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2009年2月20日 (金)

公表の基準

 香川県は,県立中央病院で昨年9月中旬ごろに体外受精をした不妊治療中の女性に対し,誤って別の患者の受精卵を移植した可能性があるため,妊娠9週目の昨年11月に人工妊娠中絶をしたと発表。病院は女性に謝罪したものの,女性とその夫は「精神的な苦痛を被った」として,慰謝料など約2千万円の支払いを県側に求める訴えを起こしているとか。

 別の患者の受精卵が誤って移植されるとは,なんとも恐ろしい医療ミスがあるものですね。これだけ医療技術が進歩した今,体外受精は安全で,たいがい(あ,ギャグじゃないです)だいじょうぶだと思ってましたよ。

 このニュースで気になったのは,体外受精失敗のことではなく,なんでこのミスが公表されたのかということ。報道によると,「慰謝料などの支払いを求めた患者側からの訴状が18日夕に届いたことから,県は19日に発表した」となっています。つまり病院は,ミスが判明したのが昨年11月にもかかわらず,その時は公表せず,裁判沙汰になり事実が白日の下にさらされることになった今の時点で,初めて公表したということなんですね。言い換えれば,もし裁判にならなかったら,この事実は永久に公表されなかったということでしょう。

 医療現場では,人命や健康にまったく影響ない些細なミスは,日常的に数多く発生しているものと想像します。そして,多少影響が大きくても,当事者間で解決するような問題の場合には,わざわざ公表したりしないんでしょう。それはそれで事情はわかりますが,今回のケースのように,裁判になったから慌てて公表するというのは,なんともみっともないものです。

 どんな分野の仕事でも,いかにしてミスを犯しにくい仕組みを作るか,そして,万一ミスを犯した時にいかにして被害を最小限に抑えるかというのは重要なことで,それぞれの分野での長年の経験とノウハウによって,必要な対策が講じられていることでしょう。それでも,人間というのは必ずミスを犯すものです(もちろん,人間に限らず機械も)。

 たとえば,ある会社の社内で「誰かさんが漢字を読み間違った」みたいな些細なミスをいちいち公表するわけはないし,そんなの公表されても迷惑なだけです(もっとも,総理大臣が漢字を読み間違うと,メディアは面白おかしく取り上げますが)。

 企業などが不祥事を起こした時に,責任者が記者会見して頭を下げる光景はおなじみになりましたが,こういう不祥事を公表するかしないかの基準って,いったい何なんだろうなと,ふと気になりました。

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コメント

個人的には、慰謝料2千万ってずいぶん安いなあと思いました。裁判になって勝ったとしても(和解でも)かなり減額されるはずだから、もっと請求してもよさそうなもの。
あまり欲のない人たちなんでしょうね。提訴したのはよくよくのことだろうと思います。病院も人の良さにつけこんだ(なめた)ような印象を受けますね。
表沙汰になる前に倍額でも払ってひたすら謝罪して、なだめておけば良かったのに。それくらいのひどいことをしたと思います。
闇に葬られている事件がたくさんありそうですね。

私としては危険で母体に負担をかけ(かなり痛いらしい)、お金もかかる不妊治療より、特別養子縁組が増えることを期待しています。

投稿: dashi | 2009年2月23日 (月) 11時50分

 たしかに,この医療事故のインパクトからすると2千万というのは安いかも知れませんね。
 医療ミスが表沙汰になるのは氷山の一角だと思いますが,昔は患者側が泣き寝入りするケースが多く,患者が病院を訴えるケースは確実に増えているでしょうね。
 でも,そのために,医師が医療事故のリスクが大きい分野を敬遠し,産科や外科などの医師が不足しているという現実もあり,難しい問題だと思います。

投稿: かば | 2009年2月23日 (月) 21時44分

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