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2009年9月21日 (月)

時効成立

 公訴時効に関する最近のニュース・・・
(1)1994年9月14日 住友銀行(現三井住友銀行)名古屋支店長が短銃で射殺された事件の公訴時効が,9月14日午前0時に成立。
(2)1995年7月30日 東京都八王子市のスーパーのアルバイト高校生ら女性3人が拳銃により射殺された事件の公訴時効まで残り約10ヶ月。
(3)1996年 東京都葛飾区柴又で上智大学の女子大生が殺害された事件の公訴時効まで2年。

 公訴時効によって殺人犯を訴えることができなくなるというのは,被害者遺族にとっては許せないことであり,被害者感情からすれば「殺人事件に時効は不要」という主張には理解できます。刑事事件に時効が存在する理由にはいろんな説があるみたいですが,事件発生から長期間経過したことによって犯罪の立証が困難になり,結果として捜査費用が高額となるのを防止するため・・・みたいなことがよく言われています。

 ところが,刑事訴訟法255条では,被疑者が国外にいる期間は時効が停止すると定めていて,たとえば「よど号ハイジャック事件」の犯人は国外に逃亡しているため,いまだに時効が成立していないらしい。でも,犯人が国外にいる期間は時効が停止するという規定は,「時間が経つと立証が困難になる」という時効の存在理由と矛盾してますよね。というか,人を何人殺しても15年経ってしまえば時効成立なのに,たとえ人に危害を加えなくても国外へハイジャックした犯人は永久に時効が成立しないというのは,どう考えても不公平です。

 もっとも,時効が成立したとされている事件であっても,犯人に海外滞在期間があればその間は時効が停止しているので,ひょっとしたら「住友銀行支店長射殺事件」も「三億円事件」も,実際にはいまだに時効が成立していないという可能性があるわけですよね。

 今や「三億円事件」といっても知らない世代が多いかも知れませんが,この事件は,東京都府中市で1968年12月10日に,白バイに乗ったニセ警官が,現金輸送中のクルマを停めて「爆弾が積まれている」と言って運転していた銀行員を避難させ,そのスキに現金輸送車を奪って逃走したという窃盗事件です。今でこそ,宝くじやtotoBIGの賞金で3億円を手にすることができるので,「3億円」といっても驚きませんが,当時としては被害額3億円というのはケタ外れの大金で,現在の貨幣価値だと20~30億円に相当するらしく,この意味で衝撃的な事件でした。それにしても,こんな大量の現金を,普通の銀行員が普通の乗用車で運搬していたというのは,今の時代では考えられないことですよね。

 さて,話は飛びますが,最近CS放送で見た「三億円事件」に関する映画の感想。「初恋」(2006年公開,監督:塙幸成,出演:宮崎あおい,小出恵介,宮崎将,小嶺麗奈 ほか)という映画で,「三億円事件の実行犯は女子高生だった」という設定になっています。当時は婦人警官こそいたものの,パトカーや白バイに乗るような女性警官は皆無だったので,現金を奪われた行員は,犯人は当然男性だと思っているところが盲点で,真犯人が女子高生というのにはちょっと無理があるものの,なかなか面白い発想で,こういう設定もアリかなと思いました。それに,実行犯役の宮崎あおい さんはちょっと男っぽい顔立ちなので,適役だったかも。

 事件後の後日談に多少のオチはあったものの,この事件を起こした主犯の動機がイマイチ非現実的で,映画のストーリーも,サスペンスでもない,恋愛ものでもない,大学紛争の挫折ものでもない,中途半端だったという印象があります。でも,事件の派手さに比して,映画は派手さを抑えて地味な作りだったという点は好感が持てました。

 登場人物の髪型やファッションや,当然のことながらクルマの型式など,1960年代の雰囲気をよく再現できていたと思いますが,この時代に生きた僕としては,時代考証的にちょっと違和感あるシーンが随所に見られました。ひとつは女性の言葉遣いが,なんとなく今風に感じられたこと。そして,信号機や道路標識のデザインが当時のものと違っていた点も気になりました。時代劇と違って,実際にその時代に生活した人がいる時代の映画というのは,僕のように細かいところに突っ込む人がいるので,映画を作る方も大変でしょうね。

 映画のタイトルが「初恋」というのには違和感を覚えますが,最後の最後で,なんでこの映画が「初恋」なのかがわかるようになっています。それにしても,この事件で盗まれた3億円分の紙幣は,いったいどこに消えてしまったんでしょうね。民事の時効成立時点(1988年)では紙幣のデザインは全面的に新しくなっていて,強奪された大量の紙幣は旧デザインのものなので,今では簡単には使えなくなってしまったと思われます。

 過去の関連記事:時効廃止(2009年7月18日)

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