« 少なすぎる選択肢 | トップページ | 面白い! »

2010年7月11日 (日)

蟹工船(2009年版)

 2009年公開の映画「蟹工船」(監督/脚本:SABU,出演:松田龍平,西島秀俊 ほか)がWOWOWで放送されていたので見ました。旧作(1953年版)はモノクロ映画でしたが,本作品は総天然色(ふるっ!)の映画。カニの甲羅の毒々しい赤さが印象に残る映画でした【以下,ネタバレあり】

 小林多喜二の原作が発表されたのは1929年とのことで,この映画の時代背景もこの年代のようですが,出演者の髪型や髭,「マジ」なんていうことばが出てくるようなセリフや話し方など,時代考証的にはむちゃくちゃな映画と言えます。おまけに船員がトイレに閉じこめられるシーンに出てきたトイレが,なんと洋式トイレ。この時代にはあり得ないでしょう。船員も「トイレ」という表現を使っていましたが,この時代に「トイレ」という外来語が日常的に使われていたかも大いに疑問。もっとも,SABU監督は意識的に(わざと)現代に置き換えていたとも解釈できますが。

 この映画では「歯車」がシンボル的に描かれていますが,巨大な歯車のシーンは,あのチャップリンの「モダン・タイムス」の工場内のシーンを思い出させます。主人公が資本家に搾取されていることに気づき,労働者に呼びかけて団結しょうと立ち上がるというのがこの原作のテーマですが,この映画では,主人公が脱出後にロシア船に救助され,ロシア船の船員の言動がきっかけとなって蟹工船に引き返して労働者に呼びかけるというストーリー。ちょっとあり得ない気がします。

 僕は原作を読んでいないので,この映画がどこまで原作に忠実に描かれているのかというのは判断できませんが,原作とまったく別物の映画になったわけではないようで,意外なオチがあるわけではなく,映像的に特別面白いとか画期的とかいうこともなく,結果的には,お金を払ってまで見たい映画だとは思えませんでした。1953年版とどちらがいいかともし聞かれたら,僕は1953年版の方をおすすめします。

 過去の関連記事:蟹工船(2009年2月1日)

|

« 少なすぎる選択肢 | トップページ | 面白い! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/149573/48854258

この記事へのトラックバック一覧です: 蟹工船(2009年版):

« 少なすぎる選択肢 | トップページ | 面白い! »