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2008年8月29日 (金)

国民栄誉賞

 北京オリンピックが閉幕したのを受けて,政府は競泳の100m・200m平泳ぎで2大会連続金メダルを獲得した北島康介選手に国民栄誉賞を授与するかどうかの検討に入ったとか。

 国民栄誉賞は「広く国民に敬愛され,社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった方に対して,その栄誉を讃えることを目的とする」とのことですが,具体的な選考基準が何もないため,授与のたびに,それが妥当かどうかをめぐって賛否両論渦巻くのが「お約束」のようになっています。今回もやはり「なんで北島選手だけ?」みたいな議論が出ているようです。ちなみに,アテネオリンピックの時に,当時の小泉首相が「金メダル獲得者全員に国民栄誉賞を」という提案を政府内でしたものの,総スカンを食って撤回し,結局アテネオリンピック関連では国民栄誉賞受賞者は出なかったらしい。今思えば,小泉元首相のこの提案の方が今よりはるかに受賞基準が明確だったように感じます。

 この賞は,福田赳夫内閣時代の1977年8月に創設された賞ですが,創設時にはっきりした受賞基準を設けなかったのは失敗でしょう。第1号受賞はプロ野球の王貞治選手で,受賞理由は「ホームラン世界新記録達成(756号本塁打)」とされていますが,なんだかとってつけたような賞を新設したものだと,当時感じたものです。そもそも,当時の日本の狭い野球場で打った本塁打数はあくまで「日本一」。これを「世界一」と胸を張るのは日本人として超恥ずかしかったです。王選手自身も「大リーグだったらこんなには打てなかった」と発言されていた記憶があります。

 その後の受賞者は,古賀政男・長谷川一夫・植村直己・山下泰裕・衣笠祥雄・美空ひばり・千代の富士・藤山一郎・長谷川町子・服部良一・渥美清・吉田正・黒澤明・高橋尚子 という顔ぶれ(以上,敬称略)。なんだか支離滅裂な感じがします。

 ちなみに,国民栄誉賞の受賞を打診されて辞退した人も何人かいて,有名なところではイチロー選手が過去に3回辞退しているそうです。さすがにイチロー選手はただ者ではないと感じます。また,阪急ブレーブス(当時)の福本豊選手は,1983年に「世界記録」となる通算939盗塁を達成した際,国民栄誉賞の授与を打診されたものの,「そんなんもろたら立ちションもでけへんようになる」と辞退したとか(Wikiより)。さすがに生粋の大阪人の福本選手,ナイスなコメントです。

 ところで,この賞に限らず,「なんとか賞」というのは,会社内で社長が従業員を表彰したり,ある大会の主催者が参加者を表彰したりするように,力関係が上の者から下の者に対して授与するのが基本ですよね。たとえ総理大臣でも,国家事業とは無関係の民間人とは上下関係は無いはず。にもかかわらず,民間人に対して国民栄誉賞を授与する総理大臣って「いったい何様?」と思います。素直じゃなくて,すみません。

 過去の関連記事:
  表彰状(2006年1月18日)
  日米通算記録(2007年8月16日)

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