« クラスター爆弾 | トップページ | もったいない »

2008年5月31日 (土)

効果は疑問

 ちょっと前の記事にも書きましたが,サマータイム制の導入は,健康面への不安やシステム整備などによる社会への影響が大きく,こんなの絶対やめてほしいし,国会議員の過半数が賛成するとはとても思えず,ほぼ実施されることはないだろうと思っていたんですが,福田首相が「やっていない日本が異例で,我が国も制度を入れるべき。特に環境の問題があり,やってもいいのではないか」などとコメント。民主党の幹部も「今国会の成立をめざす」と語っているそうで,にわかに雲行きが怪しくなり,実施される可能性が高くなってきたみたいです。それにしても,一国の総理大臣が「他国がやっているから」という幼稚な発言をするのはホント情けない。ちなみに,中国・韓国・インドなどのアジア諸国では,ほとんど実施されていませんよ。

 それにしても,まだまだ寒い3月下旬にサマータイムに切り換えるなんてとんでもない。僕の個人的希望としては,むしろ,寒くて朝が起きられない冬季にこそ,時刻を1時間遅らせる「逆サマータイム」を導入して欲しいぐらいの勢い。時刻を早めるというのは,会社や学校単位にやりたい人だけが勝手にやって欲しいと思います。

 ところで,このサマータイム制の効果は「日中の明るい時間を有効活用し,エネルギー消費量を抑える」と言われていますが,本当に省エネ効果はあるんでしょうか。まず空調(冷暖房)に関しては,1日の長さと人間の活動時間が変わらない限りはサマータイムを導入しても変わらないような気がします。逆に,冷房によるエネルギー消費が増えるような気もしますが,よくわかりません。

 導入期間が「6月から9月」とかではなく「3月下旬から10月下旬」とされていることからもわかるように,省エネ効果が期待されているのは空調ではなく,主として照明に関してだと思います。電力消費の大半が照明用だった大昔ならともかく,今や照明の使用がどれだけエネルギー消費に影響を与えているのかは不明ですが,それ以前に,サマータイムで照明の使用量が本当に減るんでしょうか。

 交通機関に関して言えば,自動車やバスなどの照明は,点灯しようと消灯しようと燃料消費量にはほとんど影響ないし,電車のヘッドライトは昼間でも点灯しているので関係ありません。電車の車内の照明が少し節約できるぐらいか。高速道路や街灯などの照明は,元々暗い時間帯しか点灯していないので,時刻がずれようと全然関係ないでしょう。暗くなってから点灯して深夜に消灯するような店舗の看板などの照明量は減ると思いますが,店舗の中やオフィスの照明は,外が明るくても暗くても,営業中はほとんど照明をつけているので関係ないと思います。家庭の照明も同じようなものだと思いますが,明るいうちに帰宅できて,かつ日当たりのいい恵まれた家の照明使用量はたしかに減るでしょう。いずれにしても,照明の使用量が減るのは全体から見ればわずかと思えるので,サマータイム導入によるエネルギー節約効果は疑問です。

 ということで,サマータイム切り換え直前と直後の1日のエネルギー消費量が本当に減るのか,諸外国の実績データを検証するなり,国内で導入実験をするなりして,きちんとした根拠を示して欲しい気がします。なお,これに反対している人の中には,反対理由の一つに「明るい時間が長くなって残業が増える」みたいなことを言う人もいますが,まさか今どき,時計でなく外の明るさを見て仕事をしている人はいないでしょう。この反対理由はちょっと「???」です。

 ところで,我が家にある時計や時計付き装置のうち,電波時計やGPS付き携帯などの,時刻が自動補正されるものを除いても,ざっと数えて10個ぐらいの装置の時刻合わせが必要となります。こんな面倒なこと,毎年2回もやってられない気がしますが,影響はもちろん「時刻を変えるのが面倒」といった単純な問題だけではなく,装置の交換やシステムの大幅改修が必要になるなど,社会全体に与える影響が大きいことが問題。サマータイム制の導入によって,設備改修のためにエネルギー消費がかえって増えてしまうという,笑えない状況になりそうです。

 設備改修などのために多額の出費が強いられることは,企業などにとっては大問題でしょう。財界はそれを知ってか知らずか(いや,もちろん知っていてか),経団連などはサマータイム制導入に賛成らしい。まあ,装置やシステムを提供する側の仕事が増えるのが財界にとっても嬉しいということかも知れませんが,これに賛成する財界って,なんともタチが悪いものだと感じます。

 百歩譲って,本当にサマータイムの効果が絶大だということであれば,夏季だけ時間を早めるのではなく,いっそのこと一年中常に早めてしまう方が,毎年2回切り換えることによる影響が少なくていいと思いますね。これは,要するに標準時刻を1時間早めてしまうということ。つまり,現在の標準子午線を東経135度から150度に移すということです。日本の最東端は南鳥島の東経153度,最西端は「Dr.コトー診療所」のロケ地の与那国島の東経122度。ちょうと2時間分(経度で30度)の差がありますが,東経150度の位置も日本国内に入るので(ただし北方領土よりもさらに東),標準子午線を東経150度に変更しても,国際的には問題ないでしょう。

 過去の関連記事:サマータイム(2008年5月14日)

|

« クラスター爆弾 | トップページ | もったいない »

コメント

私もこれ、全く理解できないのですが、いったい推進派の本音はどこにあるのでしょう?環境だのエネルギーだのが本音の理由だとは思えないのです。(建前としてはきれいでいいですが。)

あんな制度めんどうなだけです。しかも、国ごと年ごとに実施日も終了日も違うし。

「あ・り・え・な・い!」

と思います。

投稿: Chikirin | 2008年6月 2日 (月) 23時34分

 たしかに,本当の目的は省エネでなく別のところにあるのかも知れませんね。導入目的はなんとなく胡散臭い感じがします。省エネが目的なら,たとえばコンビニの終夜営業を見直すとか,コストをかけずにもっとお手軽にできる方法がいくらでもあると思います。

投稿: かば | 2008年6月 3日 (火) 04時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/149573/41383801

この記事へのトラックバック一覧です: 効果は疑問:

« クラスター爆弾 | トップページ | もったいない »