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2007年12月16日 (日)

銃乱射事件

 長崎県佐世保市での銃乱射事件で自殺した容疑者は,夜中に近所の家のトイレを借りに行ったり,自宅に迷彩服が干してあったりなど,周囲には「変わった男」という印象を持たれていたらしい。また,近所に住む男性は,交番に「危ないんじゃないか」と訴えたたことがあったものの,警察官からは「他人がとやかく言うことではない」と言われたらしい。

 この容疑者は,2002年から今年にかけて,長崎県公安委員会から散弾銃3丁と空気銃1丁の所持の許可を受けており,県警は「適正な許可だ」と説明しているとのこと。この事件を受けて,銃器対策担当の岸田内閣府特命相は,「銃刀法改正で銃規制を強化した直後ではあるが,さらなる対応が必要かどうかも含めて検討したい」と述べたとか。

 「銃器対策担当の特命大臣」なんていう大臣がいたことは初めて知りましたが,それはともかく,銃刀法強化などの対策でこの手の犯罪を防止できるかというのは大いに疑問です。銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)によると,銃刀類の所持を許可されないのは以下のケースです。

(1)18歳未満の者
(2)精神障害または発作による意識障害や,銃刀類の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれがある病気の者
(3)アルコール,麻薬,大麻,覚せい剤の中毒者
(4)自己の行為の是非を判別し,その判別に従って行動する能力が低い者
(5)住居の定まらない者
(6)許可を取り消された日から起算して5年未満の者
(7)暴力的不法行為などの違法行為を行うおそれがある者
(8)他人の生命若しくは財産または公共の安全を害するおそれがあると認められる者

 つまり,仮に悪意を持って正当な目的外の理由で銃刀類を所持しようとした人がいた場合でも,「マトモに見える人」であればこの条件を容易にクリアできるということですね。夜中に近所の家にトイレを借りに行くような「ちょっと変わった非常識な人」ぐらいの理由では,法的には不許可の理由にならないし,県警が「適正な許可だ」というのはもっともで,たしかに「他人がとやかく言えない」ということでしょう。

 この「不許可の条件」を厳しくしても,「ちょっと変わった人」を排除するには無理があるし,最初から犯罪目的で銃刀類を所持しようとしている「マトモに見える人」を排除するのはさらに困難だと思います。また,仮に銃刀法で不許可の対象になったとしても,銃刀法規制対象外の「刃物」は世の中に多数あり,その気になれば規制対象外の刃物で殺人を実行することも可能なわけで,単純に銃刀法規制強化だけで片付くような問題ではないでしょうね。だからといって妙案は思い浮かびませんが。

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