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2007年1月21日 (日)

それでもボクはやってない

 周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」を,公開初日の20日に見に行ってきました。昔は映画の公開初日を「封切り」とか言ったけど,今はこんなことば使わない。いつのまにか死語になったんですね。

 この映画は,以前のブログにも書いた「お父さんはやってない」という実話の映画化で,痴漢の冤罪がテーマ。原作では,痴漢の疑いをかけられたのは妻子あるサラリーマンでしたが,映画ではフリーターの青年になっています。でも,ストーリーの本質は変わってません。なお,これ以降は思いっきりネタバレがあるので,ご注意下さい。

 この青年は,ある日突然誤認逮捕され,その後の取り調べ~刑務所での生活~検察の取り調べ~そして裁判と,一般人はまず体験することができない貴重なシーンも多く,大変面白かったです。たとえば,検察でのトイレのシーンには笑えました。また,裁判の進行に際して余計な説明もなく淡々と進んでいったのも良かったです。

 裁判が進むに連れて,逮捕・起訴がいかにデタラメだったかがハッキリしていき,映画の観客は「無罪判決間違いない!」と思うようになるでしょう。でも,結果は有罪判決。ここで映画は終わります。長い映画(裁判)がやっと終わったと思ったら,有罪判決にガックリ。観客は「映画の中の被告」に感情移入し,映画が終わった時点で被告といっしょにガックリするという結末は見事です。タイトルが「それでもボクは・・・」となっている理由がこの時点でわかりました。映画として「お決まり」のハッピーエンドで終わらないところがなんとも味わい深くて好きなんですが,実話では控訴審で無罪を勝ち取っていますので,念のため。

 当り前のことですが,真実を知るのは「神」ではなく,もちろん弁護士でも裁判官でもない,当事者本人だけだということを思い知らされます。そして,たとえ無実でも,裁判で無罪判決を勝ち取るのがいかに難しいかを,この映画は教えてくれます。「無罪判決を出しても喜ぶのは被告とその関係者だけ。裁判官が無罪判決を出すことは国家(警察・検察)に楯突くことであり,無罪判決を出す裁判官には大きな勇気が必要」という説明には説得力があります。冤罪事件を救済するには,裁判官の立場(保身)に拘束されない「裁判員制度」の導入がやはり重要であるということを強く感じました。

 ということで,143分という長さを全く感じさせない,断然オススメの映画です。

 過去の関連記事:異なる評決(2006年12月18日)

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ワーナーマイカル市川妙典で昨日公開した 「それでもボクはやってない」を観てきました。 「Shall We ダンス?」でおなじみの周防正行監督が、 11年ぶりの待望の映画は裁判を題材にした社会派ドラマ。 電車で痴漢に間違えられた青年が、裁判で自分の無実を訴える姿を、 日..... [続きを読む]

受信: 2007年1月21日 (日) 22時04分

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