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2009年7月18日 (土)

時効廃止

 重大事件の「公訴時効」の見直しに関する法務省内勉強会は,「生命を奪った犯罪のうち,法定刑の重い罪の時効は廃止し,それ以外は期間を延長するのが相当」とする最終報告を出す予定とのこと。最高刑が死刑にあたる強盗殺人や殺人は時効を廃止し,それよりも軽い傷害致死や危険運転致死などは時効延長を示唆する内容とか。

 この勉強会は,未解決事件の被害者遺族などから時効撤廃を求める声が強まったことなどを受けて今年1月に始まり,3月末の中間報告段階では,(1)時効廃止 (2)時効延長 (3)DNA型情報などを「被告」として起訴して時効を停止 (4)確実な証拠がある場合に検察官の請求で裁判所が時効停止か延長を決定・・・の4案を選択肢として提示していたもので,今回の最終報告で(1)時効廃止 と(2)時効延長 を決めたというもの。

 そもそも,時効って何のためにあるんでしょう。僕は法律の専門家ではないので詳しいことはわかりませんが,民事の場合にも時効があり,隣人が自分の土地にはみ出して家を建てても,一定期間経てばその部分は隣人の所有地になってしまうとか,借金の返済期限を過ぎて10年以上返済しなければ時効が成立して返済不要になるとか,そういった話を聞きますが,どう考えても理不尽ですよね。素人感覚では,民事上の問題に関しては時効なんか不要と思いますが,どうなんでしょう。

 刑事事件の場合は,時効の存在意義というのはある程度明確で,事件発生から長期間経過したことによって犯罪の立証が困難になり,結果として捜査費用が高額となるのを防止するということでしょうか。でも,犯罪被害者の感情からすれば「時効成立によって『逃げ得』になるなんて許せない」ということなんでしょう。

 これに対して日弁連(日本弁護士連合会)は,「被害者遺族に必要なのは時効廃止ではなく捜査能力の向上」「証拠が散逸してアリバイの証明が難しくなるなど被告が不利益を受ける」などの理由により全面的に反対しているのに併せて,国による被害者遺族らへの補償の充実などを提言しているとか。

 たしかに,多額の捜査費用をかけて半永久的に捜査を続けるよりも,その費用を被害者補償に充当した方がいいという日弁連の主張はもっともだと思えるし,長期間たってから起訴されたら捜査権のない弁護側としては弁護が難しくなるという面もあるでしょう。

 いずれにしても,長期間にわたって大きなマンパワーをかけるような捜査方法はもはや時代遅れではないでしょうか。犯罪発生直後の初動調査にはそれなりの人的パワーをかけて証拠を収集し,その後は別の事件などでDNA情報や指紋などを収集した時に,即座に過去の全事件のデータベースを機械的に検索して照合させるようなしくみを確立しておけばいいのにと思います。そうすれば,時効を廃止したり延長したりしても捜査費用が増大することはないでしょう。

 ということで,あまり深く考えたわけではありませんが,僕の素人なりの考えとしては,民事・刑事ともに時効はすべて撤廃した上で,初動捜査以外の捜査は科学的・機械的なものに限定して捜査費用の圧縮を図るのがいいのではないかと思います。また,これと併せて,諸外国で実施されているように,検察側による控訴は認めないような法改正もぜひ実施して欲しいものです。

 刑事裁判では,強大な捜査権とすべての証拠物件を持っている検察側が圧倒的に有利なわけで,その検察が一審で有罪を立証できなかった場合には,控訴を認めずに無罪確定とするのが理にかなっていると思います。こうすれば,刑事裁判費用を低減できるとともに,一審しか裁判員裁判の対象になっていないという裁判員制度の最大の問題点も克服できるのではないでしょうか。

 ところで,運転免許証を取得したり更新したりすると,現住所・氏名・生年月日のほかに,本籍地から顔写真まで警察のデータベースに登録されてしまいますよね。併せて,警察がその気になれば,筆跡や指紋などの情報も取得して登録することも可能でしょう(ひょっとしたら既に実施しているかも)。いずれ捜査技術が進歩したら,運転免許登録時にDNA情報まで簡単に取得できるようになるかも知れません。そうなると,免許の更新手続きに行ったら,過去の未解決事件のDNA情報にヒットしてその場で逮捕・・・なんていうことが可能になるかも知れませんね。

 過去の関連記事:裁判員制度スタート(2009年5月23日)

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法的倒産処理手続裁判所の監督の下で行われる倒産処理手続であり、この文脈では、「倒産」は経済主体が経済的に完全に破綻した場合のみならず、破綻するおそれがある場合をも含めて理解するのが一般的である。大まかに分類すると、清算型と再建型に分かれる。清算型は、倒産状態になった債務者の財産を換価して債権者に可能な限り弁済することを目的とする制度であり、債務者が法人である場合にはその存続・再建を予定しないのに対し、再建型は、倒産状態になった債務者の財産を直ちに換価・分配することは必ずしも予定されず、債権者らの権... [続きを読む]

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