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2009年4月21日 (火)

モスラ

 以前のブログで書いたゴジラ・シリーズに続き,3月にCSで放送されていたモスラ・シリーズ4作品の感想です。僕にとって映画の原体験とも言える東宝特撮映画シリーズはこれで完結です。なお,例によって,思いっきりネタバレがあります。

1.モスラ(1961年版)
 監督:本多猪四郎
 出演:フランキー堺,小泉博,香川京子,田山雅充,ザ・ピーナッツ 他

 かつて「ロリシカ国」が核実験を行ったために「放射能の墓場」となった南洋の「インファント島」に座礁した乗組員が,ザ・ピーナッツ演じる双子の「小美人」を発見。ロリシカ人の隊長ネルソンは,この小美人を無理やり連れ帰り,日本国内で見せ物にして売り出したところ,小美人を助けるために東京にやってきたモスラが町を破壊するというストーリー。

 この映画は,子どもの頃に白黒テレビで見た記憶があり,僕の記憶の中ではずっとモノクロ映画でしたが,実際の映画はもちろんカラー。この時代のカラー映画というのは,色が渋くて味わいがあって,今見ても美しいと感じます。

 真っ二つに折れた東京タワーでモスラが繭を作るシーンは圧巻です。モスラの繭の美しさも見事でしたが,1958年に完成したばかりで東京を代表するシンボルであった東京タワーの破壊というのは,当時の人にとっては,たぶん衝撃的だったでしょうね。

 ということで,なかなかよくできた特撮映画だと思いますが,それでも突っ込みどころは満載。ロリシカ人の隊長が小美人を連れ帰って金儲けする場所が,なんでロリシカ国でなく日本なのかがはっきりしないし,そもそも,無理やり連れて来られた小美人の2人が,なんでショーに協力的なのかも不可解です。また,女性カメラマンがライター型の小型カメラで隠し撮りするシーンは,明らかに「ローマの休日」のパクリですね。

 そして,ロリシカ国行きの飛行機のロゴが「PAN AMERICAN」だったり,「ニューカーク市」という町が舞台になったり,ロリシカ人が話すのが英語だったりするなど,仮想の国「ロリシカ」は,明らかにアメリカを指しているといえます。つまり,徹底的に悪者扱いされているロリシカ人は,明らかにアメリカ人ですね。そういえば,かつての「巨泉のクイズダービー」というクイズ番組で,「アメリカで最も評判悪かった日本の怪獣映画は?」という出題がありましたが,これの正解は「モスラ」でした。なるほど納得です。たしか篠沢教授がこの問題に正解したのを覚えています(ちょっと古すぎ)。

2.モスラ(1996年版)
 監督:米田興弘
 出演:小林恵,山口紗弥加,羽野晶紀,梨本謙次郎,高橋ひとみ 他

 北海道の森林開発現場で発見された遺跡の一部を,現場監督が剥がして持ち帰ったことにより,6500万年前に地球にやってきて岩に閉じこめられていた宇宙怪獣「デスギドラ」の封印が解けて暴れ出し,これをモスラがやっつけるというストーリー。

 旧作1961年版のモスラは明らかに「虫」で,武器をほとんど持たない巨大な「蛾」でしたが,この映画以降の3作品のモスラは,よりカラフルになり,光線を出して相手を攻撃するなど,もはや虫ではありません。そして小美人の2人(小林恵と山口紗弥加)も,ザ・ピーナッツが演じた頃のおとなしい女性とは別人で,超小型モスラの「フェアリー」という虫にまたがって自由に飛び回るなど,めっちゃ行動的になっています。また,モスラを呼ぶか呼ばないかで2人の意見が対立するなど,必ず同じセリフをハモってしゃべっていたザ・ピーナッツ作品と比べると隔世の感があります。

 モスラが登場するシーンは,突っ込みどころがいっぱいです。卵から生まれるシーンは毎度おなじみで新鮮みがないし,生まれたての幼虫が親を助けに行くという親子愛はなんだかクサイし,幼虫が生まれて短時間で繭になるのもヘンだし,それに,わざわざ世界遺産の屋久島まで行って,繭を作るために自然破壊するなよって思います。ちなみに,モスラが卵から生まれるシーンとしては,やはり「モスラ対ゴジラ」(1964年版)が僕にとっては最高でした。

 いずれにしても,この作品以降のモスラの成虫は,破壊光線などの武器をいっぱい身につけてめちゃくちゃ強くなってしまいます。それぐらい強くしないとデスギドラとの戦闘が成立しないし,ハッピーエンドにならないということなんでしょうね。

 また,これ以降の作品で特徴的なのは,かつては怪獣をやっつけるときに必ず登場しながら失敗に終わっていた,あの自衛隊が一切出てこなくなったことです。モスラが強くなったので自衛隊が必要じゃなくなったのか,出てきても役に立たずに恥をかくのは逆宣伝効果だと自衛隊が判断したのか,理由はよくわかりませんが(笑)

3.モスラ2 海底の大決戦(1997年公開)
 監督:三好邦夫
 出演:山口紗弥加,小林恵,紺野美沙子,細川ふみえ,羽野晶紀 他

 この作品は前回作品の続編の位置づけで,最初から最後までモスラは成虫です。モスラの登場する映画で,幼虫も繭も出てこない映画はこれが初めてかも知れません。

 映画の舞台は石垣島。突然海に出現した巨大ピラミッドの内部へ,主人公の子どもたちが怪獣ダガーラを倒すための秘宝を探しに行くという,ファンタジックな冒険物語となっています。CGのオンパレードで動きの激しいシーンが多いですが,しょせん「お子さま向き映画」の域を脱していない映画といえます。海が割れて海上のピラミッドから脱出するシーンは,映画「十戒」の有名なシーンを彷彿させましたが,こんなシーンが簡単に作れるCGって便利なものですね。

 モスラが「水中バージョン」に変身して海底でダガーラと決闘するなど,全般的に荒唐無稽でリアリティーに欠けます。やっぱり,昔ながらの「蛾」に徹したモスラが懐かしいです。

4.モスラ3 キングギドラ来襲(1998年公開)
 監督:米田興弘
 出演:吉澤拓真,篠崎杏兵,小林恵,建みさと,羽野晶紀,大仁田厚 他

 モスラ・シリーズの最終作品。今回は,宇宙怪獣の大御所で最強のキングギドラが登場します。やっぱり強いです。モスラでは全然歯が立ちません。このため,モスラは小美人の反対を押し切って,1億3000年前の過去に戻り,恐竜を絶滅させたとされるキングギドラを倒しに行きます。

 1億3000年前のキングギドラを倒せば現代のキングギドラが消えるということらしいですが,タイムパラドックス的に問題ないんでしょうか。モスラさんはそこまで深く考えたのかな? ていうか,恐竜を絶滅させたキングギドラを倒してしまったら,現代に恐竜がよみがえってしまうんじゃない? そもそも,現代のキングギドラは倒せないのに,なんで1億3000年前のキングギドラなら倒せるとモスラは判断したんでしょうね。

 結局,このあたりのロジックはすっきりしないまま,モスラは1億3000年前に戻ってキングギドラと戦いますが,やっぱり歯が立ちません。それでも,なんとか最後は火山の噴火口にキングギドラを放り込みます。これでハッピーエンドとなるのか?・・・結末は省略しますが,結局はなんだかすっきりしない映画でした。

 過去の関連記事:
  初代ゴジラ(2008年12月17日)
  復活ゴジラ(2009年1月25日)
  最後のゴジラ(2009年2月3日)
  東宝の特撮映画(2008年12月19日)

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