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2009年2月 1日 (日)

蟹工船

 映画「蟹工船」(1953年公開,監督:山村聡,出演:山村聡,日高澄子,森雅之 ほか)を見てきました。ご存じ小林多喜二原作のプロレタリア文学代表作で,昨年どういうわけか大ブレークし,タイトルが流行語大賞に入賞したほど有名になりましたが,僕は決してミーハーで見に行ったわけではありません。

 僕が学生の頃は,買った本を読まないで本棚に並べておく癖があって,プロレタリア文学の本も何冊か買ったものです。この「蟹工船」も間違いなく買った記憶がありますが,結局読まないうちにどこかへ紛失してしまいましたね。正直に言うと,当時は読もうという気が起こらなかったです。そういう罪悪感もあって,映画だけはぜひ見たいと思っていたところ,この映画が東京で上映されていることを知り,ちょうど東京へ行く機会があったので見てきました。

 ただ,映画などの作品というのは,それが作られた時代にどう受け止められてどう評価されたかが重要だと思うので,公開後何十年も経ってから見た古い映画の感想というのはあまり意味がないと思えるし,なかなか書きづらいものですね。【以下,ネタバレあり】

 この映画は昭和の初期が舞台で,カムチャツカ沖で蟹を獲って缶詰に加工する蟹工船の中で,過酷な条件と低賃金で働く労働者が,経営者や現場監督者に対して待遇改善を求めて立上がるというお話で,おおむね原作どおりのストーリーで描かれたらしいです。なお,今年SABU監督により再映画化される予定ですが,こちらは原作とは違うイメージの映画になるらしい。

 原作がプロレタリア文学とわかっているだけに,映画も当然予想されたとおりの展開になっていくわけで,ストーリーの意外性とか特別な感動とかが感じられるものではありませんでしたが,現場監督の悪役ぶりの徹底により,労働者の怒りが爆発するまでの感情の盛り上がりが上手く表現されていたと思います。また,ラストがハッピーエンドにならなかった点も,社会の不条理さや挫折感を表現する点ではよかったでしょう。ただ,企業利益を追求するあまり,他の漁船が発したSOSを無視したり,暴風雨警報を無視して漁を続けたり,ソ連領海を侵犯したり,労働者に対して殺人まがいのことが行われたりなど,むちゃくちゃです。小説とはいえ,リアリティーがどこまであるのかは,よくわかりませんでした。

 この映画は,新宿の「新宿武蔵野館」で1月10日から公開されていますが,入場者数が好調なために,当初1月23日までだった予定を延長して今も上映中とのことです。詳細はこちら↓
http://www.musashino-k.co.jp/cinema/shinjuku.html

 なお,この映画館はビルの3階にありますが,このビルの4階には,なんと「かに道楽」のお店がありました。映画を見たあとは,ここで蟹料理を食べながら,蟹工船の労働者に思いを馳せましょう ってか?

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コメント

再々失礼します。
「蟹工船」、私もすごく映画版を観たいと思っていたので、かばさんの感想を拝見できてよかったです。
以前の職場関係のくみあいれんごうが、とあるところを借りて上映会をやったので行ってみようかと思ったのですが「そういう集まり」には関心がないのでどこで見ようかと思っていたところです。東京ではやってはるのですね。
それにしても、私は原作を読んで、カニに対してトラウマが出来てしまい、しばらくカニを見るのが気持ち悪い状態です…(本に入り込み過ぎ!)読後の最もひどい時は、エビのすり身を見ただけで「ひぃいいいカニ!」(てか、エビ!)となっていたりしたほどで、ちょっと病んでますね(笑)
映画版、どうにかして見てみたいと思います。平成版はSABUさんが監督しはるのですね…たぶん、ものすごくテイストの違ったものになるように思います。
情報ありがとうございます!

投稿: kate* | 2009年2月 1日 (日) 01時02分

 もし今すぐに見たければ,3,000円ぐらいでDVDが販売されているので,DVDを買うのが手っ取り早いと思います。1回見るだけで3,000円はちょっと高いので,2回見ましょう!(笑) レンタルがあるといいけど,ネットレンタル大手のTSUTAYAでも扱ってないので,今はどこでもレンタルはないのかも知れません。
 それにしても,原作を読んだだけで蟹が気持ち悪くなるとは,けっこうデリケートなんですね。デリkate・・・なんて。
 さらに,映画では,めちゃ不衛生な船内で缶詰を作ってたので,もし映画を見たら,たぶん今後は蟹の缶詰が食べられなくなりますよ~。覚悟して見て下さい(笑)

投稿: かば | 2009年2月 1日 (日) 01時24分

こんにちは。“蟹工船”っていう名前の“蟹しゃぶ屋”さんもあるんですよ。わかってやってんのか、無知なのか知りませんけど。

蟹工船は昔読んだ記憶はあるけど、映像化すると気持ち悪そうですね~。蟹を美味しく食べ続けるためにも私はパスさせていただきます~。ではでは

投稿: ちきりん | 2009年2月 1日 (日) 13時12分

 こんにちは。へ~~,そんな名前の蟹しゃぶ屋があるんですか。この原作の意味するところをわかっててやってるんだったら,店名のセンスはイマイチですね。
 それにしても,この小説が発表されたのが治安維持法下の1929年というのがすごいし,小林多喜二は1933年に特高に捕えられて獄死。いろんな意味で恵まれた僕としては,こんな凄まじい人生もあるんだなーと感銘を受けます。

投稿: かば | 2009年2月 1日 (日) 19時35分

ご存知のように、もともとカニ(&エビ)は苦手ですので、映画を見ても、苦手なままで何も変わらないわけですが、授業でマルクスを教える時に一緒にこの映画を見せたりしたら、学生がどんな反応をするのか、興味ありますね。

筒井康隆に、これをパロディ化した、「蟹甲癬」という短編がありますが、これもすごく気持ち悪いですよ。

投稿: な★★”★ | 2009年2月 3日 (火) 01時16分

 こんにちは。この映画はモノクロですが,こんど作られるカラー版だったらもっと気持ち悪くなるかも知れませんね。
 「蟹甲癬」ていうパロディーがあるんですか。知りませんでした。これ,タイトルだけでもけっこう気味悪いですね。

投稿: かば | 2009年2月 3日 (火) 22時11分

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