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2008年8月10日 (日)

松本サリン事件

 1994年に長野県松本市で猛毒のサリンが散布され,死者7人・重軽傷者660人を出した「松本サリン事件」の被害者の河野澄子さんが死亡したというニュースがありました(これにより死者は計8人)。この事件は,オウム真理教(当時)の立ち退きをめぐる裁判がオウム側に不利になったため,裁判を担当する判事の殺害をオウム真理教が計画したものとされていますが,当初は,事件の第一通報者である夫の河野義行氏が「重要参考人」として警察の取り調べを受けたために,河野氏を犯罪者扱いした報道がなされ,事件報道のあり方に対して何かと問題になった事件です。

 当時,ちょうどニュースステーション(テレビ朝日)の生放送中にこのニュースが入り,その夜のうちに「第一通報者の会社員を事情聴取」「会社員宅から薬品を押収」といったニュースが流れたことなどを,僕はよく覚えています。そして後日,取り調べ後の河野氏が無実であることを訴える記者会見を実施した時,ある番組の女性キャスターが「手際よく弁護士同伴で記者会見なんて,無実だったら普通はやらないですよね~」みたいなコメントをしていたことも記憶にあります。

 今回,河野澄子さん死亡のニュースを伝えたマスコミは,必ずと言っていいほど当時の報道に対する反省を述べていました。「警察発表を鵜呑みにしてそのまま犯罪者扱いの報道をした」と。

 警察の発表内容を,「警察発表という事実」としてメディアがそのまま報道することはなんら問題ないと思いますが,マスコミの推測・憶測によって真犯人扱いするなんて,許されるものではないでしょう。逮捕された「容疑者」ならまだしも,河野氏の場合は逮捕状すら発行されていない「重要参考人」。この段階での過熱報道は異常でした。

 この「重要参考人」という呼称は,逮捕状が発行できる段階ではないのに多くの人に犯人であるという印象を植え付けるという,警察にとって非常に都合のいい呼称だと思いますが,それにしても,この事件で多くのメディアは「反省」を口にしていますが,僕には,その後のメディアの事件報道姿勢に変化があったようには全然見えません。

 過去の関連記事:実名報道の疑問(2005年11月27日)

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