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2006年5月11日 (木)

裁判員制度

 僕が映画ファンになったキッカケの映画は,高校生の時にテレビで見た「12人の怒れる男(1957年,アメリカ)」なんです。17歳の少年が起こした殺人事件に関して,12人の陪審員が討論しながら有罪か無罪かを判断するという物語で,誰が見ても有罪と思えた状況で,ひとりの陪審員が無罪を主張したことから始まり,次第に無罪判決へ流れが変わっていくというヒューマンドラマです。この映画を見た時,陪審員って面白そうだなあと思ったものです。そして,会社へ入ってから,知人が検察審査会の委員に選ばれたという話を聞き,羨ましく思ったこともありました。

 外国の陪審員制度とは異なるようですが,日本でも2009年に裁判員制度が導入されることが決まっており,裁判員は抽選で無作為に選ばれるとのこと。いつか選ばれるチャンスが来ないか,けっこう楽しみです。でも,「12人の怒れる男」のような劇的なドラマって,実世界では皆無でしょう。実際の裁判というのは,ほとんどが淡々としてつまらないものだと思います。この映画を見た人が裁判員になって,「よっしゃ,無罪にしたるでー!」なんて張り切られても困りますね。そもそもこの映画,弁護士すら主張していなかった矛盾点を突くなど,陪審員としては明らかに「行き過ぎ」だったと思うんですけど。ま,フィクションだからいいですが。

 それはさておき,10日ぐらい前の新聞に,裁判員制度に関して最高裁が実施した意識調査の結果が出ていました。それによると,裁判員として「参加したくない」という消極派は62%,連続して裁判に参加できるのは「3日以内」が39%,「1日でも無理」が29%。僕のように「参加したい」というのは少数派で,しかも現実には皆さん忙しく,なかなか参加は難しいようです。この裁判員制度,成功するかどうかは全く未知数ですが,そもそも,重要な判決の一端を,事件と無関係な一般市民に求めてもいいのかという疑問は消えませんね。一般人の持つ「先入観」「偏見」などを排除して公正中立な裁判ができるのかも疑問。もっとも,裁判官も人間。「先入観」も「偏見」も持たない裁判官って,ハッキリ言って存在しませんけど。

 ところで,裁判員制度導入に伴い,検察官による容疑者の取り調べ状況の録画・録音を試験的に行うということが,つい先日発表されました。取り調べの録画・録音については,自白の強要などの違法捜査を防ぐ観点から,日弁連が導入を強く要望してきた経緯があり,今回の決定については日弁連も「一歩前進」と評価。ただ,検察の都合がいい部分だけを録画して証拠提出する可能性などが残されていて不十分だと。

 たしかに,中途半端に録画した映像を見せられても信用できないんですが,われわれ一般市民は,つぎはぎだらけの「編集」した映像を日頃からテレビ番組で見せられて,ホンモノの映像と錯覚させられてますよね。気をつけないと危険です。検察による「ヤラセ映像」が制作されないことを切に祈ります。

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コメント

12人の怒れる男、面白かったですね〜。もうあまり覚えてないけど、ヘンリー・フォンダがカッコ良かった。
それにしても、陪審員制度というのは、芝居の上手い人、見た目のいい人にとって有利な制度だと思います。
ヒューザーの社長なんてすぐ有罪にされそう(笑)。「シカゴ」も思い出しますね、情報操作されやすそうです。シロウトは情にもろいから。
私も機会があったら是非裁判に参加してみたいです。心理学の勉強も少しはしてから臨みたいですね〜。

投稿: dashi | 2006年5月12日 (金) 19時52分

 12人の陪審員それぞれのキャラクターが良かったです。それにしても,「偏見」の固まりのような陪審員も多く,判決がそれに左右される陪審制って恐ろしいもんです。
 この映画「不朽の名作」だとは思いますが,陪審員全員が男性(タイトルも「・・・男」です),しかも白人。時代を感じさせる設定だと思いますね。
 コメントありがとうございました。

投稿: かば | 2006年5月12日 (金) 23時11分

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