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2008年11月 9日 (日)

外見で判断

 11月8日付の朝日新聞のコラム「天声人語」より↓

 就職を望む人が,履歴書を書いて先方に送るのは日本もアメリカも変わらない。だが違うこともある。米国ではふつう,顔写真を張る必要はない。肌の色などによる書類審査の差別を防ぐためだ。
 それで差別はなくなったのかと,シカゴ大学の教授らが数年前に「実験」をした。求人広告を出したいくつかの企業に,目的を伏せて3,700通の架空の履歴書を送った。返事が戻ると,案じた通りだった。
 白人に多いとされる名前(たとえばエミリー)で送った履歴書には面接の通知が多かった。黒人につけられがちな名前(たとえばラトーヤ)には少なかった。1.5倍の差がついたそうだ。平等をうたう奥に,なお根強い差別がひそむ一例だろう
 (以下略)

 これは,次期大統領選挙で黒人のオバマ氏が勝ったことに関するコラムの前段の部分です。アメリカでは履歴書に顔写真を貼らないことで差別を防止しているというのには感心しましたが,この「実験結果」でわかるように,採用する側のホンネとしては,やはり有色人種を排除したいということなんでしょう。ということは,もし「オバマ」という苗字で履歴書を送付したら,黒人というより日本人だと思われて排除されたりするのかも知れませんね。

 で,僕がこのコラムを読んで気になったのは,アメリカ大統領選のことではなく,神奈川県立高校の入試で,試験の成績が合格基準に達していながら「態度が悪い」「つめが長い」「スカートが短い」「服装がだらしない」「髪染めの跡」「ピアス」などの理由で計22人が不合格とされていた問題。この問題で,県教委は「不正な選考だった」として不合格になった希望者に対して入学や編入などの対応を検討するとともに,校長を異動させるなど関係者の処分も検討していると報じられていました。

 公立高校の入試は基本的に筆記試験のみで,服装や態度などは不問というのが大原則のようです。そうしないと客観性・公平性に問題が出て,不正が入り込む余地があるということなのでしょう。でも,学校側としては,成績の多少の良し悪しよりも「外見がきちんとしている生徒」を受け入れたいというのがホンネなんですね。このため,世間にはこの高校のやったことを支持する声も多いようです。

 一方,私立高校の場合,筆記試験だけでなく面接試験があるのが普通で,面接試験時や筆記試験時に服装や態度などをチェックしているのかと思いますが,面接試験というのは選考基準が曖昧で,合否結果の明朗性については大いに疑問です。

 就職に関しても同じ。公務員の場合は筆記試験の点数だけで決まるのが大原則で,このために「口利きによる点数かさ上げ」のような不正があったりするのかと思いますが,そのような不正は論外として,筆記試験の点数で決まるということは外見や性別で差別されないという意味での公平性が保たれているのかと思います。それに対して,民間企業の就職試験での採用基準というのはホント不明朗です。仮に顔やスタイルなどの外見で判断されたり,性別による差別をされたりしても一切わからないし,そもそも選考基準が公開されていないのでまったく信用できません。

 話を神奈川県の高校に戻して,学校側が「外見」で判断したい気持ちは痛いほどわかりますが,やはり選考基準として公開されていなかった基準を入れるというのはフェアじゃないでしょう。それに,人間の外見に関してどう感じるかは人それぞれであり,客観性に疑問が残ります。たとえば「女性のピアスぐらい,いいじゃん」って僕は思います。また,時代によっても変わるものでしょう。今の教師の感覚が必ずしも正しいとは限りません。

 ということで,外見で判断したいのなら,事前に選考基準を明確にして公表しておくべきだったと思います。そして,採点結果もきちんと受験者に通知するべきでしょう。この問題に限らず,高校入試でも大学入試でも,高額の受験料を取っておきながら,採点結果すら本人に通知しないという現状には憤りを感じます。

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