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2009年1月25日 (日)

復活ゴジラ

 先日書いた「初代ゴジラ」の続編で,12月から1月にかけてCSで放送された,1984年から1995年までに公開された7作品の感想です。

 全体的な感想としては,初代シリーズの後半の作品に比べると,すべての作品について最低限のクオリティは確保されていると言えます。制作費はある程度かけていると思えるし,出演者もそれなりの俳優が起用されています。何よりも「怖いゴジラ」が復活しているのが僕には嬉しいですね。巨大怪獣であるゴジラが日本に上陸し,暴れ,火を噴き,町を破壊し,人間が逃げ回る・・・そんな怪獣映画の原点の面白さが復活しているといえます。

 また,ゴジラなどの怪獣が上陸するのはすべて実在する土地であり,実際にある馴染み深い建造物が破壊されたりします。これは,その土地を知っている人間が見るとけっこう衝撃的で,逆にこれがゴジラ映画の醍醐味ともいえるでしょう。破壊される町のミニチュアも,以前のシリーズに比べると格段に精巧になっていてリアルです。また,従来のシリーズよりもゴジラは巨大化していますが,都会に建築されたビルは当時よりも高層化しているため,巨大化したゴジラよりもビルの方がさらに巨大化していて,破壊シーンもなかなかの迫力です。

 ただ,全体的に映画の終わり方が気になります。なんでここで終了なのか? なんでこれでゴジラを撃退したと言えるのか? 単に海に帰っただけじゃん! と思える終わり方が多く,イマイチすっきりしません。まあ,次の作品に繋げるためにそうしているのかも知れませんが。

 それと,新シリーズでは,自衛隊が宣伝を兼ねて全面的に協力しているそうで,防衛設備などの描写がかなり緻密になっています。ただ,自衛隊の武器だけではやはりゴジラを撃退できないし,撃退できないのがわかっていながらゴジラに近づき,ゴジラの吐き出す熱線で簡単に破壊される戦闘機や戦車は哀れです。宣伝のために全面協力した割には,自衛隊のオマヌケぶりが目立ちすぎですよ。【以下,思いっきりネタバレあり】

1.ゴジラ(1984年公開)
  監督:橋本幸治
  出演:田中健,沢口靖子,宅麻伸,夏木陽介 ほか

 牙が鋭くなって顔も「怖いゴジラ」に戻り,なんとなく安心しました。ただ,目が大きくてちょっと「可愛さ」が残っているのが気になりましたが。

 今回のゴジラは,餌となる核物質を求めて静岡県にある原発(浜岡原発がモデル?)を襲います。かなり強度な耐震設計がされている原発とはいえ,ゴジラなら簡単に破壊できるんでしょうね。ゴジラによって原発が破壊され,炉心や制御棒がむき出しになるシーンはなかなか恐ろしいものですが,そんな破壊シーンを撮影する記者・カメラマンが登場します。破壊された原発に積極的に近づく記者って,ありえないと思いますよ。

 「戦術核兵器」を一度は実戦で使ってみたい米ソが,ゴジラ撃退のために日本近海での核兵器使用の許諾を日本政府に迫るというのは,なかなかリアルです。でも,日本の首相は「安全な核兵器なんてない」「一度でも使ったら抑止力が崩れる」と言って,他の大臣の反対を押し切って米ソを説得します。よく言わせるよなあと思いました。

 ところが,ソ連が宇宙からの核弾道ミサイルを新宿へ目がけて誤射してしまいます。なんとも情けないことに,日本の防衛力では核ミサイルを撃墜することができず,撃墜をアメリカに依頼する羽目に。巨額の防衛費を使いながら,たった1機のミサイルを撃墜できない自衛隊って,なんのためにあるんでしょうね。戦車や空母や戦闘機なんか要らないので,他国からのミサイルを撃墜する設備だけ装備しておけばいいのにと思います。それが本来の「国防」だと思いますよ・・・おっと,ゴジラ映画なのに,どうしても視点がそっちへそれてしまいます。

 今回のゴジラは東京を破壊しますが,有楽町付近でゴジラに襲われた新幹線に乗っていた かまやつひろし氏(現 ムッシュかまやつ)が一瞬映るのには笑えます。それにしても,ゴジラが東京駅付近を暴れているのに,東京駅から新幹線を発車させるなよって思います。

 出演者は,田中健,沢口靖子,宅麻伸,夏木陽介,小林桂樹,内藤武敏,鈴木瑞穂,小沢栄太郎,加藤武,潮哲也,石坂浩二(以上,敬称略)など,なかなかの豪華メンバーでしたが,デビューした頃の沢口靖子さんって,ほんとダイコンでしたねー。(今でも?)

2.ゴジラVSビオランテ(1989年公開)
  監督:大森一樹
  出演:三田村邦彦,田中好子,高嶋政伸,峰岸徹,高橋幸治 ほか

 遺伝子工学の博士が,生命力の強いゴジラ細胞を使って,亡くなった娘の遺伝子と薔薇を融合させたところ,巨大な薔薇の怪物「ビオランテ」となって現われ,ゴジラと戦うという物語です。今回ゴジラが上陸するのは大阪で,1955年公開の「ゴジラの逆襲」以来ですが,さすがに40年経つと街の風景は大きく変わっています。

 映画はちょっと「前置き」が長すぎて,なかなか本題に入らなかったのがイマイチ。また,当時20代前半の高嶋政伸さんは,どう見てもタダの若造で迫力不足。とても自衛隊の指揮官には見えません。そして,例によって自衛隊は無力で,結局は超能力女性の念力頼みってところが,なんとも非科学的で情けない。

 それにしても,巨大な植物怪物「ビオランテ」はかなりキモイです。これを作ってしまった博士はとんでもない人だと思いますが,映画の中でなんで責められないのかが不思議です。ということで,あの大森一樹氏が監督ということで期待して見ましたが,ちょっと期待外れの作品でした。

3.ゴジラVSキングギドラ(1991年公開)
  監督:大森一樹
  出演:中川安奈,豊原功補,小高恵美,原田貴和子 ほか

 23世紀がゴジラによって壊滅的な打撃を受けたため,過去に遡ってゴジラを抹殺することを目的に,未来人が20世紀の日本にやってくるというストーリー。そして,さらに,戦時中の1944年のラゴス島へ移動し,ゴジラの元祖となる怪獣をベーリング海の海底へテレポーテーションするというもの。

 これにより,20世紀の時点で出現していたゴジラが急に消えるなど,タイムパラドックス的にかなり無理のあるストーリーだと感じました。結局ゴジラの抹殺には失敗するわけですが,海底へテレポーテーションするのではなく,最初から宇宙空間へ葬ってしまえばよかったのにと思います。というか,ゴジラの元祖の怪獣は明らかに爬虫類。そもそも海に沈めた時点で生きられないはずですよね。

 それにしても,23世紀の未来から来た宇宙船内のディスプレイがブラウン管だったのには笑えました。せめて液晶ディスプレイにして欲しかったところですが,たしかに,この映画が作られた1991年には,まだカラー液晶ディスプレイは普及してなかったですね。そして,もっと面白かったのが,「23世紀には日本はアメリカやソ連以上の巨大な経済大国になっている」という未来人のセリフ。たしかに,この映画のシナリオを作った時点ではソ連は崩壊していなかったわけですが,ソ連が崩壊したのが1991年12月26日。そしてこの映画が公開されたのが同年12月14日とほぼ同時。当然セリフの変更は間に合わなかったということですね。

4.ゴジラVSモスラ(1992年公開)
  監督:大河原孝夫
  出演:別所哲也,小林聡美,村田雄浩,米澤史織 ほか

 激しい嵐のシーンから始まるのは初代「モスラ対ゴジラ」(1964年公開)を彷彿させます。この映画のタイトルは「ゴジラVSモスラ」ですが,やはり「モスラ対ゴジラ」の方が,僕には聞き慣れていてしっくりします。「ゴジラVSモスラ」と呼ぶのは,四条河原町を「河原町四条」と呼ぶような違和感があります(と言っても,わかる人にしかわからんでしょうが)。

 これまでは,モスラが登場する映画といえば,タマゴから幼虫が生まれたり,幼虫がサナギ→成虫になったり,成虫が死んだりというパターンでしたが,この映画では,タマゴから幼虫が生まれ,さらにサナギになって成虫になるまですべてカバーされています。ちょっと盛りだくさんすぎです。というか,生まれてから成虫になるまでが短すぎです。繭を作り始めてから成虫になるまで一晩しかかかっていなかったみたいで,ありえないです。

 初期作品「モスラ」は東京タワーで繭を作りましたが,今回は国会議事堂です。モスラは東京がお好きなようですね。それにしても,モスラが繭を作るシーンは,小学生の時に見た,蚕が繭を作るシーンを思い出させてくれて,懐かしいです。でも,成虫になったモスラは蚕の成虫とは異なり,極彩色でしかも空を飛びます。要するに「巨大な蛾」というわけで,これ,けっこうキモイです。

 今回のモスラは,ゴジラと対等に戦えるように,ゴジラの熱線を反射できる光線を武器として持っています。ちょっと「蛾」を超越しすぎのような気がします。でもまあ,過去のモスラ関連の名曲がすべてこの映画の中で披露されたので,行き過ぎは許しましょう。

 なお,この映画では「バトラ」という怪獣も登場します。バトラは能登から上陸し,内陸へ向かって名古屋の町を破壊します。片やゴジラは,海底火山から地中のマントルの中を通って,噴火した富士山から陸上へ出てきます(ありえん!)。そして横浜方面へ向かい,横浜市内でモスラやバトラと対決します。横浜の有名な建物が破壊されるのも,なかなか見ものですよ。

 映画のラストでバトラは死にますが,20世紀最後に地球に大隕石が到来する予定で,これを破壊するのがバトラの使命とかで,この役目をモスラに託してバトラは絶命。そして,その使命を引き継いだモスラが飛び立ち,宇宙空間で羽ばたくモスラがラストシーンです。でも,空気のない宇宙空間で羽ばたいても飛べないと思いますよ,モスラさん・・・てか,蛾は空気のない宇宙空間では生きていられないんでは?

5.ゴジラVSメカゴジラ(1993年公開)
  監督:大河原孝夫
  出演:高嶋政宏,佐野量子,原田大二郎,小高恵美 ほか

 初代シリーズに続いて巨大ロボット「メカゴジラ」が登場し,ゴジラと戦います。ゴジラと戦わせるのが目的なら,何もゴジラと同じ二足歩行にする必要はないと思うし,操作の安全性を考えたら,わざわざメカゴジラの中に操作する人を入れずに遠隔操作すればいいのにと思いました。

 メカゴジラの性能はかなり向上したものの,結局は自衛隊の戦車や戦闘機の登場が必要になるというのには笑えます。そして,高嶋親子の競演というのも,なんだかわざとらしくて笑えました。

 この映画でショックだったのは,僕の故郷である京都の町がゴジラに破壊されたこと。京都は戦災も免れたし,これまでゴジラにも破壊されていません。今回,京都の有名な建造物がゴジラに初めて破壊されたのはちょっとショックです。どうせなら「京都の恥」と言われる京都タワーを破壊して欲しかったですね(笑)

 そして,決戦の部隊は千葉県の幕張。ここでは,僕の大好きな千葉マリンスタジアムまで破壊されてしまいます。う~~ん,これもショック。

6.ゴジラVSスペースゴジラ(1994年公開)
  監督:山下賢章
  出演:小高恵美,橋爪淳,米山善吉,柄本明 ほか

 ゴジラを倒して地球を破壊するために,宇宙に運ばれたゴジラ細胞から誕生した怪獣「スペースゴジラ」が今回のゴジラのお相手。このスペースゴジラは,いったい誰が何のために地球へ送り込んだのかが,結局はっきりわかりませんでした。

 そして,人類側の作戦は,「Tプロジェクト」と呼ばれ,超能力者によるテレパシーでゴジラを操るというもの。国家プロジェクトにもかかわらず超能力者頼みってところが相変わらず笑えます。そして,MOGERA(Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type の略らしい)という対ゴジラ戦闘機も活躍します。

 今回のゴジラは九州に上陸し,鹿児島→熊本→別府→大分→福岡のルートで九州を縦断し,福岡でスペースゴジラと対決します。僕が出張でよく行った見慣れた九州各地の風景が破壊されたのは,なかなかショックです。

7.ゴジラVSデストロイア(1995年公開)
  監督:大河原孝夫
  出演:林泰文,辰巳琢郎,石野陽子,河内桃子 ほか

 今回のゴジラは,ゴジラの体内の核分裂が激しくなり,ゴジラ自身がメルトダウンを起こしそうになるという設定。目が赤く光り,カラダも赤く燃えるゴジラは不気味でちょっと怖いです。

 羽田でゴジラが暴れるシーンは,なかなか見ごたえありますが,デストロイアと戦わせてゴジラを退治しようとしていたのに,ラストでは逃げようとするデストロイアを人間が攻撃するなど,人間のやることは支離滅裂です。

 そして,「ゴジラのメルトダウンで地球は崩壊!」と言っていたのに,結局はメルトダウンしたものの冷凍弾で地球は救われるという結末。わけわかりません。

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コメント

ゴジラ世代ではありませんが、本編、続編と読ませて頂いて大笑いしてしまいました(笑)すさまじく昭和の特撮っぽく、荒唐無稽なストーリーなのですね。90年代になってもその路線は基本変わらないようで、ゴジラが見てみたくなりました。
“Godzilla”と英語で発音されたのを聞いた時、関西弁の「ゴジラ」と同じアクセントになるのを発見した時は、ちょっとうれしくなったものでした。(関西弁の「ゴジラ」って、「ジ」に変なアクセントが来ますよね、笑)

投稿: kate* | 2009年1月26日 (月) 00時20分

 新シリーズのゴジラ,ぜひご覧下さい。昭和の香りを引きずっていて,けっこうバカバカしくて面白いですよ。オススメは,kate*さんに馴染み深い土地が破壊される2作品でしょうか(?)
 正しい綴りは“Godzilla”なんですね(本文訂正しました)。たしかに,関西では「ジ」にアクセントがあったのを思い出しました。懐かしいです。

投稿: かば | 2009年1月26日 (月) 21時38分

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