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2008年11月 2日 (日)

航空幕僚長を更迭

 航空自衛隊の航空幕僚長が,日本の侵略行為を否定する論文をアパグループ主催の「真の近現代史観」懸賞論文に投稿していた問題で,政府はこの航空幕僚長の更迭を決定。すでに報じられているとおりですが,この論文「日本は侵略国家であったのか」の要旨は次の通り。(asahi.comより転載)

 日本は朝鮮半島や中国大陸に一方的に軍を進めたことはない。日清戦争,日露戦争などによって国際法上合法的に中国大陸に権益を得て,これを守るために軍を配置した。
 我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者だ。
 日本政府と日本軍の努力で(満州や朝鮮半島の)現地の人々は圧政から解放され,生活水準も格段に向上した。
 日本はルーズベルトの仕掛けたわなにはまり真珠湾攻撃を決行した。
 大東亜戦争後,多くのアジア,アフリカ諸国が白人国家の支配から解放された。日露戦争,大東亜戦争を戦った日本の力によるものだ。
 東京裁判は戦争責任をすべて日本に押しつけようとした。そのマインドコントロールが今なお日本人を惑わせている。自衛隊は領域の警備もできない,集団的自衛権も行使できない,武器の使用も制約が多い,攻撃的兵器の保有も禁止されている。がんじがらめで身動きできない。このマインドコントロールから解放されない限り,我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。
 多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識する必要がある。我が国が侵略国家だったなどというのはぬれぎぬである。

 う~~ん,凄い考えです。どういう歴史観を持つのも個人の自由ですが,明らかに事実と異なる内容が多々あります。いまだにこういう考えを持っている人がいるのには驚きですが,この懸賞論文を最優秀賞に選んだアパグループも凄い。一連の耐震偽装問題で話題となるだけの企業はさすがに違います。

 この問題は,たまたまこの論文が最優秀賞に選ばれたために発覚したということで,もし選ばれなかったら何の騒ぎにもならなかったということでしょう。その意味では,この航空幕僚長は運が悪かったと言えるのかも知れません。

 現役の自衛隊幹部にこういう考えを持っている人がいるのはちょっと怖いですが,ただ,それはそれとして,国家公務員全員が政府見解と同じ考えを持っているということはありえないわけで,どういう歴史観を持つかは各個人の自由でしょう。想像するに,この航空幕僚長と同じ考えを持っている役人や政治家は少なからずいると思えるし,「よくぞ発表してくれた」と拍手喝采している人が,自民党議員を中心に一定数はいると思います。

 この航空幕僚長の論文は,もし肩書きを一切出さずに純粋に個人名で投稿したのなら何も問題にならなかったのかなと思います。公務員といっても一人の人間であり,思想信条の自由や言論の自由はあり,かつての戦争を正当化する論文を出すのも,日の丸・君が代に反対するのも,「日教組をぶっ壊せ」と考えるのも,個人の自由だと僕は思っています。ただし,公私を適切にわきまえて,公人としての発言なのか個人的見解なのかは明確にして行動することが重要だと思いますが。

 ちなみに,この論文の問題は,報道されている限りでは,規律違反などの問題があるわけではなくて,単に「政府見解と異なる意見を公にすることは空幕長として不適切」とされているだけです。このため,更迭といっても単なる人事異動で,懲戒などの処分は一切ないみたいです。

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