« COSMOS | トップページ | 皆既日食 »

2009年6月28日 (日)

世襲の是非

 携帯各社は,家族間の通話やメールが無料になったり大幅割引になったりするサービスを導入していますが,この場合の「家族」の定義ってどうなっているんでしょうね。別居の義母が僕と同じauを使用しているので,家族割引が適用可能なのかauのコールセンターに聞いてみたところ,「家族がどこまでの範囲かという規定は特にありません」との回答。なんじゃそれ? って思いましたが,「姓も現住所も違う場合に,家族であることの証明方法は?」と聞くと,「戸籍謄本をauショップに提示してください」とのこと。

 「家族」の範囲が何親等以内かと決まっていないというのもウソみたいですが,家族であることを証明する手段が戸籍謄本だなんて,今どきちょっと信じられない。携帯ショップのおねーさんに気軽に戸籍謄本を見せることのできる人なんて,少数派じゃないでしょうか。携帯各社が大々的に宣伝している家族割引制度ですが,携帯の名義が異なると家族であることの証明方法が壁となり,結局は割引適用できるケースは極めて限定的ということでしょうね。ちなみにドコモの場合は,コドモを含むファミリー割引の適用範囲は「3親等以内」と明記されていますが,住所も姓も違う場合にそれをどうやって証明するのかはわかりません。やはり戸籍謄本ということなんでしょうか。

 さて,「3親等以内」と聞いて思い出すのは,民主党の世襲制限規定でしょうか。民主党は,次期総選挙から,3親等以内の親族が連続して同じ選挙区から立候補することを禁止することを決めたそうです。もっとも,世襲議員の代表格である鳩山由紀夫代表ほか,現職議員でこの制限に該当する議員はいないらしいので,要するに該当者が出ないような条件を上手く選んだだけなんでしょうね。

 片や,自民党は世襲議員のオンパレードと言われています。あるメディアの調査によると,次期総選挙の立候補予定者881人(5月7日現在)のうち,親や親族から地盤を引き継いだ「世襲候補」は133人(15%)で,このうち自民党の立候補予定者の場合は33%が該当するとのことで,やはり他の党に比べて自民党の世襲候補者数は突出しているようです。

 このように,世襲議員に関しては色々話題になっていますが,政治家以外の職業の場合はどうなんでしょう。世の中には,経営者が世襲で選ばれる,いわゆる「同族経営」の大企業が多数ありますね。トヨタとかサントリーとかキャノンとか。同族経営には利点があるのかも知れませんが,不適格な人が経営者になるというリスクも当然あるでしょう。でも,一民間企業の経営に関することであり,一般人がどうこう言う立場にはありません。

 同族経営とまで行かなくても,いわゆる「縁故採用」は多くの企業にあるのではないでしょうか。縁故で採用された人が社員・元社員の親族だったら「世襲社員」ってことになり,民間の大企業には一定数の世襲社員がいると思われますが,それでも,「33%が世襲」なんてことはあり得ないし,もしそんな大企業があったら,そんな会社には絶対勤めたくないです。

 スポーツや芸術のように実力本位で決まる世界では,「長嶋茂雄氏の息子」というだけでメディアに注目されたりすることはあっても,最終的には実力第一となるので,比較的公正な世界と言えるでしょうね。もっとも,歌舞伎のように世襲が原則となっている分野も一部あるみたいです。歌舞伎に限らず,芸能人の場合は,実力よりも親の力や話題性が優先した「世襲芸能人」も少なくないですね。

 ということで,世襲の有無は分野・職業によってさまざまですが,「世襲が必須」というケースももちろんあります。代表的なのは皇室・王室でしょうか。皇室・王室は世襲だからこそ意味があると言えますが,結局は政治の実権を握っていないからこそ世襲が大衆に受け入れられていると言えるのではないでしょうか。国家元首が世襲で決まる北朝鮮のような国や,天皇が実権を握っていた旧憲法時代の日本のような国家体制には,どうしても無理が生じるでしょうね。

 民間企業の場合には世襲があっても許せますが,公務員や公益法人となれば話は別。財団法人「日本漢字能力検定協会」の前理事長と,その長男の前副理事長が背任罪で逮捕・起訴されたニュースがありましたが,公益法人にもかかわらず,親子で理事長・副理事長を勤めるなんていうことがどうやってあり得るのか,ほんと理解に苦しみます。

 これと同様に,公職である国会議員に世襲というのは許されないものなんでしょうか。たしかに,公的な選挙で選ばれる職業でありながら,世襲議員が多くを占めている現状は異様です。それに,この就職難の時代に「親が国会議員というだけで簡単に議員になれるなんて許せない!」というやっかみもあるでしょう。世襲議員に関しては賛否いろんな意見がありますが,その中でわかってないなーと思うのは,「世襲候補がイヤならその人に投票しなきゃいいじゃん!」みたいに,有権者が選べばいいという意見。

 比例代表区はともかく,選挙区選挙の場合でも,有権者の多くは候補者の経歴などよりも政党で選んでいるはずです。たとえば,世襲に反対している自民党支持者が,自民党の公認候補が世襲だからといって,民主党候補や共産党候補に入れるなんてありえない。つまり,今の選挙制度の下では実質的に有権者に候補者個人を選ぶ選択権がなく,「有権者が選べばいい」というのは筋違いです。

 やはり「本人に特別な才能や実力がなくても誰でもなれる」というシステムにこそ問題があるのであって,世襲かどうかというのは別問題だと思います。結局は,立法行為に必要な知識と能力があることを証明できるような資格試験制度を設けて,議員に立候補する人の資格要件を厳しくすべきだと思います。資格制にすれば,世襲かどうかにかかわらず不適格議員は淘汰され,弁護士の子どもが弁護士であっても誰も違和感を覚えないのと同じように,国会議員の子どもが国会議員になっても誰も文句言わなくなると思いますよ。

 過去の関連記事:こんな政治制度に(2008年6月22日)

|

« COSMOS | トップページ | 皆既日食 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/149573/45483875

この記事へのトラックバック一覧です: 世襲の是非:

« COSMOS | トップページ | 皆既日食 »