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2008年12月17日 (水)

初代ゴジラ

 CSの「日本映画専門チャンネル」で,ゴジラ映画が10月から順次ハイビジョン放映されています。僕の少年時代は,自宅から徒歩1分の場所に名画座があり,僕はこの映画館でゴジラ映画を見て育ちました。ゴジラシリーズは僕にとって映画の原体験とも言える作品です。子どもにとって,町のミニチュアを破壊するゴジラって,めっちゃ気持ちよさそうで,ゴジラがすごく羨ましかったものです。ゴジラのぬいぐるみを着て町のミニチュアを破壊するのが,当時の僕の夢でした。

 ということで,まずは1954年から1975年にかけて公開された初代の全15作品をCSで見直しました。といっても,この15作品のうち半分以上は今回初めて見た作品ですが。

 全作品を通して見てみると,年とともに作品の質があまりにも激しく変化してきたことに驚かされます。第1作の「ゴジラ」をはじめ,初期の作品は大人が見ても十分耐えられる良質の作品でしたが,後期の作品は対象年齢の低下とともに作品の質が大きく低下しているのが歴然です。作品の質的低下は,リアルタイムで見た子どもの時にも感じていました。制作コストが下げられていったのだと思いますが,子どもの目にも「子供だまし」とわかるようなレベル低下をなんで大人が許していったのか,まったく不思議なものです。

 また,初期作品のゴジラは動きが鈍くて荘厳に見えましたが,後期作品のゴジラはぬいぐるみの素材が進化して動きが柔らかくなった分,明らかに人が入っているのがわかるような軽快な動きになり,ウルトラマン化していったのがよくわかります。

 自分用の覚え書きも兼ねて,全作品のリストと簡単な感想を記しておきます。なお,映画に点数をつけるのはあまり好きではありませんが,作品レベルの比較のため,独断と偏見であえて各作品に点数をつけてみました(10点満点で)。【以下ネタバレあり】

1.ゴジラ(1954年公開)=8点
  監督:本多猪四郎
  出演:志村喬,河内桃子,宝田明,平田昭彦 ほか

 ゴジラシリーズの記念すべき第1回作品で,海底で生きていたゴジラが水爆実験で住処を追い出されたという設定です。水爆実験への警鐘というマジメなテーマで作られた映画といえます。

 ゴジラが走行中の列車を襲撃するのはアメリカ映画「キングコング」でもおなじみのシーンですが,なかなかリアルで怖いです。画面が全体的に暗いのが不気味だし,肝心のゴジラがなかなか出てこない「じらし感」もよくできています。

 何よりも,しっかりした俳優陣が起用されており,普通の大人用映画の作り方の延長でゴジラ映画を作ったという点に好感が持てます。

2.ゴジラの逆襲(1955年公開)=7点
  監督:小田基義
  出演:小泉博,若山セツ子,笠間雪雄,千秋実 ほか

 第1作の舞台が東京であったのに対し,この第2作の舞台は大阪。アンギラスという怪獣が現われて大阪城公園などでゴジラと決闘します。この第2作以降,ゴジラの対戦相手に必ず別の怪獣が登場しますが,やはりゴジラ単体の登場ではストーリー展開が苦しかったということなんでしょう。でも,この映画のストーリー性は低く,あまり印象に残らない映画と言えます。

 アンギラスの戦い方は,「噛みつき」などの素朴な動物本能的攻撃である点に好感が持てます。後期の作品に出てくる怪獣は,投げ飛ばすなど技が主体となり,プロレスをやっているみたいで笑えます。

3.キングコング対ゴジラ(1962年公開)=7点
  監督:本多猪四郎
  出演:高島忠夫 ,浜美枝,佐原健二,藤木悠 ほか

 南海の孤島で捕獲されたキングコングがゴジラと対戦。主な対戦場所は富士山です。アメリカ映画のキングコングを拝借して日米対決させたアイデアは面白いですが,日本産のゴジラはこの映画では悪役です。地下鉄丸ノ内線でキングコングが女性を捕獲するシーンはアメリカ映画のパクリで笑えます。

 映画の中で,今は使われなくなった「土人」なんていうことばが平気で使われている点が時代を感じさせます。ちなみに,今のパソコンでは「どじん」と入力しても「土人」には変換されませんね。

4.モスラ対ゴジラ(1964年公開)=8点
  監督:本多猪四郎
  出演:宝田明 ,星由里子,小泉博,ザ・ピーナッツ ほか

 ゴジラシリーズの中で僕が一番好きな作品。この作品だけはほとんどのセリフを覚えるくらい何度も見ていますが,何度見ても飽きません。ゴジラが暴れる舞台は四日市から名古屋近辺。

 台風のシーンから始まって巨大タマゴが出現するというミステリアスな展開にはわくわくします。そして,干拓地からのゴジラ出現シーンも圧巻です。また,この巨大タマゴをめぐって,レジャーランド興業会社がタマゴを買い占めたり地元の実力者が暗躍したりと,ストーリーに必然性があってリアルです。大人が見るに十分耐えられる映画でしょう。

 今回のゴジラの対戦相手はモスラで,モスラがゴジラを退治するストーリーですが,武器をほとんど持たないモスラ(武器と呼べるのは,成虫が羽ばたいたときの強風と,成虫が死ぬ直前の黄色い粉と,幼虫がはき出す糸だけ)がゴジラをやっつけるというのは,やはりちょっと無理があります。

 ところで,ザ・ピーナッツが歌う「モスラ」という意味不明の歌(モスラ~ヤ,モスラ~・・・)は,なかなかの名曲だと思いますが,どこかの現地語で,きちんとした意味があるそうです。ちなみに,僕はこの歌が暗譜で歌えますよ♪

 それにしても,ゴジラを感電死させる作戦が成功しかけていたのに,規定以上に電圧を上げたためにケーブルが焼け切れて失敗してしまうというオマヌケな自衛隊には笑えます。

5.三大怪獣 地球最大の決戦(1964年公開)=5点
  監督:本多猪四郎
  出演:夏木陽介 ,小泉博,星由里子,若林映子 ほか

 金星を滅亡させたとされるキングギドラが地球を襲い,ゴジラ・ラドン・モスラが協力して地球を守るというストーリー。モスラがゴジラとラドンを説得してキングギドラと対決するという貧弱な発想と,モスラの説得に安易に同調してしまう人間的なゴジラとラドンには笑えます。

 この映画では,地球に落ちた隕石らしき物体からキングギドラが誕生するシーンが有名です。このシーンは圧巻で,子どもの時に見た強烈な印象が今でも忘れられません。また,キングギドラが発する電子音のような「ピリリリ」って音が不気味で,なかなか好きです。

 どういうわけか日本語を話すセルシア国の王女の暗殺計画が並行して進むため,ストーリーに厚みがあると言えますが,ゴジラシリーズの中では,この映画がぎりぎり「大人が見るに耐えうる映画」の最後だったような気がします。この映画でゴジラが人間の味方についてしまってから,それ以降のゴジラ映画の作品の質が著しく低下していったのは皮肉なことです。

6.怪獣大戦争(1965年公開)=4点
  監督:本多猪四郎
  出演:宝田明,ニック・アダムス,田崎潤,沢井桂子 ほか

 木星に13番目の衛星「X星」が発見されたが,X星人はキングギドラの脅威にさらされており,X星人はキングギドラ撃退のために「ガン特効薬」と引換えに地球からゴジラとラドンを借りたいと申し出。ところが,X星人はキングギドラを含めた三体の怪獣を使って地球征服に乗り出すというストーリー。

 このX星人は,怪獣を自由に操ることができたり,当時は不治の病とされていたガン特効薬を発明したりするなど,地球人よりも遙かに進んだ技術力を持っているようです。だったら,こんな回りくどいことをしなくても,もっと簡単に地球を征服できると思うし,そもそもキングギドラぐらい簡単に退治できたのでは? と突っ込みたくなりました。

 この映画ではゴジラの「シェー」のシーンが有名だったそうですが,手の長さが足りなくて全然「シェー」になってなかった。ゴジラにそんなことさせるなよって!

7.ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘(1966年公開)=5点
  監督:福田純
  出演:宝田明,渡辺徹,伊吹徹,水野久美 ほか

 四人の男を乗せたヨットが漂流し,南海の孤島に漂着。そこは核兵器の秘密基地になっていて,この島で眠っていたゴジラが目覚めて秘密基地を破壊するというストーリー。今回のゴジラの相手はエビラという巨大な伊勢エビ。成虫になったモスラは,この秘密基地に捕えられていたインファント島の島民を救出するために登場し,ゴジラとはほとんど戦いません。

 これまで日本に実在する有名な建造物を数多く破壊してきたゴジラですが,この作品以降は,そういうシーンが少なくなり,ちょっと寂しくなりました。

8.怪獣島の決戦 ゴジラの息子(1967年公開)=3点
  監督:福田純
  出演:高島忠夫,久保明 ,前田美波里,平田昭彦 ほか

 「ミニラ」ことゴジラの息子が誕生し,親ゴジラがミニラを鍛えていくという物語。この作品以降,ゴジラシリーズは完全に「小さいお子さま向け」の映画になってしまいました。ゴジラの顔も,この作品あたりからひょうきんなヘンな顔に変わってしまい,全然怖くありません。

9.怪獣総進撃(1968年公開)=3点
  監督:本多猪四郎
  出演:久保明,田崎潤,アンドリュウ・ヒューズ,小林夕岐子 ほか

 地球を狙うキラアク星人がキングギドラをあやつり,ゴジラなどの怪獣がキングギドラと戦うために日本に集結。過去に登場した怪獣11匹が勢揃いするという作品。

 この作品は未来社会が舞台になり,ストーリーは急にSF化しています。リアル社会を舞台にするにはゴジラシリーズもネタ切れになってきたということでしょうか。

 あのSF映画の傑作「2001年宇宙の旅」が作られたのが1968年。それ以降に作られた日本映画がこれ。レベルの違いすぎに唖然とします。まあ,制作費が格段に違うので,しかたないですが。

10.ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃(1969年公開)=3点
  監督:本多猪四郎
  出演:矢崎知紀,佐原健二,中真知子,天本英世 ほか

 すべてが夢の中の出来事という設定。子どもが主役になった,ただの子ども向けドラマです。

 それにしても,初期作品が一流俳優を起用していたのに対し,このあたりからだんだん無名俳優が主役に。いかに制作費をかけていないかがわかります。

11.ゴジラ対ヘドラ(1971年公開)=2点
  監督:坂野義光
  出演:山内明,木村俊恵,川瀬裕之,柴本俊夫 ほか

 ヘドロの海から生まれた怪獣「ヘドラ」がゴジラの対戦相手。公害が社会問題となっていた時代を反映した作品ということなんでしょうか。ゴジラが火を噴きながら,その噴射力で空を飛ぶシーンには笑えます。空を飛ぶなんてありえないし,ゴジラに似合わないです。

12.地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン(1972年公開)=2点
  監督:福田純
  出演:石川博,高島稔,梅田智子,村井国夫 ほか

 地球制服をたくらむ異星人が宇宙怪獣ガイガンとキングギドラを地球に呼び寄せ,ゴジラとアンギラスが地球を救うために戦うというストーリー。

 ストーリーはますます貧弱になっています。ゴジラが「おいアンギラス」みたいなセリフをマンガの「吹き出し」で言うのには笑えます。それにしても,お腹に電動のこぎりを持ったガイガンという宇宙怪獣は,動物らしさがなくてキモイです。完全にウルトラマンの世界。

13.ゴジラ対メガロ(1973年公開)=3点
  監督:福田純
  出演:佐々木勝彦,川瀬裕之,林ゆたか,ロバート・ダンファム ほか

 人類の核実験に脅威を感じた海底人が宇宙怪獣ガイガンを呼び寄せ,人造ロボットとゴジラがこれに応戦して地球を守るというストーリー。

 ダムが決壊するシーンはなかなかのもので,セットの破壊シーンも多く,前の2作品よりは多少制作費をかけているように感じました。それにしても,怪獣どうしの殴り合いは,プロレスのようで相変わらず笑えます。

14.ゴジラ対メカゴジラ(1974年公開)=3点
  監督:福田純
  出演:大門正明,青山一也,田島令子,平田昭彦 ほか

 地球侵略を企む宇宙人が造ったメカゴジラとゴジラが戦います。ゴジラシリーズでおなじみの平田昭彦さんが再登場。ストーリーも多少厚みが出て持ち直した感があります。ゴジラの目が少し大きくなって可愛く(?)なったような。

15.メカゴジラの逆襲(1975年公開)=3点
  監督:本多猪四郎
  出演:平田昭彦,藍とも子,内田勝正,佐々木勝彦

 初代ゴジラシリーズの最終作品。ブラックホール第三惑星人がメカゴジラをよみがえらせてゴジラと対戦します。といっても,メカゴジラは最後の方にちょっと出るだけで,タツノオトシゴのようなチタノザウルスの方がメインです。タイトルは「ゴジラ対チタノザウルス」の方が適切かも。

 ということで,全15作品を見ましたが,後期の作品ははっきり言って見るのが苦痛でした。これはもう二度と見ないでしょう。でもまた,1984年以降に制作された第2期の復活ゴジラシリーズも引き続きCSで放映中。やっぱり見ずにはいられません。

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コメント

初めまして。
ゴジラ映画は初期の頃を始め、どのシリーズもそれぞれの味わいがあり楽しめると思います。敵怪獣の魅力で楽しめるといえば、キングギドラ初登場の「三大怪獣 地球最大の決戦」ですが、後期の作品ではやはり「ゴジラ対メカゴジラ」ですね。

一番最初のメカゴジラは、その登場の仕方にインパクトがありましたね。初めはゴジラそっくりに偽装していて、本物のゴジラの前で正体を現した時のカッコ良さは東宝怪獣映画史上に残るものだと思います。落雷のエネルギーを受け必殺技を開発しているゴジラが、スポ根の主人公みたいで熱血してましたが、キングシーサーとアンギラスにはもう少し頑張って欲しかった(汗)。

考えてみると、メカゴジラはどれも女性が関係してますね。桂さんと繋がる事で、彼女の頭脳を得たメカゴジラⅡ。未希ちゃんが乗り込む事で、彼女の超能力を得たGフォースメカゴジラ。そして、家城茜隊員の操縦する機龍。
最初のメカゴジラの時には、豪華にもヒロインが3人。主役格のヒロインを田島令子さんが演じてましたが、何故か出番は多いのに主だった活躍が殆ど無く、むしろ出番の少ない博士のお嬢さんの方が、正体を現したメカゴジラと遭遇したり、囚われの身となったりと目立った活躍をしているので、幼少時に見た時、私は博士のお嬢さんの方が主役格だと思っていました。
大きくなってから再び見た時キャスティングを見ると、私から見て影の薄かった田島さんが主役格で、キングシーサーを目覚めさせる為だけに活躍したこれまた影の薄い沖縄の人が2番手。博士のお嬢さんは最後に名前が並んでいたので、不思議な気持ちになったものです。

投稿: A-chan | 2010年11月28日 (日) 13時07分

 こんにちは。はじめまして。
 この初代作品の他に,1984年から1995年にかけて公開されて第2期の作品と1999年から2004年にかけて公開された最後のシリーズのすべてを見ましたが(このブログにも全作品の感想を載せています),僕はやはり初代シリーズの前半の作品が懐かしくて好きです。
 どのシリーズでも,後半になると必ずメカゴジラが出てきますよね。メカゴジラって,ゴジラシリーズのネタ切れの救世主なのかも(笑)

投稿: かば | 2010年11月28日 (日) 23時49分

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