« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2009年10月31日 (土)

沈まぬ太陽

 10月24日から公開されている映画「沈まぬ太陽」を見ました。最近は録画した映画をテレビで見ることが多く,映画館へ行く機会は少なくなったんですが,この映画は,その内容から「テレビ放映が難しいかも」と言われているので,あえて映画館へ見に行ってきました。【少しネタバレあり】

 原作は山崎豊子氏のベストセラー小説で,国民航空の労働組合委員長を務めていた主人公が,組織に翻弄されながら,海外への左遷・ジャンボ機墜落事故・政界を巻き込む会社再建などを体験する波乱の人生を描いたものです。山崎豊子氏原作の映画化といえば,あの山本薩夫監督(故人)が定番でしたが,この映画は若松節朗監督。出演は渡辺謙,三浦友和,松雪泰子,鈴木京香,石坂浩二 ほか。

 国民航空(NAL)のモデルは,危機的な経営難でお騒がせ中の日本航空(JAL)。この時期にこの映画の公開というのは,めっちゃタイムリーですね。映画の主人公は実在の日航元社員である小倉寛太郎氏(故人)がモデルとされています。ちなみに,小倉寛太郎氏のプロフィールは以下のとおり。(Wikiから引用)

(1)1960年代前半,社員の待遇改善と「空の安全」の確立を求めて経営陣と厳しく対決し,日航初のストライキを指導。その後の人事異動で,社内規定を大幅に越える約10年間の海外僻地(カラチとテヘラン,同社の乗り入れが行われていないナイロビ)での勤務を強いられる。

(2)1970年代前半の日航機の連続事故が国会で取り上げられる中,いびつな労務対策を是正する一環として,国内勤務とされる。1985年の日本航空123便墜落事故後,会長室部長に抜擢。伊藤会長率いる新体制の下,社内改革に力を注ぐがさまざまな圧力で中断を余儀なくされ,再びアフリカへ。

(3)定年退職後は,僻地勤務が縁でアフリカ研究家,動物写真家,随筆家として活躍。東アフリカの自然と人を愛する同好の士を集めて「サバンナクラブ」を発足させ,事務局長を務めた。2002年10月,肺癌で死去。

 たしかに,氏のプロフィールは映画の主人公と酷似してますね。映画の中では,労働組合の委員長であった主人公は一徹な人間のため会社から冷遇され,片や副委員長だった同期は会社側へ寝返ってエリートコースを歩む ちょっといやらしい人間として,対比的に描かれています。労働運動に対する価値観は人それぞれだと思いますが,軟弱な僕としては,もし自分が彼らの立場だったとしても,絶対に主人公のような頑固な生き方はできなかったと思います。

 今や,大企業の労働組合は,多くが「名ばかり組合」の御用組合に化してしまったと認識していますが,組合と会社が激しく対立していた時代の労働組合って,ほんとにこの映画のように過激だったんでしょうか。この映画の団交シーンを見たら,今の若い人はびっくりするかも知れませんね。この時代を懐かしむ年配者は多いかも知れませんが,今の感覚で見る限り,この映画に出て来るNALの労働組合は怖くて過激で無礼で,僕にはちょっと付いていけません。映画では必要以上に組合の悪役ぶりが強調されていた感があるので,あの山本薩夫監督だったら,このあたりの組合活動はもっと美化して描いたかも知れませんね。

 映画全体の感想としては,上映時間202分という長時間映画の割には,登場人物が少なくて人間関係がシンプルでわかりやすく,楽しめた映画でした。それと,ジャンボ機墜落事故を伏線として取り入れたことによって,飽きさせない展開になっています。映画の冒頭で,体育館に多数の棺桶が並ぶシーンが圧巻で,事故の大きさを改めて痛感します。あと,僕が最近映画で見ていなかった加藤剛さんが総理大臣役で出演していましたが,最初はこの俳優が誰だか思い出せなかった。しばらく見ないうちに,めっちゃ おじいさんになっていたのには驚きました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月26日 (月)

カンブリ

 カンブリ・・・寒中に捕れるブリのことで,油がのって美味しいらしいですが,京都でカンブリと言えば,老舗予備校の「関西文理学院」を指します。ホントです。そして,このカンブリが,生徒数の減少により来年3月に廃校となることが決まったそうです・・・って,これが全国版のWebニュースに出ていたことが僕には驚きでしたが。

 報道によると,関西文理学院は1951年に開校し,ピーク時の1967年に4,480人いた生徒は,少子化の影響で1995年に2,000人を割り,さらに大学数の増加によって予備校需要が減少し続け,今年度は約400人にまで落ち込んでいたそうです。これまでにカンブリで学んだ生徒は10万人を超えているそうですが,この僕もカンブリにお世話になった10万人のうちの一人なんです。

 今でこそ駿台予備校・代々木ゼミナール・河合塾などの大手予備校が全国展開していますが,僕が予備校へ通った当時は,京都では駿台京都校かカンブリぐらいしか選択肢がなかったような記憶があります。そして僕がカンブリを選んで入学した時,カンブリの事務長さんは「もし受験戦争がなくなるなら本望で,それによって我々が職を失っても一向に構いません」と挨拶されていたのが印象的でした。それからン十年経って,まさにそのとおりになってしまったということなんですね。たとえ予備校でも,自分の思い出の学校が無くなるというのは寂しいものです。

 そして,話は変わりますが,小学館が雑誌「小学五年生」と「小学六年生」の休刊を発表したというニュースもありました。この「小学○年生」シリーズは,僕にとっては懐かしい雑誌で,小学校6年間購読していたかははっきりしませんが,少なくとも低学年の頃は毎月欠かさず買っていた記憶があります。

 雑誌「小学○年生」は,なんと小学館が創業した1922年に創刊され,1973年に「五年生」が約63万部,「六年生」が約46万部まで伸びたものの,最近は6~7万部程度まで落ち込んでいたそうです。また,僕にとっては「小学○年生」以上に思い出深い,学習研究社の「学習」と「科学」も部数減に悩まされているとか。

 「学習」と「科学」は,1979年5月号の総計620万部をピークに,現在の部数は10分の1以下まで減っていて,「科学」は月刊を続けているものの,「学習」は春夏秋冬の季刊となっているらしい。う~~ん,そこまで低迷していたとは知りませんでした。原因は少子化や不況だけではなく,こういった学習雑誌に興味を示さない子どもが増えているということかも知れませんね。あの「科学」の付録に毎月ときめいていた小学生時代が懐かしいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月23日 (金)

根岸吉太郎監督

 映画「ヴィヨンの妻」の公開を記念して,僕の好きな根岸吉太郎監督の作品が10月にまとめてCSで放送されていました。その中から,感想をいくつか。【ネタバレあり】

1.遠雷(1981年公開)
 出演:永島敏行,ジョニー大倉,石田えり ほか

 栃木県宇都宮市を舞台に,都市化の波に流されずにトマト栽培を続ける青年の姿を描いた作品。若い頃に見たこの映画の記憶が強烈に残っていますが,とにかく,永島敏行さんが演じる青年が超かっこいいです。頑固で強くてたくましくて,そして誰にも優しくて,自分がこんな青年だったらいいなと,若い頃に思ったものでした。そして,石田えりさんとのラブシーンが適度にエロくて,すごく印象に残っている映画でした。僕のお気に入りの作品です。

2.ウホッホ探険隊(1986年公開)
 出演:十朱幸代,田中邦衛,藤真利子 ほか

 夫の単身赴任中に,仕事をしながら二人の息子と暮らしている女性が,夫に愛人がいることを告げられて離婚を決意するというホームドラマ。夫が愛人を妻に紹介するために単身赴任先に妻を呼び寄せるなど,ちょっと奇妙な展開の映画です。

 二人の息子は,兄弟らしい仲の良さと悪さが適度に混在していて,いい味を出していました。そして,主演の十朱幸代さんも,中年女性の魅力が満開で,とても いい味を出していると感じました。

 田中邦衛さんが演じる男性の不倫相手が藤真利子さん。なんでこんなオヤジが若い女性と不倫できるねん! って,ちょっと羨ましく思いましたが,結局この女性は,男性の妻と会ってしまったために恋愛感情が失せてしまうというオチ。ということで・・・

【教訓その1】不倫相手の配偶者を知らない方が,不倫は上手く行く!

3.俺っちのウエディング(1983年公開)
 出演:時任三郎,宮崎美子,伊武雅刀,美保純 ほか

 結婚式の日に殺人未遂事件に巻き込まれた平凡なカップルが,紆余曲折を経て犯人を突き止めるというサスペンスロマン。

 ヒロインの宮崎美子さんがなかなかよかった。根岸監督は女性の個性を引き出すのがとても上手いと感じます。それにしても,監督は ぽっちゃり系の女性が好みみたいですね。(石田えりさん,十朱幸代さん,宮崎美子さん)

4.ひとひらの雪(1985)
 出演:津川雅彦,秋吉久美子,沖直美,岩本千春 ほか

 僕の年代にとっては,やはり秋吉久美子さんは「青春の思い出」の女優です。彼女が20歳前後の頃に出演していた,一連の藤田敏八監督作品(「バージンブルース」「妹」「赤ちょうちん」)では,惜しげもなく裸体を披露していただき,本当に楽しませてもらいました。

 この映画にもエッチシーンが何度もあります。この時の秋吉久美子さんは31歳ですが,やはりプロポーションは抜群ですね。そして,主演の津川雅彦さんはエロいオヤジを好演しています。二股かけているくせに女性を独占したがり,自身の結婚を後悔しながらも,自分が離婚するとまた別の女性と結婚して独占したくなる。僕が言うのもなんですが,男ってほんと懲りないものですね。

 ところで,秋吉久美子さんが演じる女性の娘は,母親の不倫を応援していましたが,不倫相手の男性が離婚した途端に,母親の真剣すぎる不倫が怖くなって妨害するという行動に出ます。ということで・・・

【教訓その2】不倫は,片方が独身の場合よりもダブル不倫の方が上手く行く!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月17日 (土)

特殊相対性理論

 たとえば下の絵のように,時速50kmで走る緑色のクルマを時速100kmの赤いクルマが追い越す時,緑色のクルマから見ると,赤いクルマは相対的に50km/hの速度で走っているように見えます。逆に,赤いクルマとすれ違う時速50kmの青いクルマから見ると,赤いクルマは相対的に150km/hの速度で走っているように見えます。

1

 ところが,下の絵のように,秒速30万kmで走る光を,光と同一方向に進む緑色のクルマから見ても,光の速度はやはり秒速30万kmで,光と逆方向に進む青いクルマから見ても,光の速度はやはり秒速30万km。さらに,これらのクルマが時速50kmでなく秒速20万kmで飛ぶ超高速ロケットであっても,ロケットから見る光の速度はやはり秒速30万kmなんです。

2

 これがアインシュタインの「特殊相対性理論」なんですね。どこから見ても光速は一定で,かつ,あらゆる物体は光の速度を超えることはできません。一般人の直感に反するこの理論を学生時代に初めて聞いた時は,マジで驚愕しました。

 この特殊相対性理論に従えば,長さや時間は絶対的なものではなく相対的なものとなり,常識では考えられない奇妙な現象が起こることになります。たとえば,「動いている時計は遅れる」とか「動いている物体の長さは縮む」とか。この理論は,航空機に原子時計を載せて飛ばすと時計がわずかに遅れるという現象でも実証済みの自然法則。これがまさにタイムマシンの原理となっているわけですね。

 さて,以前紹介した,僕のお気に入りのドキュメンタリー番組「COSMOS」(1980年放送)の第9話「時間と宇宙の旅」では,この特殊相対性理論がとても面白くわかりやすく,映像付きで解説されていたので,ちょっと紹介したいと思います。

 光の速度は秒速30万km,すなわち時速10.8億kmですが,この光速がもし「時速約40km」だったらどういう現象が発生するのか という面白い映像です。

Cap087

Cap088

Cap091

Cap092c

 時速40kmで近づくバイクは,前方の光の波が圧縮され,そのバイクは青く縮んで見えます。

Cap100c

Cap101

 逆に,遠ざかるバイクは赤く見えます。いわゆるドップラー効果ですね。

Cap104

 また,バイクを運転している人は,時速40kmに近づくにつれて視界が凝縮され,中心が青く周辺が赤くなり,通り過ぎた物は視界の隅に赤く歪んで見えるようになるらしいです。

Cap115_2

 そして最も奇妙なのは,バイクを運転している人にとっては時間の流れが遅くなること。このため,バイクに乗って数分間友だちから離れただけなのに,戻ってきたら友だちはみんな死んでいたというわけ。

Cap126

Cap135

 特殊相対性理論は,未来へ行くタイムマシンが可能であることを示すとともに,太陽系以外の恒星への旅を可能にしてくれる理論です。カール・セーガン氏によると,宇宙船を恒星へ飛ばす計画は,宇宙での核爆発が条約で禁止されるようになるまではアメリカで真剣に検討されていたらしく,その「オリオン計画」によると,核爆発によって光速の10分の1で動く宇宙船で,4.5光年も離れたケンタウルス座にたった45年で行けるとか。

Cap149

Cap151

 光速に近い速度で運動することにより,未来へ移動するタイムマシンを作ることが理論的に可能ですが,はたして過去に遡るタイムマシンは実現可能なのでしょうか。特殊相対性理論によると,光速と同じ速度で動く宇宙船に乗ると,その宇宙船の時計は完全に停止するわけなので,仮に光速を超えることができたら,時計は逆回りして過去に遡れるかも知れない・・・ということは容易に想像できます。過去に戻って自分自身の歴史を変えることができるはずがないという直感と,あらゆる物体は光速を超えられないという理論が等価なのかも知れませんが,「人間が光速で走る物体に乗る」ということ自体が未知の世界。その先には,ひょっとしたら,アインシュタインにも考え及ばなかった別の理論があるのかも知れませんよ・・・う~~ん,過去に戻って人生をやり直したいです。

 過去の関連記事:COSMOS(2009年6月26日)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月15日 (木)

教員免許

 政権交代後の「事業仕分け」の結果,教員を続けるために10年に一度の講習を義務づけている教員免許更新制については,2010年度限りで廃止する方針になったとか。

 この教員免許更新制は,1983年に自民党が提言して以来長年実現しなかったものが,安倍政権下の目玉として設けられた教育再生会議が提言して,2007年6月の教育職員免許法改正によって成立し,2009年4月から導入されていたものです。

 教員免許更新制については,現場の教師から「効果が疑問」「ただでさえ忙しい教員がさらに大変」などと反対の意見が多かったみたいなので,労組をバックにした民主党への政権交代によって教職員組合側の意見が反映されたということなんでしょうか。

 免許更新制については賛否両論あり,僕にはどちらがいいのか判断できませんが,ただ言えることは,他の職業の免許(医者や弁護士など)や,全然運転しないペーパードライバーが「優良ドラーバー」と見なされて簡単に更新できる運転免許などと比べると,30時間以上の講習を義務づける更新制というのはちょっと厳しいように思えるし,教師に対する「弱い者イジメ」にも映ります。

 それよりも,あの安倍元首相の意向で成立させたという点が,なんともうさんくさく,とりあえずは元に戻しておいた方が無難なような気がします。あ,ついでに教育基本法も元に戻しませんか? 民主党さん。

 ていうか,教師の免許更新云々よりも,まずは国会議員を資格制・免許制にするのが先決だと僕はいつも思っているんですが,どうでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月10日 (土)

鉄人28号

 神戸市の震災復興のシンボルとして建立が進められていた「鉄人28号」の鋼鉄製巨大モニュメントが,神戸市長田区の若松公園で完成したそうです。総工費は約1億3,500万円とか↓

28
  (asahi.comより転載)

 写真で見る限り,めちゃくちゃ大きいですね。圧巻です。この「鉄人28号」は,神戸市出身の漫画家・故横山光輝さんの作品で,1956年(昭和31年)に月刊誌「少年」で連載開始されたらしいです。そして,1963年(昭和38年)にテレビアニメとして放送されています。アニメ版のスポンサーはグリコ。

 アニメ版が放送される前の1959年(昭和34年)にはラジオドラマとして放送され,さらに1960年(昭和35年)には,実写版のテレビドラマとして放送されています。この実写版「鉄人28号」は,僕はリアルタイムで見た記憶は全然ありませんが,1994年にWOWOWの「懐かしのヒーロー特集」という番組で紹介され,VHSに録画していたものが残っていました。めっちゃショボくて笑えるテレビドラマなので,ちょっと紹介します。まずはこれがタイトル画面↓

Cap057

 この実写版のスポンサーは,グリコではなく日立製作所。ドラマの舞台は架空の町ですが,ロケ地は日立製作所発祥の茨城県日立市で,日立市が撮影に全面協力し,なんとホンモノの警察官がエキストラとして登場しているという,珍しい作品だそうです。これが,撮影に使われたホンモノの日立市警察署↓

Cap063

 そして,鉄人28号と戦うホンモノの警察官↓

Cap072

Cap071_2

Cap073

 上の写真が実写版の鉄人28号なんですが,なんともショボい,ただのブリキ人形です。しかも,神戸に作られた巨大モニュメントや原作漫画よりもはるかに小さい,等身大のロボット。中に人が入って撮影しているのは見え見えです。

 この鉄人28号は,次々と現れる犯罪者やロボットを倒して平和を守るために活躍するというストーリーですが,最初は「悪役」として登場します。「にっけんトランジスタ工場」に侵入して高性能トランジスタを奪う泥棒たちと,泥棒からトランジスタを奪う鉄人28号↓

Cap080

Cap082

 鉄人28号を操る悪人が,ロボットの真空管を「高性能トランジスタ」に変えて高性能化するために盗んだとか。それにしても,「トランジスタ」ってことばもすごくレトロですよね。

 ちなみに,なんで「28号」なのかというと,太平洋戦争当時の軍事命令により,軍隊ロボットを開発する計画があり,28番目で初めて開発に成功したロボットが「鉄人28号」だそうです。ちなみに,これが開発に失敗した26号の試作品↓

Cap089

 そして,27号の試作品。笑えます↓

Cap092

 「鉄人28号」が連載されていた雑誌「少年」も,この番組で披露されていました↓

Cap097

Cap100

 ということで,WOWOWの「懐かしのヒーロー特集」を録画したビデオは,今では宝物になっています。僕のお気に入りの「実写版・鉄腕アトム」という貴重な映像もあり,別の機会に紹介したいと思っています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年10月 4日 (日)

海と毒薬

 本日はちょっと古い映画の感想を。もっとも,1986年公開の映画というのは,僕としてはけっこう新しい映画の部類なんですが(笑)・・・CSで見た「海と毒薬」(監督:熊井啓,出演:奥田瑛二,渡辺謙,岡田真澄,田村高廣 ほか)という映画です。【以下,ネタバレあり】

 太平洋戦争末期に某大学病院で実際にあったとされている,B29戦闘機で日本の本土を爆撃した米軍捕虜への生体解剖事件を描いた,遠藤周作氏の同名小説を映画化したものです。この映画は熊井啓監督によって1969年に脚本化されていたものの,その内容のためにスポンサーがなかなか付かず,実際に映画化されたのは17年後の1986年とのことです。ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞とか。

 米軍捕虜を殺害したことによって,終戦後に関係者が占領軍によって逮捕・尋問されるシーンは,あの「私は貝になりたい(1959年および2008年に映画化)」や,2007年公開の「明日への遺言(監督:小泉堯史,出演:藤田まこと ほか)を思い出します。また,患者をダシに使って学長の椅子を争うシーンは,1966年公開の映画「白い巨塔(監督:山本薩夫,出演:田宮二郎,東野英治郎 ほか)を彷彿させます。

 その意味で,映画の全体的イメージとしては,「私は貝になりたい」と「明日への遺言」と「白い巨塔」を足して3で割ったような映画と言えるでしょうか。それに,「白い巨塔」で正義感の強い里見助教授役を演じていた田村高廣さんが,この映画では,「患者によって態度が豹変する教授」という悪役ぶりを見事に演じていました。

 このように,この「海と毒薬」は,他のいくつかの映画のイメージとダブる映画ですが,原作は遠藤周作氏が1958年に発表した小説。「私は貝になりたい」が1958年にTVドラマ化され,「明日への遺言」の原作(大岡昇平氏作「ながい旅」)は1982年発表で,「白い巨塔」の原作は山崎豊子氏が1963年から1965年にかけて連載小説として発表した小説ということを考えると,1958年に発表された「海と毒薬」のオリジナル性は,かなり高いと言えるでしょうね。

 映画の前半は展開がちょっと散漫な気がしましたが,いよいよ生体解剖に突入する後半からは,俄然面白くなります。そもそも大学病院で,なんで死体解剖でなく生体解剖が必要なんでしょうか?・・・たとえば,生きている人の臓器をどこまで摘出してもだいじょうぶ(生命に危険がない)で,どこからはダメなのか。それを実際に確かめることができるという,医学の発展にとって非常に価値ある解剖実験である・・・みたいな大義名分が述べられていたりします。う~~ん,恐ろしい。

 殺させることを知らない米軍捕虜が,解剖する医師との問診で談笑するシーンはめっちゃ怖いし,解剖シーンを興味津々で見学に来る軍人を見ると,人間誰もが持つ「残酷さ」を痛感させられて自己嫌悪に陥ります。生きている人間を解剖しながら殺してしまうシーンには身の毛がよだつし,戦争で人を殺すシーンや死刑執行シーンやなんかよりも遙かに衝撃的です。ということで,マンネリ化したホラー映画なんかよりも,はるかに怖いショッキングな映画だと,僕は感じました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 3日 (土)

リオに決定!

 オリンピック開催都市を決定するIOC総会をテレビ中継で見るなんてことは,僕は過去には一度もなかったんですが,10月2日の総会は金曜日の深夜というベストのタイミングで,つい面白くて,テレビにかじりついてしまいました。そして,2016年夏季オリンピックの開催都市はリオデジャネイロに決定。シカゴを予想した僕の予想は大ハズレでした。

 候補地の4都市(東京・シカゴ・マドリード・リオデジャネイロ)のうち,いずれかの都市が過半数を獲得するまで,順次最下位の都市を外して投票を繰り返すという投票方式ですが,開催都市決定後に発表された各都市の得票を見ると,リオデジャネイロは,1回目=26票,2回目=46票,3回目=66票と,順調に増えているのに対して,マドリードは,1回目=28票,2回目=29票,3回目=32票と,ほとんど増えていないのが面白い。脱落した都市に投票した委員のほとんどが,その次の投票ではリオに投票したということでしょうか。そして東京は,1回目=22票,2回目=20票と,2回目の方が1回目より減っているのには笑えました。1回目に東京へ投票して東京が勝ち残ったにもかかわらず,2回目に別の都市へ投票する委員って,いったい何者なんでしょうねー。

 1回目と2回目の投票では,棄権と無効がそれぞれ1票ずつあったらしいですが,棄権はともかく,ボタンを押すだけの電子投票でどうやって「無効票」なんてあり得るのでしょう。手書きの投票だったら,白票を投じたり「バカ」と書いて投票したりしたら無効票になると思いますが,電子投票での無効票というのはほんと不思議です。制限時間内にボタンを押さなかったとか,2個のボタンを同時に押したとか?

 それはともかく,日本時間の午前0時10分頃に始まった投票はとんとん拍子に進み,0時30分には3回目の投票まで終了。さすがに電子投票は処理が早くて快適だと感じたものですが,0時半に全投票を終了してから開催都市の結果発表までは約1時間20分の待ち時間。結果は既に出ているので,何もじらさなくてもいいのにと思いました。

 関係者や一部の人だけが盛り上がっていた感のある東京に対して,リオでは,IOC総会当日は学校を休みにするほどの盛り上がりだったそうです。どうせ開催するなら,地元の多くの人が招致を望んでいる国・地域に開催してもらった方が絶対に効果があると思うので,リオが選ばれてほんと良かったと思いますよ。

 ということで,僕としては東京が落選してほっとした感がありますが,一番ほっとしているのは,国による財政支援を公言してしまった鳩山総理なのかも知れませんね。

 それにしても,日本の都市の中では世界的知名度がある東京ですら落選するぐらいの難関なので,今後しばらくは,日本国内で五輪招致に手を挙げる都市は出てこないような予感がします。

 過去の関連記事:開催都市予想(2009年10月1日)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 1日 (木)

開催都市予想

 2016年夏季オリンピックの開催都市は,明日(10月2日)コペンハーゲンで開かれるIOC総会で決定するそうです。候補地は東京・シカゴ・マドリード・リオデジャネイロの4都市。1次選考で脱落した都市と1次選考を通過した都市を比べると,通過した4都市は,いずれも世界的に著名な都市。オリンピック開催地は,結局はネームバリューで決まってしまうのかと勘ぐりたくなります。こういう選考経過を見ると,OsakaやNagoyaでは,将来にわたってオリンピック開催はないのかと思えます。日本で開催されるとしたら,東京と京都ぐらいしかないような気がします。

 それはともかく,2016年オリンピックの僕の開催都市予想は,ずばり「シカゴ」ですね。あくまでカンで根拠はありませんが,あまのじゃくの僕としては,あえて本命のリオデジャネイロを外してみました。それに,「東京だけは落選してほしい」という僕の願望も入れた上での予想です。時々東京へ出張に行ったり出張時に東京を通過したりする立場の僕としては,鉄道の混雑・道路の渋滞・ホテルの満室など,オリンピックによってこれ以上東京が混雑して欲しくないという思いの方が強いです。それと,もし東京が開催地に選ばれたりしたら,あの都知事がますます天狗になりそうで心配。その意味からも東京には落選して欲しいですね・・・う~~ん,やな性格。

 それと,東京は財政面での評価が高いと言われており,僕としてはその点も非常に不満です。日本政府による財政保証は,もともと麻生前総理が石原都知事に懇願されて,閣議決定を経ずに独断で決めたと言われています。東京オリンピック招致が民主党の政権公約でどうなっていたのかは知りませんが,麻生前総理が独断で決めた財政保証を引き継いで,コペンハーゲンで招致演説をするという鳩山総理も,なんだか許せません。日本の総理はそんなことしてる場合じゃないと思いますよ。皇太子まで動員しようとした都知事に対して,「五輪招致は政治色が強いため参加できない」と断わった宮内庁の方が,よほど立派に見えました。特にシカゴの場合は財政面でマイナス評価らしいので,オバマ大統領が招致演説をするアメリカでさえ,国家は財政的にバックアップしないということで,政府が安易に財政支援を公言するのは日本ぐらいってことなんでしょうか。

 それにしても,都議選の与党敗北を,自分の責任でなく国政与党のせいにしたり,東京オリンピックに対する世論支持率が低いのをマスコミのせいにしたりする都知事のことなので,もし鳩山総理がIOC総会に行かずに東京が落選したとしたら,都知事は落選の責任を民主党政権に押しつけるのは見え見え。そうは言わせないようにと,IOC総会への出席を決めた鳩山総理の方が一枚上手だったりするのかも知れませんね。

 過去の関連記事:
  2016年オリンピック(2008年6月8日)
  東京 VS シカゴ(2009年2月14日)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »