が連帯保証してくれるという,いわゆる機関保証制度があります。このため,奨学金を借りる場合に,連帯保証人を選任せず機関保証制度を利用するケースもけっこう多いと想像します。実際に,日本学生支援機構の案内を見ると,機関保証制度の利用を強く薦めているようにも読み取れます。ところが,奨学金における機関保証制度というのも,実はとんでもない理不尽な制度だと思いますよ。

 たとえば,仮に機関保証制度を利用して奨学金を受け取っていた奨学生が,大学を卒業しても就職できなかったような場合(今の時代には大いにあり得るケースです),卒業後の奨学金返済が不可能となります。失業中の場合には返済が猶予されるような制度もありますが,本人が死亡したり自己破産申告したりしない限りは,早かれ遅かれいずれは返済が必要です。また,仮に返済不能となって保証機関が返済を代行した場合でも,決して債務が帳消しになるわけではなく,結局は保証機関が奨学生にその分の一括返済を求めることになります。

 そうなった場合に,子供がホームレスになったり自己破産したりするまで放置しておくことのできる親は少ないのではないでしょうか。結局は,直接的か間接的かはともかく,何らかの形で親が支援(肩代わり)せざるを得ないと思いますよ。そうなると,せっかく機関保証制度を利用して借金したのに,経済的負担面では結局は親が連帯保証人になったのと全く同じことになります。

 ちなみに,機関保証制度を利用した場合には,以下の保証料が差し引かれて奨学金が貸与されることになります。つまり,通常の借金で機関保証制度を利用した場合はともかく,奨学金で機関保証制度を利用した場合の保証料というのは,結局は保証機関の「丸もうけ」になるケースが多いのではないでしょうか。

(1)第一種(無利子)で,国公立大学・自宅外通学・4年貸与のケース
  貸与月額51,000円の場合の保証料月額は 2,143円(奨学金の4.2%)
  (4年間の保証料総額=102,864円)

(2)第二種(有利子)で,大学・4年貸与のケース
  貸与月額50,000円の場合の保証料月額は 2,246円(奨学金の4.5%)
  (4年間の保証料総額=107,808円)

 過去の関連記事:給食費に連帯保証人(2008年12月8日)

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2010年7月23日 (金)

ノンアルコール

 アサヒビールが「ダブルゼロカクテル」という名のノンアルコールのカクテルを発売するとか↓

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 この「カクテル」は,香料などを使ってアルコールのような味わいを再現し,炭酸と甘味料を使ってカクテルの風味を出し,カロリーも限りなく「ゼロ」にしたそうで,ジントニックテイストを9月,カシスオレンジテイストを11月にそれぞれ発売するらしいです。想定小売価格は130円前後とか。

 僕はアルコールをけっこう飲む方ですが,飲む目的は「酔っぱらいたい」ということではなく,どちらかといえば「料理といっしょに飲むと料理が断然おいしくなる」という理由です。なので,僕は料理に合うアルコールさえあれば満足で,お酒の値段や味にはあんまりこだわりません。もっぱら安酒ですませています。

 そんなアルコール味覚音痴の僕ですが,2009年にキリンビールが発売してヒットしたノンアルコールビール「フリー」は,「もう二度と飲みたくない」というのが僕の感想。グラスに注いだ時の「見た目」はたしかにビールそっくりなんですが,酸味がちょっと強くて,味はビールとはまったく別物。とてもビールの代用にはならないと思いました。

 そんなわけで,ノンアルコール飲料は,香料を使うなどしてどんなに頑張っても,アルコールと同じ味は絶対に出せないというのが僕の結論。アルコールの力ってほんと不思議で偉大です。そういうことなので,このノンアルコールカクテルには全然期待していません。ていうか,そもそも,甘みを付けたり炭酸を入れたりしたノンアルコールのカクテルって,普通のソフトドリンクと同じじゃん? って思います。しかも,350ミリリットルで約130円とは,まさにソフトドリンクと同等の値段ですよね。

 そういえば昔,フランス料理のレストランで食事をした際,クルマで行ったので「ノンアルコールワイン」を注文したことがあります。ワイングラスに注ぐとたしかに見た目はワインそっくりなんですが,味は「甘みの少ないグレープジュース」そのものでした。

 それにしても,このノンアルコールカクテル,メーカー側は未成年飲酒の助長を懸念して未成年への販売自粛を要請しているとか。アルコールゼロなのになんで未成年者に売ってはいけないのか理解に苦しみますが,ホンモノのカクテルと同じ味は絶対に出せないはずであり,これを飲んだのがきっかけで飲酒に走る未成年者はまず出ないので安心していいと,僕は思いますけどね。

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2010年7月22日 (木)

信頼度の低下

 ロンドン発成田行きの全日空便が「燃料漏れの可能性がある」としてエンジン2基のうちの1基を停止し,成田空港に緊急着陸したとか。同便にはゴルフの全英オープン選手権に出場したプロゴルファーの石川遼選手が搭乗していたそうです。

 石川遼選手が搭乗していたからって,別に驚くことのないニュースですが,石川遼選手といえば全日空のCMでおなじみ。JALとかには乗らずに,自分の宣伝している全日空をきちんと利用していたのには感心しました。昔「セコムしてますか?」としきりに宣伝していた あの長嶋茂雄氏の自宅に空き巣が入った(セコムしてなかった?)というニュースで笑わせてくれた長嶋茂雄さんのことを思い出しましたよ。

 全日空の緊急着陸はともかく,本日はJR西日本の山陽新幹線のトンネル内で保守用車両同士が衝突して脱輪し,始発から14時半まで新大阪~岡山間で上下線がストップするなど,あの信頼度の高い新幹線としては信じられないような事故が発生しています。

 JRといえば,JR東日本の各地の駅などに勤務する社員31人が,社員に提供される「職務乗車証」などを悪用してキセル乗車をしていたことが発覚したり,会社に不満を持ったJR西日本の車掌が緊急用防護無線の予備電源のヒューズを抜き取る事件が発生したりするなど,さすがに大量の社員を抱えるJRだけあって,社員の信頼度はさまざまなんですね。

 そして,今年1月に成田発パリ行きエールフランス機内で日本人乗客ら5人の現金計約4,000ユーロ(当時約54万円)が盗まれる事件が発生するなど,同航空で客の睡眠中を狙った現金や貴金属などの盗難事件が相次いでいたところ,フランスの捜査当局は,同航空の客室乗務員の女性を窃盗などの容疑で逮捕したとか。交通関係の乗務員の中では,かつては比較的信頼度の高いイメージのあった航空機の客室乗務員でさえ,最近はモラルが著しく低下しているようです。機内で安易に居眠りもできないとは,怖い時代になったものです。

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2010年7月18日 (日)

メディアの報じる「民意」

 参院選が終わって既に1週間経ちましたが,メディアの報道内容に関してもう一言。

 多くのメディアは「自民党の勝利,民主党の惨敗」と報じていますが,本当にそう言えるのでしょうか。今回の選挙結果に対して,メディアは自民党に対して「改選第一党」みたいな表現を使って しきりにもて囃していますが,この「改選第一党」って表現,僕は今回の選挙で初めて聞きました。今回の獲得議席数は民主44・自民51ですが,非改選議席数は民主66・自民33で,トータル議席数は民主106・自民84と民主党が文句なしに第一党。この「改選第一党」という聞き慣れない表現はこじつけっぽくて,僕にはなんだか違和感を覚えます。

 そもそも,比例区の獲得議席数では民主16(得票率31.6%)・自民12(得票率24.1%)で民主党が自民党を上回っており,選挙区の獲得議席数は民主28・自民39と自民党が民主党を上回ったものの,全国トータルの選挙区得票率は民主39.0%・自民33.4%と,比例区同様に民主党が自民党を上回っています。これは,得票数が比較的少なくても当選できる地方の一人区で自民党が効率よく当選させ,有権者の多い複数定数の選挙区で民主党は複数候補を擁立して多くの落選者を出したというだけのこと。全国的に自民党へ投票した人が民主党へ投票した人を上回ったということではありません。

 二人区で2名の候補者を擁立した「小沢方式」は失敗だったと報じられていますが,結果的に二人区の独占は実現しなかったものの,共倒れになった選挙区もなくトータルの民主党得票数は延びたため,民主党にとって複数擁立が失敗だったとは言えないと思います。確実に抑えておくべき一人区で大量の落選者を出したのが民主党の敗因でしょう。

 また,沖縄の普天間基地問題について,メディアはしきりに県外移設が沖縄県民の総意であるかのようにこれまで報じてきましたが,沖縄選挙区の結果は自民党候補の当選という結果に。この自民党候補が基地問題に関してどのような主張をしていたのかは知りませんが,自民党政権の時代には普天間の辺野古への移転が決定していたわけなので,沖縄選挙区で自民党候補が当選したということは,普天間基地の県外移設が必ずしも多数意見ではないということか,または,沖縄の有権者は基地問題よりももっと重要な政策があると判断した結果なのでしょう。

 ということで,いろんな面で,メディアがもっともらしく報じる「民意」というのは,実態と大きくずれているような気がしてなりません。

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2010年7月12日 (月)

面白い!

 サッカーの日本代表選手で顔と名前が一致するのは中村俊輔選手だけで,対戦相手の「パラグアイ」と「腹具合」の違いもわからないぐらい僕はサッカー音痴なんですが,そんな僕でも,今回のワールドカップはめっちゃ面白かったです。何が面白かったかって,試合の内容ではなく,ドイツの水族館のタコ「パウル」の予言。ついには決勝戦の結果まで的中させ,結局はドイツチームの試合と決勝戦の計8試合すべてを的中させたとか↓

Photo
(スペイン優勝を予言するパウル:asahi.comから転載)

 タコの予言はもちろん「まぐれ」ですが,8回連続で的中する確率は「2の8乗」分の1,すなわち256分の1で,まぐれとは思えないほどの確率の低さ。ほんと面白い話題です。

 面白いと言えば,昨日の参議院選挙の開票結果は面白かったし,この結果が民意だなんて,ほんと笑えます。選挙の結果は与党が大敗し,非改選議席を合わせても与党は半数割れとなり,またまた「衆参ねじれ」が復活。日本の有権者がこんなに「ねじれ」が好きだったとは,まったく意外でした。

 しかも,かつて自民党が衆院で3分の2以上の議席を保有していた時のように「参院否決後に衆院で再議決して3分の2以上の賛成で成立」ということもないでしょう。つまり,自民党政権時代の「ねじれ」とは異なり,与党の思いどおりに法案が通る可能性がほとんどなくなったわけです。このため,必然的に悪法は成立しにくくなるわけで,これはこれでいい面もあり,僕はある意味で「ねじれ」容認派なんですが,いったいどれだけ多くの有権者がそういう意識を持って積極的に「ねじれ」を選んだのかというのは,大いに疑問ですね。

 ところで,選挙区で落選した得票数上位5人の票は以下のとおり。
  1.千葉景子氏 (民主)696,739票(神奈川)
  2.岡部まり氏 (民主)617,932票(大阪)
  3.藤川雅司氏 (民主)567,167票(北海道)
  4.小池 晃氏 (共産)552,187票(東京)
  5.島田智哉子氏(民主)544,381票(埼玉)

 いずれも50万票を超える大量得票。これだけ得票しても落選するというのは,獲得議席が得票数に比例せず大量の死票が出るという選挙制度上の欠陥と,都市部の定数が少なく抑えられて都市部の候補者が不利になる定数不均衡が原因と言えるでしょう。

 落選候補のうち得票数トップの千葉景子氏は現職の法務大臣。大臣の約半数は国会議員でなくてもいいので,千葉氏には大臣を続投させると報じられていましたが,いっそのこと交代して小沢一郎氏を法務大臣にしちゃえばブラックユーモア的で面白かったと思いますよ。

 今回の民主党は一人区で惨敗でしたが,もし一人区の獲得議席が前回並みだったら民主党は軽く単独過半数を確保できたわけで,結局参議院は一人区がすべてで,衆議院は小選挙区がすべて みたいな側面があり,今の選挙制度はとにかく歪んでいると言えます。

 それにしても最近は,ある一方向に極端な風が吹いたり,無党派層がどっとある政党を支持したり,内閣支持率が短期間に急変したりするなど,有権者がせっかちすぎるというか飽きっぽいというか,いったい有権者はどんな政治を望んでいるのか,僕には理解困難になりつつあります。

 僕はどこかの党員や党友でもないし,特定の政党を熱烈に支持しているわけでもありませんが,それでも何十年も昔から一貫して,ほとんど変わらない投票行動を取っています。ところが最近の選挙は,激しく揺れる世論の動向の中で,結局はどのタイミングで選挙するかで結果がすべて決まってしまうような傾向があり,自分の1票がいかに小さく無力なものであるかを痛感しています。

 過去の関連記事:おかしな選挙制度(2009年9月3日)

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2010年7月11日 (日)

蟹工船(2009年版)

 2009年公開の映画「蟹工船」(監督/脚本:SABU,出演:松田龍平,西島秀俊 ほか)がWOWOWで放送されていたので見ました。旧作(1953年版)はモノクロ映画でしたが,本作品は総天然色(ふるっ!)の映画。カニの甲羅の毒々しい赤さが印象に残る映画でした【以下,ネタバレあり】

 小林多喜二の原作が発表されたのは1929年とのことで,この映画の時代背景もこの年代のようですが,出演者の髪型や髭,「マジ」なんていうことばが出てくるようなセリフや話し方など,時代考証的にはむちゃくちゃな映画と言えます。おまけに船員がトイレに閉じこめられるシーンに出てきたトイレが,なんと洋式トイレ。この時代にはあり得ないでしょう。船員も「トイレ」という表現を使っていましたが,この時代に「トイレ」という外来語が日常的に使われていたかも大いに疑問。もっとも,SABU監督は意識的に(わざと)現代に置き換えていたとも解釈できますが。

 この映画では「歯車」がシンボル的に描かれていますが,巨大な歯車のシーンは,あのチャップリンの「モダン・タイムス」の工場内のシーンを思い出させます。主人公が資本家に搾取されていることに気づき,労働者に呼びかけて団結しょうと立ち上がるというのがこの原作のテーマですが,この映画では,主人公が脱出後にロシア船に救助され,ロシア船の船員の言動がきっかけとなって蟹工船に引き返して労働者に呼びかけるというストーリー。ちょっとあり得ない気がします。

 僕は原作を読んでいないので,この映画がどこまで原作に忠実に描かれているのかというのは判断できませんが,原作とまったく別物の映画になったわけではないようで,意外なオチがあるわけではなく,映像的に特別面白いとか画期的とかいうこともなく,結果的には,お金を払ってまで見たい映画だとは思えませんでした。1953年版とどちらがいいかともし聞かれたら,僕は1953年版の方をおすすめします。

 過去の関連記事:蟹工船(2009年2月1日)

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2010年7月 9日 (金)

少なすぎる選択肢

 11日は参議院選挙の投票日。知らないうちに消費税増税が争点になってしまった感がありますが,消費税増税に対しては批判的なメディアが多いようです。先日あるテレビで,消費税の「逆進性」について解説していました。それによると,月収50万円の人が1万円の商品を購入した時にかかる消費税は500円で,月収に対する税率は0.1%。一方,月収10万円の人が同じ商品を購入した時にかかる消費税も同じく500円で,この場合は月収に対する税率は0.5%。収入の少ない人ほど税率が高くなり,この逆進性が問題だ!・・・みたいな解説。でも,これって,収入の全然違う人が全く同じ購買力を持っているという,絶対あり得ない前提での「逆進性」ですよね。増税を批判するのはいいとしても,こういう意味不明の解説をする報道って,聞いていて恥ずかしくなります。

 ところで,民主党が消費税増税を主張するのは党の勝手ですが,菅総理がよく言っている「超党派で増税の議論を」というのは,自分の党の主張にもかかわらず,都合の悪いことに対しては他党を巻き込んで責任逃れをしようとしているみたいに聞こえ,とても不愉快です。それはともかく,民主党も自民党も消費税増税の大合唱なので,「消費税増税は絶対反対」と考える有権者にとっては,選挙の時の選択肢が少なすぎると言えます。

 たとえば社民党や共産党の場合は,消費税増税に反対しているとはいえ,どちらかといえば「大きな政府」による高福祉社会の実現を目指しているように思えます。消費税に限らず国民の税負担をもっと少なくし,無駄な事業は極力減らした「小さな政府」を主張している政党は皆無のようです。「小さな政府」を主張している筈の自民党でさえ,どちらかというと増税指向。このあたりはちょっと理解できません。

 また,普天間基地問題などで明らかになったように,保守政党ほど米国の言いなりになる傾向があるという点も,僕にはなかなか理解できません。西側と東側が対立していた米ソ冷戦時代ならともかく,保守政党がなんでいまだに米軍依存体質なんでしょうか。「日本国内から米軍を排除して日本の軍事力を強化して独立すべき」という主張をする保守政党が一つぐらいあってもいいのにと思いますよ。

 ということで,たとえば「小さな政府」と「米軍依存からの脱却」という,この2つを組み合わせだけで,有権者にとっては選択肢が皆無の状態。最近できた多くの新党の名前すら僕には覚えられないし,各党の主張の違いも独自性もはっきりわかりませんが,日本にこれだけ多くの政党がありながら,政策の違いによる選択肢の少なさはいったい何なのかと思います。

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2010年7月 7日 (水)

デートか残業か

 今年春に「日本生産性本部」の研修に参加した新入社員2,663人を対象に実施した「デートの約束がある時に残業を命じられたら」の質問に対し,約85%が「残業する」と答えたそうです。1972年の調査開始以来,「残業派」の比率はバブル崩壊直後の1991年に60%程度にまで低下し,その後は増加傾向が続いているとか。

 新入社員に対する「デートか残業か」という調査結果は昔からよく耳にしますが,どうでもいいっていうか,ほんとつまらない不愉快な質問をするものだと思います。デートと残業のどっちが大事かなんてケースバイケースで,その時の仕事の重要度によって異なるし,デートの場合にもその「重要度」はさまざま。簡単に答えられるものではないでしょう。回答結果を集計して経済情勢と関連づけたりするなんてナンセンスだと思います。

 そもそもこんな質問は,誰が聞くかによって答えが大きく変わってくるものです。会社の上司が質問したら「残業重視」の回答になるし,デート相手に聞かれたら当然「デート重視」の回答になるでしょう。この質問は日本生産性本部(経済産業省所管の公益財団法人らしい)が研修に参加した新入社員に聞いたとのことで,当然この研修参加者は会社などから派遣されているわけで,回答は「残業派」が多くなることは容易に想像できます。この集計結果はほとんど意味ないと思いますよ。

 ちなみに僕は,常に「デート重視」です。ん?

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2010年7月 3日 (土)

裁判員裁判で無罪判決

 覚せい剤取締法違反と関税法違反の罪に問われた裁判員裁判で,千葉地裁は6月22日に無罪の判決。裁判員裁判で全面無罪が言い渡されたのはこれが初めて。この裁判で,裁判員は「出てきた証拠だけで判断する」「完全に有罪と言い切れない場合は無罪とする」という基本原則に従って無罪の判断をしたとか。

 ところが,間接的な証拠が多くあるため,裁判官だけで審理する控訴審では有罪が得られる可能性があるとの判断で,検察当局は控訴する方針らしいです。裁判員裁判で検察が控訴すれば,これまた初めてのケースとなるそうです。

 この裁判の審理内容の詳細はわかりませんが,たとえ真実がどうであれ,「検察側が客観的に有罪を立証できなければ無罪」というのが刑事裁判の大原則です。その意味で,出された証拠だけで判断して有罪と言い切れないために無罪と判断したのは,極めてまっとうな判決ではないでしょうか。従来の裁判官だけの裁判では有罪判決の確率が99%以上と言われており,えん罪の温床となっています。一般人の感覚を裁判に取り入れてえん罪を防ぐというのが裁判員制度の大きな目的の一つであり,まさにこの裁判でそれが機能したと思います。

 ところが検察側は,控訴して裁判官だけの裁判に持って行くことにより逆転有罪を勝ち取ろうとしているわけで,実際に,たぶん控訴審では有罪になる確率が高いでしょう。結局は検察側が控訴したら裁判員制度は実質的に機能しなくなるという,まさに裁判員制度導入時に心配した,予想どおりの展開になっていると言えます。

 刑事裁判の場合,検察側は大きな権力と費用を駆使して組織的に捜査できるという点で,弁護側に比べて圧倒的に有利に裁判を進めることができます。裁判員制度を意味あるものにするためには,検察が一審で有罪にできなかったら即「負け」として,検察側の控訴は認めないような制度にすることが必要ではないでしょうか。

 過去の関連記事:
  裁判員制度スタート(2009年5月23日
  初の裁判員裁判(2009年8月11日)

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2010年7月 1日 (木)

英語が公用語

 楽天は2012年度末までに英語を公用語とし,全正社員約6,000人が英語で意思疎通できるようにする方針を表明。同社は今年から幹部会議での発表や会議資料を英語にするなど,「社内の英語化」を進めており,楽天の三木谷会長は「日本企業をやめて世界企業になる」と宣言しているとか。

 このニュースを「面白い!」「素晴らしい!」と感じる人も多いかも知れませんが,英語が世界共通語であるかのような発言には,僕は違和感を覚えます。ビジネスで英語がどれだけ重要かというのは,業種によって大きく異なるし,各企業・各部門の業務形態によってもさまざまでしょう。僕の仕事の場合,ユーザーも取引先もすべて日本企業で,英語が必要となるシーンは皆無なので,英語の必要性はまったく感じません。

 そもそも僕の場合は,同一企業内の社員だけですべての業務がこなせるわけではありません。顧客・関連会社・取引先など,社外の人と意思疎通を図ることがとても重要な仕事です。社内の公用語を英語に変えてもスムーズに業務がこなせる会社というのは,国内取引がほとんどないグローバルな企業か,逆に,社外人とのコミュニケーションのない恐ろしく閉鎖的な企業か,どちらかと言えるのではないでしょうか。

 楽天に触発されて英語を公用語にする企業が今後増えるのかも知れませんが,日本国内で日本人どうしが たどたどしい英語で会話するというのはなんだか滑稽で,こんな光景が広まらないことを祈りたいものです。それに,英語の苦手な日本人どうしが無理して英語で会話しても,英語力は絶対に上達しないと思いますよ。

 それよりも,まずは日本語表現がきちんとできる企業人を育てて欲しいものです。いい歳してまともな日本語の文章が書けないという人が,けっこういるんですよ。僕の会社にも。

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