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2009年6月21日 (日)

絞死刑

 今日は古い映画の感想です。1968年公開の「絞死刑」を見ました(監督:大島渚,出演:渡辺文雄,尹隆道,佐藤慶,石堂淑朗,足立正生,戸浦六宏,小松方正,松田政男,小山明子 ほか)。この映画は死刑問題を扱った大島渚作品ということで,そう聞いただけでワクワクします。前々から見たいと思っていたんですが,DVDはかなり高価で販売されていて,TSUTAYAのレンタル対象にもなかったのであきらめていたところ,最近CSで放送されていたものです。

 「絞首刑」ということばはありますが,「絞死刑」というのは造語。「絞首刑」と「死刑」をくっつけたということでしょうか。映画が始まると,いきなり観客に対して「あなたは死刑廃止に賛成ですか?」とか「死刑執行シーンを見たことがありますか?」みたいな問いかけがあり,超シリアスな映画だと思わせますが,予想に反して,コメディータッチの映画なんです。

 在日朝鮮人の死刑囚「R」は2件の強姦・殺人罪で死刑執行されたものの,意識不明のまま脈が停止せずに処刑に失敗。この死刑囚を蘇生しようとした時,「殺すために蘇生させる」という矛盾に対して教育部長・教誨師・医務官が対立します。そして蘇生した後,このまま生かすのか再度死刑執行するかで,また対立。さらに,蘇生した死刑囚は記憶喪失になってしまったため,「心神喪失状態にある時は執行を停止」という法に引っかかって刑が執行できないということでも対立。このあたりの関係者のやり取りはめちゃ滑稽です。

 このまま死刑執行場での密室劇がずーっと続くのかと思ったら,突然外に出て空想シーンに切り替わって,空想と現実が入り交じり,徐々に支離滅裂な世界に入っていきます。このあたりは大島監督らしい作品でしょうか。死刑制度問題・在日朝鮮人差別問題などを扱った重い映画ではありますが,映画に隠されたメッセージはかなりわかりづらいと感じました。なお,死刑執行に失敗して蘇生するというのはもちろんフィクションですが,この死刑囚は,実際にあった「小松川事件」という殺人事件の犯人という設定になっています。

 ちなみに,この映画の医務官役で出ている戸浦六宏さん(故人)は,大島監督の映画に多く出演していますが,僕の大好きな名脇役なんです。ちょっと人相の悪いところが悪役にピッタリで,テレビドラマ「ザ・ガードマン」(古すぎ?)の悪役で活躍していたのを記憶しています

 この映画は,今は使われなくなった差別用語がバンバン使われていたりするので,地上波ではまず放送されない作品でしょうね。ということで,レンタルがなくて見るチャンスが少ないという意味でも,一見の価値ある映画だと思います。CS「日本映画専門チャンネル」で,今後は6月30日・7月8日・28日に放送予定。興味ある方はぜひご覧下さい。

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