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2006年3月24日 (金)

国民投票法案

 国民投票法案を今国会で提出する動きがあるらしい。与党案と民主党案があり,両案には隔たりが大きく,与党案は「憲法改定に限定」「投票は20歳以上」「賛成○,反対×,他は無効」,民主党案は「憲法改定+重要な国政問題も対象」「投票は18歳以上」「賛成は○,他はすべて反対扱い」とのこと。いずれの案も憲法を改めることを念頭に置いた法案。つまり,現憲法によると「憲法改正は各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し,特別の国民投票または選挙の際の投票での過半数の賛成によって承認」とあるものの,現行法では憲法改定のための法整備が不十分ということなんでしょうか。

 個人的には現段階での憲法改定は大いに疑問であり,この国民投票法案提出の動きは歓迎できませんが,それにしても,この民主党案には疑問が多い。「投票は18歳以上」というのは公職選挙法との整合性が取れないし,「賛成は○,他はすべて反対扱い」というのは,どう考えてもおかしな「最高裁判事の国民審査」と同じ判断方法じゃない?

 民主党案では,憲法改定だけでなく「重要な国政問題」も国民投票の対象にしたいらしいが,国政選挙とは別に国政問題を国民投票で問うというのはどうもムリがある。例の岩国市への米軍基地移転に関して,先日の住民投票の結果「移転反対」が多数となったが,小泉首相は「そんなもん,住民投票したら『反対多数』になるの当たり前じゃん!」みたいな発言。この発言は「住民投票には限界がある」という意味で核心をついている発言と思いますね。たとえばA市からB市へ基地を移転しようとする時,A市の住民投票の結果「移転賛成」,B市の住民投票の結果「移転反対」となったら,住民の意思を尊重するならどっちを取ればいいの?ってことになるでしょう。

 だからといって,各地域の住民投票でなく「国民投票」をやったとしたら,それはそれで国政選挙結果との整合性が取れない。たとえば先の総選挙ではとりあえず「郵政民営化賛成」というのが「民意」ということになってしまったが,もし「郵政民営化に賛成か反対か」みたいな国民投票をやったとしたら,逆の判断になる可能性が極めて高い。これには,ある1つの政策だけで選挙の際の投票行動を決められないことや,現在の選挙制度が民意をキチンと反映できていないなどの理由があると思います。

 いずれにしても,今の制度のもとで国政問題に対して国民投票を実施するというのはちょっとムリがある。でも,代議制が民主主義のルールとはいえ,重要な政策に対しては「国民が直接決めたい」という思いは強いでしょう。そのためには,選挙制度の見直しのほか,議院内閣制の見直し(すなわち直接選挙による「大統領制」の導入)も含めて,トータル的に政治制度を見直していく必要があると思います。大統領制の導入については,また別の機会に書きたいと思います。

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» ん〜 [Chikirinの日記]
なーんか、いろんなことがありますね・・・何について書こうか、迷うであります。 ★★★ 一番理解できないのは、永田議員です。この人、なんで辞職したくないのかな??政治家を続けたいなら、寧ろ今はいったん潔く辞職した方がよほど(次の選挙で)有利でしょ?それとも、次回以降はひっくり返っても当選は無理、と理解していて、残りの任期だけでも国会議員でいたいの?? でも、そんなことしても何の影響力も持てないし、政治家として屍ですよね。お金?でも、実家もお金持ちらしいし・・・ちょっと不思議です。辞職したくないと... [続きを読む]

受信: 2006年3月24日 (金) 18時39分

» サイト説明──日本国憲法2.0とは [日本国憲法2.0開発部 − 改憲か護憲か?]
 こんにちは、  私どもは(民間でこれだけを行っている)日本国憲法2.0開発部です。よろしくお願いします。  このたび、情熱を込めて、人権明記憲法として、 日本国憲法 2.0 と名づけた草案を開発し、満を持して発表致します。  戦後現在まで、社会は何度も大きな変遷を遂げ、さまざまな事件も起こってまいりました。21世紀になった現在、考えもしなかった大問題だらけの社会になってしまいましたね。 ... [続きを読む]

受信: 2006年3月25日 (土) 01時11分

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