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2009年2月 3日 (火)

最後のゴジラ

 先日の「復活ゴジラ」に続き,本日は1999年から2004年にかけて公開されたゴジラ・シリーズ最後の6作品の感想です。

 この6作品に登場するゴジラは,背びれの形状が大きく変わり,以前のゴジラを見慣れている人には違和感がありますが,口の裂け方も大きくなって,より爬虫類に近くなったような気がします。明らかに従来のゴジラとは「別物」の設定ですね。また,ゴジラが海中を泳ぐシーンが何度かありますが,上手に泳ぐのには驚かされます。【例によって,思いっきりネタバレあり】

1.ゴジラ2000 ミレニアム(1999年公開)
  監督:大河原孝夫
  出演:村田雄浩,阿部寛,西田尚美,佐野史郎 ほか

 今回のゴジラは,わが茨城県に上陸して東海村の原発を襲います。そして,上陸地点の河口は,僕がよく見慣れた川と赤い橋と河川敷。自分がよく知っている場所に戦車が集まりゴジラが上陸して破壊活動を起こすというのは,極めてリアルで衝撃的でした。かつて臨界事故を起こしたJCO事業所もこの原発の近くにあり,僕の自宅から10キロ圏内。いやはや危ない場所に住んでしまったものです。

 ところで,主演で局長役の阿部寛さんが,「茨城沖」を「いばらおき」と発音していましたよ。う~~ん,許せん!(正しくは「いばら」 1月30日の記事を参照下さい)

 この映画では,ゴジラの生命力の秘密を持つ「謎の飛行物体」が登場し,ちょっとSF的なストーリーですが,結局これはなんだったのか,よくわかりませんでした。

2.ゴジラ×メガギラス G消滅作戦(2000年公開)
  監督:手塚昌明
  出演:田中美里,谷原章介,勝村政信,池内万作 ほか

 1954年に最初にゴジラが出現して東京を破壊して以来,なんと首都が東京から大阪に移転していたという設定。そんな話はこれまでのゴジラ作品に出てこなかったので驚きました。これに限らず,この後期の6作品には,ストーリー上の連続性がない作品が多いようです。

 首都移転後の日本は,1960年代に原発の撤廃を計画し,1990年代には重水素を原料としたプラズマ発電なるクリーンエネルギーを開発したということになっています。その「首都大阪」にゴジラが出現するというのが今回のストーリーです。

 今回のゴジラ撃退方法は,プラズマエネルギーを使って,ブラックホールの小型版「マイクロ・ブラックホール」にゴジラを吸い込ませてしまおうという方法。そんな回りくどいことをしなくても,ゴジラを捕獲して宇宙空間に放り出せば手っ取り早いんじゃないかと,僕は思いましたが。

 ところが,この「マイクロ・ブラックホール」の実験により,時空が歪んでトンボのような巨大昆虫が出現してしまいます。この巨大昆虫のCGはなかなかよくできていて,実写やミニチュアとも違和感なく融合しています。CG技術の進歩により,ゴジラ映画の制作スタイルも大きく変化してきたようですね。

 この巨大昆虫が合体して「メガギラス」という怪獣に進化し,お台場でゴジラと戦いますが,このメガギラスは,ゴジラの熱線をはね返すなど,めっちゃ強い怪獣です。

 「マイクロ・ブラックホール」によってとんでもない巨大昆虫や怪獣を出現させてしまったのに,ゴジラ撃退のために再度この武器を使うという作戦(しかも渋谷で!)は信じられませんが,他の作品に比べると,ゴジラ撃退に関しては成功した感があります。

 ということで,途中で子どもが出てきた映画なので,またまた「お子さま向け映画」になるのか? とちょっと心配になりましたが,SF的な面白さもあって,けっこう楽しめた映画です。

3.ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年公開)
  監督:金子修介
  出演:新山千春,宇崎竜童,小林正寛,佐野史郎 ほか

 防衛省内の訓辞から始まるという異様な雰囲気で映画はスタートします。ていうか,この時代で既に「防衛省」に昇格していたのには驚き(「防衛省」の看板が出ていました)。実際に防衛庁から防衛省に昇格したのは2007年なので,この映画は相当のフライングですね。防衛省の昇格というのは,やはり防衛庁の長年の悲願だったということでしょうか。ただ,映画の中では「自衛隊」と言わずに「防衛軍」と言っているし,他のゴジラ映画のエンドロールで出てくる「自衛隊協力」の字幕もありませんでした。この映画に関しては,自衛隊とは無関係に映画制作者の意図で防衛省や軍隊を出現させたのかも知れません。

 今回のゴジラは,米国原潜の撃沈で始まり,箱根の大涌谷に出現します。怒ったゴジラの白い目玉は超不気味で怖いです。また,前方に熱線を吐き出すと見せかけて,くるりと振り返って後ろにいるモスラを攻撃するなどのトリック・プレーをやってくれます。頭もよくなったみたいですよ。これに対して,ゴジラの熱線で簡単にやられてしまう軍隊は相変わらず頭悪いです。

 そして,以前のシリーズのキングギドラは「宇宙から来た怪獣」という設定でしたが,今回はヤマトの守り神「ギドラ」と粉々になったモスラが合体して生まれます。なんだか支離滅裂。

4.ゴジラ×メカゴジラ(2002年公開)
  監督:手塚昌明
  出演:釈由美子,宅麻伸,小野寺華那,高杉亘 ほか

 対ゴジラ戦闘用のロボット「メカゴジラ」を開発してゴジラを撃退する作戦ですが,面白かったのは,このロボットを開発するための法案が国会で可決され,それによって内閣支持率が上昇するという下り。ゴジラ映画でそこまで描写するか? ってところが面白い。そして,この時の総理大臣はなんと女性(映画の途中で男性の総理に交代しますが)。初めての女性総理がこの時代に誕生していたんですね。

 このメカゴジラには,ゴジラの骨から抽出した細胞を使用しているとのことですが,ロボットになんでゴジラ細胞が必要なのかは理解に苦しみます。また,なんでゴジラと同サイズの2足歩行(おまけに尻尾までついている)なのかも理解できません。わざわざゴジラと対等になる同サイズにしなくても,どうせなら,ゴジラを踏みつぶせるぐらいに,もっとデカくすればいいのにと思います。どうしてもゴジラと取っ組み合いをさせたかったということなんでしょうか。

 今回の対ゴジラ兵器の目玉は「Absolute Zero」という爆弾で,その名のとおり相手を「絶対0度(-273℃)」に下げる砲弾を打ち込んで一瞬のうちに破壊するというもの。こんな破壊力のある爆弾があるのなら,これだけで十分でしょう。なんで二足歩行ロボットが必要なのかちょっと理解できません。ただ,メカゴジラの中に人を入れずに遠隔操作にした点は,現実的でよかったと思います。

 ところが,このメカゴジラ,最初のゴジラとの対決時にはシステム障害を起こして「Absolute Zero」が発射できず,しかもシステムが暴走して町を破壊してしまいます。システムが障害を起こすというのは今風のトラブルで面白いですが,この攻撃失敗によって「内閣総辞職か?」という新聞記事が踊るというのにも笑えました。

 2回目の対戦では,メカゴジラは「Absolute Zero」の発射と同時にゴジラの熱線を受けて転倒。このため的を外して町のビルに打ち込んでしまうという大失態。対ゴジラ専用ロボットなのに,ゴジラの熱線で簡単に倒れるようなロボットを作るなよって思います。そして再度発射しようとしたらエネルギー不足。ところが電力不足でエネルギー供給ができず,電力会社に交渉の末,一般家庭を停電させてメカゴジラへ電力供給することになります。この映画の作者は,こういった現実社会の描写にこだわりがあるようですね。

 最後は「Absolute Zero」がゴジラに命中しますが,不死身のゴジラはそれでも死なずに去っていきます。絶対0度になっても死なない生物ってあり得ないと思いますけどね。ここまでカネかけて,結局はゴジラを海へ追っ払っただけなのに,「勝った!」と喜んでいる政府もヘンですよ。

 ということで,突っ込みどころ満載の映画でした。なお,市内にゴジラ接近の警報が発せられるシーンで,ゴジラこと松井選手(ジャイアンツ時代)が「ちょい役」で出ていたのには笑えました。

5.ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS(2003年公開)
  監督:手塚昌明
  出演:金子昇,虎牙光揮,吉岡美穂,小泉博,中尾彬 ほか

 今回登場するモスラは,超音速で飛行するという,モスラらしくない生物になっています。そして,初代はザ・ピーナッツの2人が務めたモスラの保護者「小美人」の2人は,今回は長澤まさみさんと大塚ちひろさんのコンビが演じています。このため2人の身長は不揃いで,双子のザ・ピーナッツ版を見慣れた僕にはとても違和感がありましたね。その小美人は,「1954年に死んだゴジラの骨を海に返して!」という無理難題を要求して人間を困らせます。そんなこと言っても無理なんだいっ!(笑)

 対ゴジラ戦闘用に,前回壊れたメカゴジラを復活させようとしますが,「メカゴジラの修理よりも,ゴジラで被災した町を復旧させよ!」とメディアが主張しているあたりは,なかなかリアルです。そして結局,防衛予算が足りないため,メカゴジラは「Absolute Zero」なしでの戦いになります。

 海に潜ってやってきたゴジラは,東京のお台場あたりに出現(台場で潜ってたからダイバーって?)。そして,モスラやメカゴジラと戦います。CG技術が発達した分,モスラの描写は細かくなってなかなかリアルです。成虫のモスラは絶命し,代わって小笠原に生んであったタマゴから双子のモスラが誕生。そして糸を吐いてゴジラを攻撃。このあたりは,これまでの映画で何度も見たシーンです。モスラが登場するシーンは,はっきり言ってネタ切れですね。

 そして,最新技術を結集したロボットであるメカゴジラとゴジラが取っ組み合いのケンカ。2足歩行のメカゴジラは,いったん倒れると起き上がるのも大変みたい。球形ロボットにすればよかったのにと思います。最後は両者で心中という形で決着します。結局,小美人が要求していた「ゴジラの骨を海に返す」は実現しませんが,モスラと小美人はこれで満足したのかな? よくわかりません。

6.ゴジラ FINAL WARS(2004年公開)
  監督:北村龍平
  出演:松岡昌宏,菊川怜,宝田明,ケイン・コスギ ほか

 ストーリーは,はっきり言って支離滅裂です。初代シリーズ以降のすべての怪獣が登場するという,いわばゴジラ・シリーズ終了を記念したカーテンコール状態。このストーリーで2時間以上は長すぎます。なお,1965年の「怪獣大戦争」に出ていたX星人も登場しますが,X星人役の伊武雅刀さんは,人間らしさがなくて,とても似合ってましたね。

 ということで,ゴジラ映画というよりは,地球防衛軍VS宇宙人のSFコメディー活劇 といったところでしょうか。それにしても,未来世界の戦争なのに,最後は人間と宇宙人の取っ組み合いのケンカかよ! って思いました。

 1984年以降の新シリーズでは,ゴジラは一貫して「人間の敵」に徹していて,強くてかっこよかったです。ところが,最後の最後のこの作品で,ゴジラは人間の味方に付きそうになりました。ということで,このシリーズはここで終わってよかったと言えます。もし続けていたら,かつての「軟弱ゴジラ」の二の舞になっていたことでしょう。

 ところで,映画の冒頭に「田中友幸・本多猪四郎・円谷英二に捧ぐ」のテロップが出ます。ゴジラ・シリーズをはじめとする東宝特撮映画に関しては,この3人(制作・監督・特技監督)の功績がとても大きかったということですね。映画の中身よりも,この冒頭のテロップだけが印象に残った映画でした。

 過去の関連記事:
  初代ゴジラ(2008年12月17日)
  復活ゴジラ(2009年1月25日)

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