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2008年7月31日 (木)

クライマーズ・ハイ

 今日も映画の感想を。この7月に公開された映画「クライマーズ・ハイ」(監督:原田眞人,主演:堤真一)です。映画のストーリーは,群馬県のある地方新聞社が,1985年の日航機墜落事故をめぐる熾烈な報道合戦を繰り広げるというもの。

 23年前の日航機墜落事故が起こった日,僕はちょうど研修で東京へ出張していましたが,事故のニュースでホテルのテレビに釘付けになったり,翌日生存者が救出される生中継を見たり,僕と同じグループ会社の人がこの事故で死亡したことを後で知ったり,当時の僕にとっては衝撃的で,今でも忘れられない思い出です。

 ということで,この映画で事故をどのように扱っているのかに興味がありましたが,この映画は,日航機墜落事故がテーマというよりは,むしろ,新聞社の内外で起こる熾烈な報道合戦を描くことがテーマで,たまたま報道対象に日航機事故が選ばれただけのように見えました。

 舞台となった1985年というのは,ポケベルこそあったものの,携帯電話なんかもちろんない時代で,FAXもまだ普及していなかった。墜落現場の群馬県の山奥へ取材に行っても,本社へ記事原稿を送る手段がなく,一般家庭に頼み込んで電話を借りて口頭で原稿を送るという,今では考えられないような取材方法。当時の記者は本当に大変だったと思います。

 この映画で面白かったのは,いかにして新聞が作られていくかというところ。なんとかしてスクープ記事を載せようと,原稿の締切り時間をギリギリまで延ばそうとする社内での駆け引きと衝突。他部署の人間と取っ組み合いのケンカをしたり,上司に対して罵声を浴びせたり,まるで血の気の多いヤクザ集団です。ドラマだからなのか,新聞社はどこでもこれが普通なのかは知りませんが,カタギの世界に生きるサラリーマンにとってはまったくの「ありえない世界」で一般人の理解を超越した職場です。そういう意味で,これらの「ありえない」シーンはなかなか面白かったです。でも僕だったら,こんなハイテンションで疲れる職場は絶対イヤですね。どうせ仕事するなら,静かで雰囲気のいい,明るい職場の方が絶対いいです。

 それにしても,新聞社って,なんでスクープするのにこんなに必死になるんでしょう。このあたりが一般人にはなかなか理解できません。他社よりちょっと早く記事を出したからといっても,読者がニュースを知るスピードというのは,どのみちテレビ・ラジオやネットにはかなわない(この時代にはネットはなかったですが)。読者にとっては他紙の後追い記事でも別に構わないと思いますよ。そもそも普通の読者は,スクープに成功したからといってその新聞を評価して購読する新聞を変えようとは思わないでしょう。読者が新聞に期待しているのは,記事の正確さとか低価格化とかではないでしょうか。読者の思いと記者の目指すところは相当乖離しているように感じます。

 ちなみに僕の場合,惰性で朝日新聞を購読していますが,その理由はスクープ記事の多い少ないとは全然関係ありません。単にY新聞がイヤなので,しかたなく朝日を購読しているようなものです。Y新聞は,会長の特異なキャラが嫌いだし,新聞の中身よりも「世界一の印刷部数」を自慢するのもなんだか許せないし,何よりも「政府のすることに対しては基本的に批判しない」みたいな体質にも付いていけません。

 話が脱線しましたが,映画の感想としては,実際に起こった飛行機事故を題材にしているだけに,リアルな緊迫感が随所に感じられ,この点はなかなかよくできた映画だと思います。ただ,23年前の出来事を回想しながら登山するという映画の展開はイマイチ。この登山シーンはちょっと余計かなという気がしました。

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