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2008年2月23日 (土)

道路特定財源

 道路特定財源の暫定税率延長問題に関して。僕は「地方」に住む一人の意見として,道路の整備拡充よりもガソリン代の値下げの方がずっと嬉しいですね。これに関しては人それぞれ意見があると思いますが,多くの首長は暫定税率延長こそが「地方の住民の声」であるかのように主張をしており,マスコミもこの主張をそのまま垂れ流しています。これはちょっと違うんじゃない? と思います。

 国土交通省が集めた「道路特定財源を維持すべき」との自治体首長の署名に応じなかったのが,全国でたった6市長というのには驚きですが,署名しなかった理由は「道路特定財源維持に異存ないが,すべて道路のために使うというのは違うだろうと,拒否した。一般財源化の議論もあったはず。市バスなど公共交通にも使えるようにすればいい」(尼崎市長),「暫定税率延長は賛成で,拒否ではなく保留。小泉内閣が打ち出した一般財源化を支持してきた。環境対策や国の借金返済にも充てるべきだ」(綾部市長),「自治体としては歳入維持を望むのは当然だが,市民生活を考えるとガソリン値下げも議論の対象であっていい」(国立市長),「必要な道路は整備すべきだが,国は十分精査しないまま中期計画で59兆円を投入することにした。無駄遣いが通る仕組みが残される」(狛江市長)など,いずれもそれなりにマトモな意見。これらがとても少数意見とは思えません。

 この問題になると口角泡を飛ばして論じる宮崎県知事ですが,知事は「大分市から宮崎市まで道路で行くより,大分から飛行機で大阪に行って大阪から宮崎に来る方が早い。地方と都市部の格差は開く一方だ」と暫定税率の維持を主張。ちなみに,僕が調べたところ,宮崎から大分へ行く場合(片道約200km),JRの直通特急で約3時間。飛行機で大阪経由だと飛んでいる時間だけで合計約2時間。乗り継ぎ時間や空港までの所要時間を考えると,宮崎から大分へ行く場合には,飛行機で大阪経由するよりもJRで行った方が遙かに短時間で行けますので,念のため。それはともかく,宮崎県東部で建設中の高速道路(東九州自動車道)の全線開通が必要だと訴えたかったようですが,道路特定財源というのは高速道路でなく主として一般道路建設の財源かと思っていたので,宮崎県知事の主張は理解できませんでした。僕の認識違いだったのかも知れませんね。

 いずれにしても,これらの多くの知事の発言は「地方との格差はすべて道路が原因」「暫定税率が延長されなかったら,今後地方に道路(一般道・高速道路とも)が一切造れなくなる」「地方の住民はみんなガソリン値下げよりも道路の拡張を願っている」と言っているかのように聞こえ,ちょっとヘンです。また,よくよく聞くと,道路自体が本当に必要なのか,道路を造るという公共事業(カネ)自体が欲しいのかがはっきりしないので,けっこういい加減です。

 また,「ガソリンを値下げしたら二酸化炭素排出量が増えて地球環境の悪化を招く」みたいな政府の主張も,道路を増やすことと思いっきり矛盾していて,ナンセンスです。そもそもおかしいのは,あくまで「暫定」なんだから,期限が来たら自動的に廃止するのが自然。延長するなり新しい法律を作ると主張するのはいいとしても,「廃止するなら対案を示せ」と野党に迫る政府もなんだかヘンですよ。

 そんな折,2月23日付の朝日新聞に,この問題に関する前鳥取県知事 片山義博氏のインタビュー記事が出ていました。僕の感性とも一致した発言が多かったので,要点をここで紹介させていただきます。
(1)理想は全額一般財源化。国も自治体も「道路が必要」と言っているのだから,特定財源化して使途を縛る意味がない。
(2)特定財源化により教育などには使えない仕組みとなっている。道路予算の一千万円は端数だが学校現場での一千万円は大金。国力を増やすのは教育・人材育成・科学技術などであり,道路造りではない。
(3)要る道路は要るし,要らない道路は要らない。1本ごとに審査して教育などの他の施策との優先度を議論すればいい。
(4)「税率は下げるが地方の道路を造れるようにする」という民主党の主張もいい加減。税率を下げるなら道路整備もペースダウンするのが当然。
(5)地方が暫定税率維持を唱えるのは自治体の財政しか首長の頭にないから。減税を主張するような知事はいない。もっとも,国からの威圧があり,地方は国に睨まれないような発言をするもの。
(6)国は「道路を早くたくさん造れ」と言うが,街中は立ち退きが必要で時間がかかる。勢い山奥などの場所に造ることになり「なんでこんな所に?」という道路が多くなる。

 なるほどねー。実体験に基づく発言というのはけっこうマトモで説得力もあります。できれば現役時代にこういう発言をして欲しかったものです。ちなみに,この鳥取県も,今は暫定税率維持を主張しているそうです。

 最後に,「道路特定財源でミュージカル」というニュースには笑えました。このミュージカルの制作費はすべて税金で,入場料も無料。上演回数は95回に上り,総額5億7000万円を支出していたらしい。やれやれ。

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